プロの現場からみる好きなことの話
おはようございます。チューバ奏者、指揮者、金管バンドの専門家の河野一之です。
ようやく左肩甲骨付近の筋の痛みが引いてきて息も平常時の80%ぐらいまで吸えるようになってきました。全く吹けなかった一昨日に比べ昨日はかなり吹けるようにまで戻り安堵しました。楽器が普通に吹けるという幸せを感じました。
今日はプロの現場からみる好きなことの話
もくじ
プロの現場
僕たち音楽家が誰かの依頼や自分たちの営業で演奏機会をいただいた場合その演奏の対価としてお給料をもらう。
さらに演奏会を開いたことがある人ならわかると思うけど、依頼での演奏を披露するには通常
・本番当日の交通費&楽器運搬費&演奏料金
・リハーサル料金(演奏家の人件費、場所代、交通費&楽器運搬費)
・楽譜代
・著作物利用料(JASRAC)
これらが最低でもかかる。
多くの場合、楽譜代は音楽家が使用する楽器代と同じで音楽家持ちになることが多いが音楽家が持っていない楽譜、希少な楽譜、特別に演奏してほしいとリクエストした場合などは依頼者持ちになるだろう。
でも音楽家自身が広く提言していないというのもあるのだけれども、一般的にはコンビニのアルバイト同様演奏会当日の実質的な”演奏時間分”だけしかお金が発生しないという風に考えられているし、よくあるのは交通費込みでの演奏料金の設定である。
これらの問題は今後また改めて提議し考えていきたい。
さて、今日はこの中でも
リハーサルの話
という風に音楽家というのは収入を得難い仕事というのは昔から言われている、偉大な音楽家たちもパトロンがいて初めて活動ができていたし、現代で言えば様々な仕事を兼業しながら音楽でも稼いでいる人もいる。
僕で言えば
・チューバ奏者
・指揮者
・金管楽器指導者
・英語通訳、翻訳
・音楽イベントの企画運営
大まかに書いてこんなところだろう。こういうことをしながら生計を立てているため僕としては自分の仕事に誇りを持っているし幸せを感じている。でももし万が一音楽や楽器、演奏が好きでない人がこの生活をしたら決して楽には感じられない仕事でもあると思う。
ここからリハーサルの話に繋がる。
アマチュアのリハーサルであれば演奏会の期日までに自分たちの技量を高めそれを発表しお客様に喜んでもらって自分たちもHappyという流れで演奏会までのルーティーンが回る。
(注:この話はプロが上、アマチュアが下とかいう次元の話ではなく職業にしているかどうかの話。)
プロはというと①多くの場合、リハーサル日程を決めてその日に合わせをするのだけれどもそこでまずある程度の演奏レベルを求められる。
これはどの業界でも同じだと思うが②人間性もとても大事になる。
この①や②が難しい人材は人員変更がかかる可能性がとても高い。
なぜかというともちろん僕もそうだが、音楽業界というのは「何かしたい!」人たちで溢れているからだ。
例えばあるAさんが演奏技術が低く、リハーサルでもしっちゃかめっちゃか、「これは本番は来週だけれども本番までにどうにかできるレベルではないな」という雰囲気になれば恐らくバンドマスター(取りまとめる人)は他メンバーと相談しAさんにリハーサルでの拘束料金だけお支払いし、他に吹ける代わりを探す。
また演奏技術がある程度あったとしても②ができていない。例えば素行に問題がある、バンドの雰囲気を乱すなどが目に余るとこれもバンドマスターと残りのメンバーで相談し、代わりを探すことになるだろう。
というかそもそも①も②も業界内での話題にあがるはずなので、そもそも呼ばれないというのが大前提にはある。
またリハーサルの場では個人練習のための練習時間をとることは滅多にない。Rehearsalとは大昔のフランス語からきた「なんどもなんども土を耕し植え付けの準備をする道具のまぐわ-Herse-、そして繰り返しを意味する-Re-から生まれた言葉の通り全員で演奏し合わせ音楽を作る作業を繰り返す時間だ。
なのでそこで①の人に次はないし、②の人もない。そもそも①&②の方々は呼ばれることが少ないのでそういう現場で出くわさないというのが実情だ。
なので当然のことながら音楽を生業にしていくには練習しなきゃ!より楽器が吹きたい!演奏が好き!な人の方が自然と生き残っていく。
全ての仕事でそうなってほしい
今現在たくさんの人の想いのもとロボット技術や様々なことの自動化、システム化が進んでいる。
そうすると18世紀の産業革命同様、これまで通り誰にでもできていた簡単な仕事というのはさらに自動化、機械化されていく。
それと同時に現在も進んでいる日本の少子高齢化で働ける世代も同時に減っていきている。
多くの人が言う税収が!労働力が!とは違う側面で見てみると、とても安易な考えであるのは間違い無いと思うけれど、働ける人間が減るのと同時に自動化や機械化が進んでいるのだからその減った人口分の仕事を機械が行うことで丁度よくなるのではないか
これまで誰かが嫌嫌やっていた仕事を機械がやってくれて、人々がそれぞれ本当に好きで仕方のない仕事につけ、それぞれの特性や個性を生かして働ける=好きなことなので今でいう働いている気もしない世界になったらいいなと思う。
音楽家だって、好きで好きで仕方のない舞台での演奏や、自分が好きで学んできた知識を後進にお伝えするご指導の仕事なんていうのはまるで遊んでいるかのように行える。でもみんながみんな音楽やこういうことが好きなわけではない。なので
料理が好きな人は料理を作って誰かの役にたち
人をまとめて誰もが平等に幸せに暮らしていけような仕組みを作るのが好きな人は政治家に
機械をいじるのが好きな人は工業へ
田畑が好きな人は農家へ
という風にそれぞれの特性が生かしあえたら、極論物々交換、能力交換でお金さえいらなくなる。そんな気もするよね。
なので今コロナ禍が日本で始まって8ヶ月、いろんなところで本当に好きなことをするのか、そうでないのか音楽家自身もふるいに落とされている。
日本社会自体が変わろうと動いているし、これから先どうなっていくのか
書いていてワクワクしてきた
Thank you
Let we create OUR world!
Kazz
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