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知っておいた方が良い練習録音の聞き方

おはようござます。

河野企画代表、チューバ奏者、指揮者の河野一之です。

個人での練習や合奏での練習、毎回指導者や指揮者がアドバイスをくれるわけでもないし、自分自身で演奏の聞こえ方も知りたい。

そういう時には録音がとても有効。多くの管楽器奏者moやっているし、逆に自分の演奏を録音したことがない奏者は今の世の中少ないだろう。

そんな中、録音の方法や必要な機材はこのコロナ禍でYoutubeやBlogなどで数多く紹介されている。実際にプロ奏者がご紹介されていることもある。

出展:チューバ奏者 藤田英大氏Youtubeチャンネルより

しかし、その録音の聴き方。
コンテストの審査員のように専門的に何かと比べて優劣を点けるために録音を聞くのではなく

自分の演奏をより良いものにするため

に自分の録音を聞く際に使える。そこで今日は

知っておいた方が良い練習録音の聞き方

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聴き方で聴こえ方が変わる。

これはチューバ奏者としても指揮者としても両方の立場で気づいた部分なのだけれども、僕たち人間は何をどうあがいても主観(その人自身のもの見え方)で生きている。

なので例えば、「あそこ失敗しちゃったかも」「あそこ不安だったな」なんて思いながら録音を聞くとその”あそこ”の箇所がちゃんとものすごく悪く聞こえる。

チューバ奏者として協奏曲をバンドと演奏させていただいたことがあった。今ではものの見方や考え方を学んだおかげでかなりポジティブに物事を見られるようになり、当時いくつかミスもあったけれどもあの時のベストは尽くしたと言えるぐらいになった。

しかし、当時はそのいくつかのミスが強烈に自分自身の印象に残り、録音を聞いている最中もそのいくつかのミスをした箇所はもとより他の良かった点でさえも全て”失敗”的な烙印を自分で押してしまった。

聞いてくださっていたお客様や指揮者、伴奏してくださった方々からは祝福をもらえたのに、それら全てをそのたったいくつかのミスで”失敗”にしてしまっていたのだ。

これは僕自身の自信の無さと聞き方の悪さが原因である。

僕は協奏曲を本番で吹かせていただけるという名誉な場での録音であったけれども、あの時の僕が知っておかなければならなかったのは例えば本番だろうが練習中の録音であってもまず第一に

ソロを吹こう、録音してみよう!と思った時点でもう花丸なのである。

まず録音してみよう!という意気込みは自分自身が向上したいからであって、どうでも良かったら録音してわざわざ聞いてみようなんて思わない。向上心の塊な自分をまず認めるべきだ。

またそういう気持ちのまま聞くことが大事だ。

つまりミスを探すような粗探し的な後ろ向きな聴き方ではなく、実際の聴こえ方はどうだったか?など自分の印象と実際に聴こてくる音を聞いた際の印象だったら実際の方を選択しなければならない。

そうでないと上記の僕のように実際には演奏できていてお褒めの言葉ももらえているのに、自分の印象に支配されそれを素直に受け入れられなくなる。

信じられないミスもあるかもしれないが、信じられない良かった点もあるかもしれない

けど自分がネガティブになっていたらそれを聞き逃す。そうでしょ?

なのでせっかく向上心から録音をしてみたのだからポジティブな姿勢で聞くべきだ。もし難しかったら録音したあと1~2日置いておいて気持ちが落ち着いてから聞いてみるのもありかもしれない。

過去の演奏聞いてみると意外と「自分頑張っていたな」っていうのもある、それと同じ。

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良くできる点、改善点

録音を聴いているとミスとか、失敗した箇所とか僕たちは簡単に自分の演奏を評価してしまうけれど、実際は

さらに良くできる点、改善点だ。

まず何をもってミスなのかが音楽はあまりはっきりしていない。

442hzで正確に1オクターブの跳躍を決められた音量=デシベル数で正確に♩=130の速さで八分音符一つから二つ目に上がれればミスではないのか、失敗ではないのかみたいな話になってしまう。

上のことが全部80%ぐらいで、でも100人中90人が感動した、素晴らしいなどのポジティブな意見をくださったらそれは成功ではないのか

演奏がしっちゃかめっちゃかでも、幼稚園児たちが必死に練習し奏でてくれる演奏に僕たちは大賛辞を送り時には号泣する。これは成功ではないのか

というような感じで算数や理科のように明確な答えがないゆえ”その人”の受け取り方、発信の仕方で音楽はミスにも成功にもどちらにでもなる場合が多い。

なので人による部分は重々承知の上、僕はこう描きたいのだけれども、

音楽にミスや失敗ない。

自分が出したいものを奏で、表現し、それをあとは受け取る側がどう感じられるか

それだけだ。なのでミス、失敗ではなく、これらは自分が出したいものをより表現するための改善点でしかない。

なので録音を聴く際のスタンスとしては

「もっと面白くできる箇所(more interesting)、もっと自分の演奏したいようにできる箇所はあるかな?」

である。

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改善点と好きな点は同じだけ

ミスや失敗は改善点という認識に変えようという話だけれども、はたして僕たちは演奏をしそれを録音をした際本当に

良かった点、自分の演奏で好きだった点は一箇所も無かったのか?

僕もそうだけれども、わざわざ安くない金属の塊である金管楽器を買い、練習室に出かけ録音機やスマフォだって安くもないのに購入し録音をする。

これ演奏が好きという気持ち以外で、できないでしょ?

そんな自分の演奏で向上心もあるしもっとうまくなりたいという気持ち、僕もそうだから良くわかる。でも一箇所でもほんのちょっとでも自分の演奏の良かった点、好きだった点は無かっただろうか?

謙虚と自虐は違う。

大変残念なお知らせだけれども、自分の演奏を自虐しても成長はできない。
脳みそは自分でつく嘘と本心を区別できない、自虐をすればそのまま自虐した内容の自分に自分自身を作り変える。

改善点は1人で練習すれば良いけれど、自分の強み、自分の好きな点も説明できない奏者の演奏を誰かにお聞かせするのか

自分の良いところ、好きな音楽、音を「聞いて聞いて、こんなに素敵な楽器が、曲が、音楽があるんだよ」って紹介するのが演奏会なのではないか

だから皆さんの名前が載っているチラシを見て皆さんを見に、表現される音楽を聴きにお客様は来てくださるし、僕たちだって聴く立場の際はそうだろう。

なので録音を聴く際、それを発表する際、謙虚と自虐を履き違えないように。

また改善点を6個見つけたら、良かった点、好きな点も6個見つけるように。

きっと自分の演奏がもっと好きになるし、練習も楽しくなる。さらに人にも優しくなれるよ。

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まとめ

いつもこの手の話はレッスンをさせていただいている時に必ずする。それは僕自身、技術的な面は自分で探した方が面白いと思うし人によって体の構造が違うから言葉でお伝えするのは難しい。

でも音楽的なこと、演奏や楽器を通しての心の持ちようは自身の経験と心理カウンセリングの講習の経験から言葉や文字で伝えられる部分は大きいと思って書いてみた。

指揮者を初めてネクサスでもRBBでも打ち上げでは絶対に反省会はしないようにしている。ありがたいことに自分たちの演奏会の録音を聴きながら飲める場でもあるので

褒め合いまくる。

ミスや失敗の箇所はどんまいだし、まるで演奏会を生で聞いているかのように成功しろ!頑張れ!と録音なのに祈りながら聴く。

ダメ出ししあいながら、ミスを責めたほうがうまくなり幸せになるならその方が良いだろう。でもそうではないことは子供でも知っている。

自信、自己肯定感、音楽や楽器への愛

これだけ鍛えてあとはネガティブな自分を受け入れて「それでも!」と上の三つをやっていれば絶対大丈夫。

録音は反省するためにするんじゃない、自分ができたところ達成感を感じるためにするぐらいの気持ちで良いんじゃないかな

All the best

Thank you

Kazz





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