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これがあるからベネッセと言える - 株式会社ベネッセコーポレーション【体験者インタビューVol.8】

【体験者インタビューVol.8】

こんにちは、ベネッセアートサイト直島 エデュケーション担当の大黒です。

ベネッセアートサイト直島でのプログラム体験者の声をお届けするインタビュー企画・第8回となる今回は、「株式会社ベネッセコーポレーション」人財支援部の荒川悦子さん吉田光男さんにお話を伺いました。

■プロフィール

荒川 悦子 (あらかわ えつこ)

雇用機会均等法、育児休業法施行前の1983年に、新卒で福武書店(のちベネッセコーポレーション)に入社。
二女を育てながら、編集業務に従事後、数年前から人財開発部門に異動。
ベネッセに縁あって入社した社員に、自分自身とお客様の「よく生きる」を大切にしてもらいたいと願いながら、若手社員や中途入社者のオンボーディングを担当。

吉田 光男 (よしだ みつお)

大学では経営学を専攻し、組織成員の自律的学習行動を促すためのメカニズムについて研究。
大学卒業後、2016年にベネッセに就職し、学校向けのコンサルティング営業に従事し、学校の課題解決に尽力。
2022年に人財開発領域に移り、若手社員向け研修の企画、運営をつとめる。
「一人ひとりが自分をよく知り、自分らしい人生を歩める」ような関わり方をするのがモットー。


ベネッセアートサイト直島では、2021年4月から、新入社員を対象としたオンライン研修の中で対話型鑑賞を実施。2022年度からは入社3年目の社員を、2023年度には中途入社の社員を対象に、直島にて理念研修を実施している。また、2021年度から、オンラインにて対話型鑑賞の体験会や、対話型鑑賞のファシリテーター養成プログラムを提供している。


大黒:ベネッセアートサイト直島のプログラムを体験しようと思ったきっかけや目的を教えてください

荒川:もともと新人研修や中途入社の社員の研修で直島には行っていました。毎回、作品鑑賞を通して気付いたことや感想をシェアする時間を設けていたのですが、一人ひとりの話す内容がすごく面白くて。アートが得意でなくても自分の感想を言えたことが新鮮だった、それを一緒に参加した人に受けとめてもらえたことが心地良かった、自分の感じたことを言葉にするのが面白かったとか、そういう感想をおっしゃる方がいたんですね。そういう経験から、私たちもアートを中心に置いて語り合うことの可能性は感じ取っていました。当時は美術館の中をスタッフにガイドしてもらい、後半は各自自由鑑賞という内容の研修にしていましたが、引率の社員の数も限られている中で、もっと深いグループワークのあり方があるのではないかと、社内で相談し、2021年度から福武財団と共同でプログラムを行うことになりました。その矢先に、コロナウイルスの感染が全国的に拡大し、現地での研修ができなくなってしまいましたが、藤原さんから「オンラインでもできる」と言っていただき、新人研修にてオンラインで対話型鑑賞をしていただきました。その時の新入社員の感想がものすごく感動的で。もともとベネッセって対話をとても大事にしている会社ということもあり、新入社員の方にも仲間との対話や人には様々な考え方があるということを知ってもらいたいと思っていました。人によって色々なものの見方があることを、アート鑑賞を通して感じてもらえればと思って導入しましたが、実際にやってみるとこちらが想定していた以上に自分のこと、相手のことを感じ取ってくれていましたね


大黒:実際に新入社員研修に対話型鑑賞を取り入れてみていかがでしたか?印象的なエピソードがあれば教えてください

荒川:一番印象に残っているのは、初めて対話型鑑賞を新入社員研修に導入した時に参加した社員の感想です。「自分はちょっと変わった人間で、周りから受け入れられているとは思っていなかったけれど、対話型鑑賞の中では自分の感じたことを素直に言えて、それを仲間に受け入れてもらえて、認めてもらえたことがすごく感動的だった。」と言ってくれたことが印象に残っています。新入社員の研修なので、初めまして同士の人が集まっていて、これから一緒に働く仲間同士を深い部分でこんなにも受け入れ合い、相知る。それだけでなく、相手や自分への理解も深まる。これは新入社員研修のプログラムとして欠かせないなと、その時に強く思いましたね。新入社員や中途入社の社員の研修の中に、対話型鑑賞を導入することの意義に目覚めた瞬間でした。


大黒:新入社員の研修以外にも、入社3年目や中途入社の社員を対象とした研修もされていますよね。吉田さんはプログラムに参加する中で印象的な出来事はありましたか?

吉田:2023年に直島で実施した中途入社の社員の研修が印象に残っています。部署の違う人同士が集まっているので、研修が始まる前は同じ部署の知り合い同士で固まっていたのですが、対話型鑑賞が終わると部署の枠を超えて一気に参加者同士の距離感が近づいているのを感じたんですよね。ふと、これって単純に他のグループワークでもこうなるんだっけ?と思って。多分、そうではないんだろうなと思うんですよね。対話型鑑賞を通して、お互いがお互いの作品の見方、ある意味内面を共有して、なおかつそれを受け入れてもらえたという経験があるからこそ、もっと近づいても大丈夫だという安心感が得られたことから繋がっているように思います。1日の中で、こんなにも変わるんだというのはすごく実感しました。


大黒:荒川さん、吉田さんご自身の中に何か変化はありましたか?

荒川:研修で直島に行く時は引率なので、私個人の体験としてはオンラインで参加した対話型鑑賞の体験会が印象に残っています。ベネッセアートサイト直島の作品を対話型鑑賞で鑑賞して、最後にベネッセとの繋がりや福武總一郎名誉顧問の言葉を紹介してくださる内容でしたが、直島のアートを観て福武名誉顧問が考えたことが今の会社の理念に繋がっていることを、私知らなかったんですよね。その時に直島のアートの鑑賞と会社の理念と自分の感じ方が繋がって、すごく豊かな気持ちになったというか、すごい宝物を教えていただいた感じがしました。ベネッセの理念「よく生きる」って抽象的ですが、それを掘り下げて考えるときの考え方の手法として対話型鑑賞は意味があると思いました。研修担当として、ベネッセの社員の研修に対話型鑑賞を取り入れることは、単に多様なものの見方や自己理解、他者理解を促す以上に意味があると思っています。

吉田:私もオンラインで対話型鑑賞の体験会に参加させていただきました。人財支援部に異動する前で、当時は美術館に行ったことはあるけれど対話型鑑賞がどういうものか分からない中で参加してみたのですが、その場で一つの作品をじっくり見て話をしていき、自分の中に湧いてきたものを話せる、その環境があることがすごく面白いなと思いました。全く同じ解釈の人って誰一人としていなくて、お互いの思考や考え方を乗せながら新たな気付きが得られていく、その場がシンプルにすごく心地良いなと思いました。普段の仕事では目の前のことに集中して何かを生み出していくことはしていましたが、対話型鑑賞に参加する機会があることで、気持ちを落ち着かせられるというか、自分にとって精神安定剤的な位置づけだったなと思います(笑)。すごく安らぎを与えてくれる場だと思っていましたし、こういう空間って作れるんだ、と驚かされたとともに、すごく感動しました。

吉田:ベネッセという会社でなぜアートを扱っているのか、なぜベネッセアートサイト直島があるのか、それまで正直のところ全然理解していなかったのですが、社会人生活を数年送った後に改めて訪れてみたり、対話型鑑賞に触れたときに、これがコアなんだなって感じたんですよね。ベネッセって、これがあるからベネッセと言えるんだと思っていて。もしベネッセアートサイト直島がなかったら、アートじゃなかったら、ベネッセじゃないなとも思ったんです。これからの時代、新たなものを生み出してく中で、ある意味アートのような答えのないものとどう向き合っていくかが必要になってくるだろうし、それがすごく大事な位置づけになっていく。この時代の中を切り抜いていけるコアなものを持ち合わせているのかなっていうのは感じました。この会社でよかったなって、改めて思いましたね。


大黒:荒川さんと吉田さんは対話型鑑賞のファシリテーター認定プログラムも受講されていますね。ファシリテーターになろうと思ったきっかけもお聞かせいただけますか?

荒川:対話型鑑賞に可能性というか、価値を感じていたので、自分もそういう価値を生み出せたらいいなと思っていました。オンラインでファシリテーター養成講座に参加してみて、自分にファシリテーター役ができるとは思えず認定試験を受けるのを躊躇していたのですが、吉田さんが一緒に受けましょうと背中を押してくれました(笑)。

吉田:対話型鑑賞の体験会に参加する中で、あの場を作れるのってやっぱりすごく価値のあることですし、素晴らしいことだと思ったんですよね。それぞれのファシリテーターが作れるそれぞれの空間があって、どれも各々の色合いはありつつも、心地良さは共通していて。自分もそれを作れたら嬉しいなと、シンプルに思いました。私もあの場に価値を感じていて、一参加者としてだけでなく、それを作る一構成員としていられたらいいなという気持ちが強かったです。

荒川:ファシリテーターの認定を取得して、2023年の秋に入社3年目の社員を対象とした直島での研修で、実際にファシリテーターとして対話型鑑賞をやりました。すごく不安でしたが、やってみるととても楽しかった。参加してくれた方々の考えが本当に面白くて、人と人を理解し合うことってすごく楽しいんだというのを、ファシリテーションをする中ですごく感じましたね。


大黒:今後、対話型鑑賞のファシリテーターとして挑戦したいことはありますか?

荒川:人事系の知り合いや友人と気軽に対話型鑑賞をして、こんなことをベネッセはやってるんだよ、と紹介したいです。人事・人材開発系の知り合いには知ってほしいという気持ちが強いです。あとは、お子さんから大人まで、いろんな人を相手に対話型鑑賞をやりたいですね。そうするといろんな方と知り合えて楽しいんじゃないかって思っています。いろんな人とお知り合いになるための私の道具というか、ツールとして対話型鑑賞のファシリテーションをできたらいいですね。対話型鑑賞の楽しさも伝えたいし、やっぱりベネッセの「よく生きる」という理念も伝えていきたいです。40年この会社で働いていると、理念のような部分ってすごく大事だと思っていて、伝道者とまではいかなくても、対話型鑑賞のファシリテーションを使って、いろんな人に知ってもらえるようになるといいなと思っています。

吉田:ベネッセアートサイト直島の対話型鑑賞ファシリテーターのスキルって、対話型鑑賞以外の場面でも活かせると私は思っていて。人との日常的な対話の中でそのスキルはすごく重要な要素になると思うので、意識して活用したいです。また、答えが出ない問いについて考えなければならない場面が結構あるので、その時にも活かせるといいなと思っています。あとは、荒川さんもおっしゃっていましたが、社外の方と関わる機会も多いので、話のネタとして出してみて、良い意味で「何それ?」と突っ込んでもらったり、そこから対話を広げてベネッセらしさを伝えることができるといいなとも思っています。


大黒:最後に、ベネッセアートサイト直島のプログラムで「こんなことがしてみたい」ということがあれば教えてください!

荒川:まだまだこのプログラムは可能性があると思っています。対話型鑑賞をもっと色々な人に経験してもらいたいし、多くの人に経験していただく中で様々なバリエーションも生まれてくると思う。その活動の中で私がやれるとしたら何ができるのか、考えたいですね。あとは、家族を直島に連れてきたことがあって、当時アートに関心のなかった夫が現代アートを楽しんでいてびっくりしたことがありました。家族一人ひとりにとってもベネッセアートサイト直島が「よく生きる」を考える場所になるといいなと改めて思います。

吉田:ベネッセアートサイト直島と、ベネッセグループをもっと絡められるようにしたいですね。ベネッセの社員にとって、ベネッセアートサイト直島の存在は知っているけれど、まだまだ自分事として捉えられていない。ベネッセアートサイト直島がある意味を自分の言葉で語れないと、本当に良いものがあるのに損していると思うので、なぜベネッセアートサイト直島があるのか、それぞれが自分の言葉で語れるようになればいいと思っています。やっぱりベネッセにとって、そして私という一個人にとっても、ベネッセアートサイト直島、アートってすごく大事な位置づけなんだと分かるくらいの距離感まで近づけられるようになると、私としてもすごくいいなと思います。それはもちろん研修の中で絡めていくのもそうだと思いますが、私自身が発信する機会があれば、どんどん話題として出していきながら、絡めていきたいと思っています。


おわりに

今回は「株式会社ベネッセコーポレーション」人財支援部の荒川悦子さん、吉田光男さんへのインタビューをお届けしました。ご協力ありがとうございました!

これまでのプログラムはこちらからご覧いただけます↓
①ベネッセ3年目研修・理念研修(2022/9/8,15)
②ベネッセ中途研修・理念研修(2023/7/13,14)
③ベネッセ3年目研修・理念研修(2023/9/26)

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