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都築郷夫(つゞき·くにを)の詩と歌と句 act 26 by Tsudsuki, Kunio 附・詩人の為のワードローブ集

(太山寺)
石の指さすままに花野のみちはまよはず來た 種田山頭火

【つぶやき】

 いきなり呟く。これ語感ちよつと變だな。
 ところで私のいつもの詩だが、私の兄のやうに詩の作法に喧しい人は散文詩だと言ふだらう。たゞ適当に行わけした、随想のやうなもの、だと。
 私としてはそんな事かまやしない。例へばランボオの作品の一部は散文詩だが、立派なものである。文脈外れるやも知れぬが、巻頭を飾つてゐる山頭火の行乞記の中で、それ(散文詩)に相当する箇所もある。また、アメリカのビート詩人の中ではカール·ソロモンと言ふ人は散文詩人ださうである。訳出がないのがちと残念。
 と言ふ処で今回もそんなものを少しく載せる。後は讀者各位がどう思はれるか、だ。ぢや行つてみませう。都築。

【(無理にジャンル分けしないこと、強いて言へば)詩】

SNSと言ふのも人を氣がゝりにさせる。
時々妙な拍子で、誰かの
化けの皮(實は単なるお坊ちゃんだつたり)
が剥がれたりもする。
また、話題となつてゐる人物が
仮に年下だつたとしても、
~くんとは呼ばず~さんで通す。
そーんなのーじよーしきー
な訳であるが、また当たり前だけれど、
直に会ふより氣を使ふ 面もあつたり。

総裁選、石破氏はもう冷めちやつてゐる -
さう、どうせ茶番なのだ。スガ、
と言ふあの老人臭い男。
私など絶句してゐる、すなはち
自民党は本当に腐つてゐるのだ、
党員に選挙権がないとは。

今回は(絶句したから?)出鱈目漢詩やらうかな。
これで一段落。

©都築郷夫

【良寛詩!】

強権如狂犬 きようけんはきようけんのやう
噛細菌伝染 かみつけばさいきんがでんせん
如何止狂言 いかにとめるかそのきようげん
政治基術弁 せいじはもとよりべんのじゆつ

今回はわりかしすつとしてるか知ら。まあ出鱈目に違ひはないが。脚韻=en。

で、なんで私如きが良寛和尚の名を持ち出してゐるのか、と言ふと、彼もまた大量の漢詩を物したが、本場中国で制定された詩を書くに際しての規則、一つとて守らなかつた。自由漢詩である。そこからサブタイトルを取らせて頂いたのである。

©都築郷夫 漢詩 chinesepoem

【虚言箴言】

アルコールに頼つてゐる人は、常に幽霊を見、また幽霊と対話してゐるやうなものだ。- ラ=ロシュフコオ(大嘘)

これはラ公には関係ないが、何故昔のヨーロッパ人は、怪異な現象によく遭遇したか?一説に、生水は飲用に的さない為ワインばかり飲んでゐたので、昔と今とのリアリティーの掴み方がだいぶ違つてゐたのだ、とのこと。で、晝間から幽霊を見た彼らを、合理主義者のラ公は嘲笑つてゐる、わけ。

【雑詠・前】

忍の一字貧の一字のことでせう
(©都築郷夫)川柳 senryu

家電が鳴りそれに出るを不思議とし
(©都築郷夫)川柳 senryu

訥弁の弁護士それなりにやる
(©都築郷夫)川柳 senryu

花畠は園児に開放カネは取るが
(©都築郷夫)俳句 kigo

政治のこと頭の端にいつもあるので短歌狂歌の区別なきかな
(©都築郷夫)短歌 tanka

オリジナル料理ばかりの食卓かあんまり豊かな感じはしない
(©都築郷夫)短歌 tanka

【雑詠・後】

タラ淋し淋しいけれどなんだつけ
(©都築郷夫)川柳 senryu
※タラは家に残つた方の猫。

十全に別れた家よとふり返らず
(©都築郷夫)川柳 senryu
※これも猫咄。

花火大會中止バーベキューでもすべ河原はどうにも汚されるもの
(©都築郷夫)短歌 tanka

芝刈機しまふさこれぞザ・中流
(©都築郷夫)俳句 kigo

「情念ばかり描いてきました」さう彼はピンク映画の監督なのだ
(©都築郷夫)短歌 tanka

今回変則的にやつてみました。詩、としてある一篇、らしくないけどやはり詩なのです。それでは、チャオ。都築拝。

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