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★【守備】送球(スローイング)


投手が投げる「投球」とは違う

同じ「投げる」プレーでも、野球の「送球」は投手の「投球」とは違うものになります。

投球 ⇒ 打者からアウトを取るために、捕手へ投げること。
”打者に打たせない”ことが目的なので、速いボールを投げる・変化球を投げる・タイミングをずらす 等、マウンドからホームまでという決まった距離の中で”いかに打ちづらいボールを投げるか?”が重要になります。
送球 ⇒ 打球を捕球したあとに、アウトをとるためにボールを投げること。
打球を捕った位置・アウトカウントや走者の状況 により投げる場所・投げる距離は変わってきます。”アウトを取ること”が目的なので、捕ってから素早く・送球を受ける相手が捕りやすく・速いボールを投げ”捕球後アウトを取りやすいボールを投げるか?”が重要になります。

投げ方で言うと、「投球」は体の開きを抑え打者からボールが見えにくくタイミングがとりづらいようなフォームにするのに対し、「送球」は体を早めに正面に向けてボールが見えやすく相手がボールを捕りやすいようなフォームで投げます。

「投球」と「送球」

リリースも「投球」は遅めに「送球」は早めになります。


以上の違いを踏まえて、「送球」が上達するよう練習を進めます。

送球の上達ポイント

送球は「投げたいところに正確に、より早く投げる」ことが最大の目的となるため(守備のエラーの7割以上は悪送球によるものなので、正確に投げることが最重要)、
● (投げ方の基本はあるが)自分の投げ方・パターンをしっかり作る
● 受け手の次のプレーを考え、投げるところを決める
● 捕球からの送球までの足の運びをスムーズにする

ことがポイントになります。

守備は様々なケース・打球がありますが、パターンを想定し練習すればするほど上達します。また、一つのアウトは何人かの守備の連係によって取るものなのでチームとしての呼吸・意志疎通も送球の上達に伴って向上します。

自分の投げ方・パターンをしっかり作る

さまざまな送球の方法を試してみる

送球は試合中の”とっさのプレー”であるため、常に100%の自分が満足できるフォームで投げることができるとは限りません。自分のフォームでなくても「投げたいところに正確に、より早く投げる」ことができるよう、普段はあまり投げることがないさまざまな送球の方法を練習で試しておき体の使い方を覚えておきます。
≪投げ方≫ 
サイドスロー・アンダースロー・トス・グラブトス

≪動き方≫
ランニングスロー・ジャンピングスロー・回転して送球・滑り込みながら捕球をして送球

など、試合のときの対応方法の”引き出し”を増やすことで、試合でとっさの動きに対応できるようになります。

ただし、慣れない投げ方で肩・肘の故障につながらないよう練習の量には注意が必要です(やり過ぎない)。

受け手の次のプレーを考え、投げるところを決める

相手の体の部位(ピンポイント)を狙って投げる

「投げたいところに正確に、より早く投げる」際に”どこを狙って投げるのか?”決定した上で投げることが重要になります。
そのとき”投げる相手に向かって…”と”いう大雑把なマトでなく、具体的に体のどこを狙って投げるのか?ピンポイントで決めて投げます。よく”キャッチボールの基本は胸に投げる”と言われますが、送球を受けた後でタッチが伴う(ギリギリの)クロスプレーがある場合は足元を狙ったほうがアウトにできる確率が上がります。また、捕手の2塁盗塁を刺す送球をする際は投手の頭の上を狙うとちょうど良い高さの送球になるケースが多いです。

普段のキャッチボールから意識してピンポイントで投げ分ける練習を入れておくと、いざというときスムーズに投げることができます。

相手の次のプレーを考えて送球する

このように、送球は守備の流れの中でのプレーになるので「相手の次のプレーを考えた送球」は アウト・セーフ→試合の勝ち負け を大きく左右する要素になります。
ピンポイントを狙って投げることは次のプレーを考えた上での「相手のことを考えた思いやりのある送球」ということで、ここは全部員が共有するよう繰り返し伝えます。

自分の送球の「クセ」を把握しておく

ピンポイントで狙った送球を思い通りに投げられても、送球が途中で曲がってしまっては(例 シュート回転・カット回転…)狙った場所からそれてしまうので「投げたいところに正確に投げる」目的を達成することはできません。場合によって、アウトがセーフになり勝つ試合が負けとなる送球となってしまいます。
ただし、送球が常に100%の自分が満足できるフォームで投げることができるとは限らないので、
  送球のクセ(回転のクセ)を直して
   まっすぐな送球をいつも投げることができるようにする… よりは
  自分の送球の「クセ」を把握しておき、
       そのクセを踏まえて狙う場所をピンポイントで決めて送球
するほうが実践的で良いです。

送球のクセは普段のキャッチボールである程度把握することができますが、ノック等で送球をした際に、投げっぱなしでなく投げた後の自分のボールがどんな回転で相手に届くのか?確認し、自分の送球のクセを覚えることが重要です。
送球の理想は縦回転できれいなスピンのボール(曲がらない)になるので、 
 日常のキャッチボール ⇒
   縦回転が習得できるよう”自分にとって投げやすく、力を入れずに
   ボールが伸びる”縦回転の投げ方の練習を行なう
 試合・実戦 ⇒
   自分の送球のクセを踏まえピンポイントで狙う場所を調整し送球
と考えます。

捕球から送球までの足の運び(ステップ)をスムーズにする

送球は守備の一連の流れである「捕球→送球」の最後の動きになるので、その動作の流れを作る足の運び(ステップ)は良い守備を行なうポイントになります。
厳しい捕球体勢での守備になっても良いステップで足を運ぶことで送球を楽にすることができるので、ステップのポイントを把握し日常の練習の中で習得します。

”軸足の内側のくるぶしを相手に見せる”

送球がしやすくなるように足を持っていく際は、”自分の軸足(右投げは右足)のくるぶしを相手に(垂直に)見せる”ことを意識します。
● 軸足に体重を乗せることができ(上半身だけでなく)
     下半身で送球を投げることができ安定した送球になる。
● (右投げの場合)送球先に左半身を向けることになり、
         体重移動・回旋運動を利用した送球ができる。
 ⇒ 体重移動・回旋運動なく肩・肘だけで送球すると故障のリスク
というメリットがあります。

外野手の送球の判断

例えば走者2塁の場面で外野にゴロ打球(ヒット)が飛んできたとき、2塁走者をアウトにすべくバックホームをします。ただし、このときどう見てもアウトになるタイミングでないが本塁へ送球をしてしまい、結果打者走者を2塁まで進めてしまう ケースがよくあります。
外野の場合、
 ● ポジショニングが打者や状況で大きく変わる
 ● 送球の距離が(内野に比べ)長くなる
 ● 走者の走行距離は長いため(1つ進塁でなく、2つ3つ進塁するケース
   が多い)、徐々に加速していく走者のスピードを計算しにくい 
という理由で、送球する・しないの判断は難しいものになります。
基本は外野手が経験を積んで間に合う・間に合わないの判断能力は高める形になりますが、以下のポイントをおさえておくといざというときにミスを最小限に抑えることができます。

周りから送球の是非を声掛けする

打球を捕球し送球する外野手・中継プレーに入る内野手は、打球を走者を目視確認することで精いっぱいなので正確な判断をすることは難しいです。
周りでプレーを見ている・カバーリングに入っている野手は広く状況を見ることができているため、周りから送球すべきか?しないべきか?を大きな声で声掛けしたほうが良い判断になります。
声掛けは、一言で判断内容が伝わるように何というか?はあらかじめ決めておく必要があります。

送球は低く投げる

送球をするときは、低く投げる(高く上げてしまわない)ということが重要になります。
例えば走者2塁の場面でバックホームをする際には必ず中継プレーのため内野のカットが入りますが、送球を高くなると内野のカットがボールを捕れずボールは本塁まで到達してしまいます。その結果打者走者が2塁へと到達してしまいます。
また、到達タイムで見たときに”高い送球でノーバウンド”より”低い送球でワンバウンド”のほうが早いです。外野手は走者の状況に関わらず送球する時は低い送球をし、その送球をカットするのか?しないのか?走者のアウトにしににくのか?いかないのか?打者走者のほうに変更するのか?の判断は捕手・内野手で行なう 形が良いです。


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