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元法律家がクリエイティブ会社にジョインした理由、そして葛藤…

みなさま、こんにちは!
株式会社バスキュールの、ちぐです。

バスキュールは、承認欲求よりも自分の好奇心を優先して行動するスタッフが多いためか、“謎な会社”、“異端児の集団”というイメージが強いと言われることがあります。

そこで!

バスキュールの実態を紐解き、「大丈夫…、こわくない。」ということを知ってもらうため、あまり自分のことを話したがらないバスキュール社員のインタビューを連載していきたいと思います!

▼ 過去のインタビューは、こちら
#1 プロデューサー:南郷瑠碧子
#2 エンジニア:ぷとし
#3 TD:大澤咲子/映像ディレクター:上田昌輝/デザイナー:河合良美

今回の社員インタビュー第4弾では、バックオフィススタッフの山本一平さんを紹介します!

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山本一平/経営企画 2015年入社

バスキュールが、未だ誰もやったことのないクリエイティブの領域に挑戦し続けるためには、ディフェンスがしっかりしていて、安心して日常の業務が行えることが重要です。
“そんなこと当たり前でしょ?”と思う人もいると思いますが、常に前に攻め続けるクリエイターはスポットが当たりにくいディフェンスの価値を、つい見落としてしまうことがあります。
バスキュールの守備を強固なものにしてくれている一平さんの最大の特徴は、弁護士としての経歴を持っていること。バスキュールのスタッフとは対極の存在だと言える彼がどんなふうにバスキュールを理解してスタッフを支えてくれているのか、話を聞いてみました。

現在は、法務に限らず総務や会計・経理など幅広い業務を担当している一平さんですが、弁護士時代はどんな仕事をされていたのですか?

主に企業法務を担当していました。企業間の紛争や事件を解決することが仕事です。基本的に、トラブルが起きてから依頼された事件をスポットで担当して解決するという流れでした。その他、契約書の作成やチェック、細々とした日常の法務相談なども手掛けていました。
6年ほど続けて、やりがいはあって充実もしていたのですが、後半は仕事の幅が狭まってきているように感じられ、なんとなく同じように仕事を続けているだけでは今後成長できないのではないか危機感を覚えるようになったことが転職のきっかけです。次にどういうステージを選ぶかをフラットに考えたとき、役割を変えてみたい、いろいろな会社に外からスポットで関わるのではなく、ひとつの会社の事業をずっと見続ける経験を積んで視野を広げたいと思うようになりました。

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一体どうやって、そこからバスキュールに行き着いたのですか?

弁護士業務に携わる中で法的な考え方はそれなりに身についていたのですが、会社が普段どういう風に回っていて、どうやってお金やビジネスが生まれていくのかということが全く分かっていませんでした。まずはビジネスの基本から身につけたいと考え、法務以外にも会計・経理や組織体制づくりまで、幅広く関わらせてもらえる会社を探しました。

法務以外は未経験だけどチャレンジさせてくれる会社で、会社全体の動きが自分の目で見通せる規模の会社がいいな、それなら創業して間もない会社や、新しい事業にチャレンジしようとしてる会社から探すのがよさそうだと考えていたところ、「そういう会社を探すならWantedlyが良いよ」と、友人が教えてくれたことがバスキュールを知るきっかけでした。

当時バスキュールは日本テレビさんと、テレビとインターネットの融合の実現を目指してHAROiD社(現LivePark社)を立ち上げようとしているタイミングでした(入社前はまだ公になっていなかったので、新規事業を立ち上げようとしているということしかわかりませんでしたが)。それ以前にもバスキュール号というソーシャルマーケティングサービスの会社をミクシィさんとつくった実績があるということだったので、誰もが知るような会社と組みながら新しいことに積極的にチャレンジする会社なんだなと興味を惹かれて応募しました。クリエイティブ業界にまったく馴染みがなかったため不安はあったのですが、最終面接での社長の朴さんの「こんな小さな会社で大きな会社と対等の関係をつくりながら、自分たちのやりたいことにチャレンジするプロジェクトをいくつも実現してきている。経営に関わる立場でいろんなことにトライしてみたいなら、求めてるものが得られる環境だと思うよ」という言葉に強く魅力を感じたので、入社を決めました。

「めちゃくちゃハイスペックな人が面接に来た!」と社内がざわついていた記憶があります。実際に入社して未知の環境に飛び込んでみて、どうでしたか?

入社初日からさっそくHAROiD社立ち上げプロジェクトに入ることになりました。もう契約交渉が最終局面に入りつつあったので、キャッチアップすることが山積みで、いきなりフルスロットルで取り組まなければならず大変ではありましたが、幸い、このプロジェクトでは弁護士の経験がすぐ活用できて役に立てる分野の仕事が多かったので、スムーズなスタートが切れたと思います。
ただ、今思うと、バスキュールがHAROiD社のプロジェクトなどを通じて何を目指そうとしているのか、それ以外のプロジェクトでもそもそも何を原動力にしてどんなチャレンジをしようとしているのかが全然理解できていませんでしたね。そういう意味で、まだまだお客様に過ぎなかったというか、外からスポットで関わる法律事務所の弁護士時代とマインドも目線も変わってなかったなと思います。

総務や会計・経理などの未経験の業務を担当することは大変ではなかったですか?

完全に未経験だったので入社前は不安でしたし、実際覚えることはたくさんありましたが、バックオフィスマネージャーの有井さんの心強いサポートがあったので、心配していたほどの困ったことにはなりませんでした。

業務の中身よりも、むしろ一番苦労したのは、スタッフの気持ちや行動がなかなか理解できなかったことですね…。これまで自分が当たり前だと思ってきた価値観とのギャップにかなり戸惑いました。
制作に通じる専門的な知識に関わる業務は責任感をもって率先して担当してくれるのに、管理系の事務的な仕事をお願いすると、途端に締め切りは守ってくれなくなるし、終いにはやりたくないと言われてしまって驚いたこともあります(笑)。
なぜ、やらなくちゃいけないことをやれないのか?当たり前にやることじゃないのか?そもそも、やりたくないと堂々と言ってくるなんて一体何なんだ?と、最初はかなり理解に苦しみました(笑)。

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あはは!まぁ私もそのスタッフの一員なので、笑っちゃダメですが…。
でも今は、さほど苦しんでいない感じがしますが、何か変化になるきっかけがあったのでしょうか?

入社して1年ほど経ったころ、組織づくりに本格的に携わるようになったのですが、自分でイメージしている「あるべき姿」とスタッフのみんなの考え方や行動がかなりズレているというケースがしょっちゅう発生していたので、どういう軸をもって取り組めばみんなにとって価値ある仕事ができるのかがまったくわからなくなってしまったんです。その時に僕があまりに困っているのを見かねて、ひとりで悩まずにもっと気軽にみんなに相談して力を借りるといいと思うよと声をかけてくれた人がいて、それを機に社内の有志による社内改善会議が立ち上がりました。これはその後定例化して、今でも続いています。

振り返ってみると、ここがターニングポイントだったと思います。社内の情報共有の仕組みやコミュニケーションのあり方をどう改善していくかといった大きなことから、備品を購入するときにどれが使い勝手がよさそうかといった小さなことまで、なんでも気軽にいろいろな立場のスタッフの意見が直接聞ける場ができたことで、クリエイターの気持ちや行動原理が少しずつ理解できるようになりました。

社内改善定例にはクリエイティブディレクターの馬場さんも参加しており、「この会議で出た案をどうやって届けたら、みんなの行動にまでつながるか?」というところまで一緒に考えてくれているので、とても助かっています。実際、社内のみんなからの反応も、自分ひとりで悩んでいた時よりも目に見えて良くなりました。社内レベルのことではありますけど、体験をデザインするってこういうことか!とすごく納得しました(笑)。

社内改善定例をきっかけにできた社内システムもありますよね。
詳しく教えてください!

“PRESM”というプロジェクトとリソースの管理システムや経費精算システムを内製で制作しました。どちらも既存の外部サービスを導入しようと検討しても、使い勝手がよさそうなものがなかなか見つからずに困っているという話をしたところ、無いなら作ろう!という動きが立ち上がりました。
僕は管理側として、業務フローを説明して実装が必要な機能を伝えるのが主な役目でしたが、開発チームはこちらの要望をすぐに汲み取ってくれた上に、さらに「それならこういうのはどうですか?」とブラッシュアップしてイメージしていた以上のものを実装してくれるということが何度もありました。時にはこちらのイメージと実装された機能が食い違うこともありましたが、お互いが何を目指して何を実現しようとしているのかを理解するためのやりとりがスムーズにできたので、解決に苦労はしませんでした。単なる作業をお願いすることは大変だけど、良いものを作るためのコミュニケーションは、とてもきめ細やかに取れるんだ!と感心しました(笑)。

みんなの考えや思ったことが、すぐさま形になって実現されていく。デジタルなものづくりの現場に初めて立ち会って、納品物がゼロから出来上がっていく様子を見れた経験は大きかったです。何よりも、クリエイターのものづくりに懸ける情熱に直に触れたことで、クリエイターに対するリスペクトが高まりました。

システムを導入して、私たちスタッフも申請や入力が楽になりました。
バックオフィスの業務もかなり改善されたみたいですね。

めちゃくちゃ楽になりました!こちらの作業にかかる時間が大幅に削減されて、より重要な業務に時間をかけられるようになりました。テクノロジーの凄さを目の当たりにした瞬間でしたね…!自動化・省力化のためにエンジニアが発揮してくれる力に感動すら覚えました。
ただ効率化されただけでなく、それまで把握できていなかったデータも含めて様々な切り口で精度の高い分析ができるようになったんです。自分で手を動かしながらいろんな角度から数字を眺めてられるようになったので、目の前の現象と数字が有機的に結びつくようになり、経営への理解が一気に深まりました。

本当の意味で業務改善が実現したんですね!
社内改善をきっかけにスタッフの気持ちが理解できるようになってから、どんな変化がありましたか?

社内の仕組みや制度を考えるときに、管理側の都合を押しつけて楽をしているだけになってないかをいつも気をつけるようになりました。面倒くさい作業を「やりたくない」と言えることは、ある意味とても健全で、その視点があるからこそ選択肢が増えて、より良い解決策を導き出せることがあるのだと気付いたことは大きいですね。誰だって「つらい、面倒くさい」って言いながら仕事を続けていくのは楽しくないですもんね。
また、何でも気軽に相談して意見を聞くことができる味方や理解者を作ることの大切さを痛感したので、スタッフみんなと気軽にコミュニケーションをとれる関係づくりを心掛けています。

入社当時はバスキュールがどんなチャレンジをしているのかが分かっていなかったというお話がありました。バスキュールという会社についての理解も深まったのでしょうか?

バスキュールは以前からWEB以外のいろんな領域にチャレンジし続けていますが、僕の入社後はますますその動きを加速させています。プロ野球選手の実際の投球を体験できる『VR REAL DATA BASEBALL』、リアルタイム流星観測システム『MeteorBroadcaster』、聴覚による拡張現実を実現する『音声ARシステム』※1 などが自社プロジェクトとして生まれ、様々なコンテンツやイベントへと発展していく過程に立ち会うことができました。
これらの動きを見て実感したのは、今までにない面白いモノや、人の心を動かすコンテンツをつくりたいというクリエイターたちの情熱がものすごくピュアなんだということです。自分たちがつくりたいもののためにかけるエネルギーには圧倒されました。

その情熱の根っこには、未知の体験や感動をみんなで楽しんでもらいたいという思いがあって、それこそがバスキュールという会社の原動力なんですよね。それが分かるようになったら、HAROiD社 ※2 についても、テレビとインターネットの融合というチャレンジは、テレビを通じて何百万、何千万人のユーザーが同時に新しい体験を共有することを実現し、ひいてはテレビビジネス自体を新しくアップデートしていくことを目指すもので、新しく生まれてきた自社プロジェクトたちに先駆けて壮大なチャレンジをしていたんだと理解できるようになりました。

※1:『音声ARシステム』は電通ライブ社との共同開発
※2:HAROiD社は、2019年8月にオンラインライブエンターテインメント事業を推進するLivePark社とID/データ事業を推進するYourCast社に分社化しており、後者は在京民放5社と広告会社4社で設立されたプレゼントキャスト社の子会社となって、テレビ局横断のデータプラットフォームの実現を目指しています。

これからは、どんな仕事に力を入れていきたいですか? 

クリエイター集団であるバスキュールのバックオフィススタッフのミッションは、クリエイターが安心してクリエイティブに取り組むための土台をつくり、未知の領域への挑戦を支援することです。これまでは、社内の環境の整備に重点を置いて取り組んできましたが、今後は仕事の領域を広げて、HAROiD社のケースのようにバスキュールの未知の挑戦に価値を感じてくれた他の会社と一緒に新規事業を立ち上げて育てていく動きに深く関わっていくことで、バスキュールの活動領域を広げていくという形での土台づくりに貢献していきたいと思っています。

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この場を借りて、最後に一つだけ聞かせてください。
一平さんがクリエイターの気持ちにどう寄り添ってきたかというストーリーを聞けて暖かい気持ちになったのですが、反対に周りのスタッフがバックオフィススタッフに、どういう風に寄り添ってもらいたいか思うことはありますか?

バスキュールには常に新しいことに挑戦するプロジェクトに取り組んでいたいという人が集まっていますが、そんなプロジェクトにも地味で泥臭い仕事はたくさんあって、それらを引き受けるという形で貢献してくれている人もいれば、我々のように地道に会社全体の土台を支える役割の人間もいます。どういう種類の仕事であれ、誰かがやらなければならない仕事にかける労働力を透明なものとして扱われるような空気を感じると、少し悲しくなります。それぞれがそれぞれの持ち場で頑張っているので、お互いの役割に対するリスペクトを大切にする会社であってほしいなと自戒を込めて思っています。

ちなみに、そうやってバスキュールの土台を長年支え続けてきたのが、僕の心強い味方であるバックオフィスマネージャーの有井さんです。みんな有井さんの存在が当たり前になっているので、あまり気づいてないのかもしれませんが、有井さんみたいに器が大きくて責任感の塊のような超人はなかなかいませんよ!スタッフに分かりやすく見えるのが、毎週金曜に有井さんがお手製の豪華なまかないを振る舞ってくれる“ゆかりキッチン”ですが、そこだけを見て「有井さんありがとう!」と思っているのなら、本当の有井さんの凄さが全く分かっていないな、ということは声を大にして言いたい(笑)。

切実な思いを聞けて良かったです。
ありがとうございました!

先日バスキュールでは、人の「強みの元=才能」を見つけ出すストレングスファインダーのテストを実施しました。一平さんは、社長の朴さんをはじめ、多くのスタッフが下位の資質を上位の資質に持っているという結果となり、分かりやすく対極の存在であることが可視化されました。
また、弁護士というスキルの影響か、文章の記憶は得意なのに図形の認識や映像の記憶が極端に苦手で、周りのスタッフと同じものを見ているのに認識している内容が全く違うことも少なくないようです(超左脳型で、世界を文字で認識してる気がするとのこと)。
だからこそ、コミュニケーションのやり方はお互い工夫していかなければなりませんが、能力の範囲・気質・考え方など、ほとんどの項目において対極の存在である人が、バスキュールを理解して支えてくれているのは、とても心強いと感じることができた取材でした。

第5弾の社員インタビューは、
エクスペリエンスデザインディレクターの本瀬さん!
近日公開予定

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