2025年までに「サステナブルなチョコレート」を当たり前に～バリーカレボーの取り組みとは～
私たちは皆、チョコレートが大好きで、いつまでも存在していてほしいと思っています。しかし、そのためには、サステナブルなチョコレートが当たり前になる必要があります。そのために、大胆な新しいビジネスの方法を見つけ、パートナーを集め、実現しなければならないのです。
バリーカレボーの「フォーエバーチョコレート(Forever Chocolate)」は、2025年までにサステナブルなチョコレートを当たり前にするための計画です。具体的な4つの取り組みは下記の通りです。
50万人以上のカカオ農家を貧困から脱却させる
サプライチェーンから児童労働を排除する（※1）
カーボン＆フォレストポジティブになる
すべての製品に100％サステナブルな原材料を使用する
※1：ここでいう児童労働問題は、国際労働機関（ILO）が定めた基準に基づく。
この目標は大変なもので、どうすれば達成できるのか、すべての答えを持っているわけではないかもしれません。しかし、チョコレートを大切に思うすべての人たちと力を合わせれば、必ず達成できると信じています。
フォーエバーチョコレート - 2025年までにサステナブルチョコレートを当たり前にすること
フォーエバーチョコレートは、正しいことを行うだけではありません。チョコレートの未来を守ることなのです。
根本原因の把握
チョコレートは、チョコレートを愛する皆様に喜びをもたらすおいしい製品です。また、世界中の多くの人々や国々に雇用と価値をもたらしています。しかし、チョコレートのバリューチェーンには、構造的な問題があります。
劣悪な農法や栄養不足の土壌、カカオの木の老朽化などにより、カカオ農園の生産性が低く、多くの農家が貧困状態に陥っています。
カカオ農家が収入を増やすために、農園の生産性を上げる新しい手法に投資することを阻んでいます。
また、貧困のために農家は専門職を雇うことができず、子供を含む家族に畑仕事を頼らざるを得ません
その結果、子ども時代や教育を奪われたカカオ農家の未来の世代は、この悪循環を断ち切る力を得ることができないのです。
そして、サステナブルチョコレートに必要なのは、サステナブルカカオだけではありません。チョコレート原料やチョコレート製品の生産において、森林破壊をゼロにし、炭素排出を抑制することが必要です。
チョコレートの未来を守るためには、チョコレートのバリューチェーンに関わるすべての関係者が共通の志のもとに結束し、こうした構造的な問題への取り組みを強化することが必要です。
4つのサステナビリティの目標
バリーカレボーがサステナブルなチョコレートを当たり前にしようとする「フォーエバーチョコレート」の4つの目標の詳細についてご紹介します。現時点におけるそれぞれの具体的な活動内容、測定結果、事例などを見ていきましょう。
生産者の繁栄（農家の所得向上・脱貧困）
目標
「2025年までに、チョコレートにおけるサプライチェーンの携わる50万人以上のカカオ生産者を貧困から解放すること」
アプローチ
アフリカにある多くのカカオ生産地では、旧農法により生産が行われており、機械化が進んでいない状況にあります。農家や農民の現状を調査した上で、既存の農業モデルを変革し、新しい農業のビジネスプランを提案。生産者へのオーダーメイドサービスを導入しています。
測定結果（2020‐21年）
貧困から脱却した、バリーカレボーのサプライチェーンに所属するカカオ生産者：214,584人
農業サービスを受けている生産者：125,593人
農園ビジネスサービスを採用する生産者：92,508人
ココアホライズン認証商品によるサステナブルな活動への投資：約35億円
児童労働ゼロ
目標
「2025年までに、サプライチェーンから児童労働をゼロにすること」
アプローチ
児童労働の撲滅に向けた当社のアプローチは、OECDの責任ある企業行動に関するガイダンスに密接に従った人権デューディリジェンスの包括的な枠組みのもと、子どもを中心としたシステムの強化とデータ駆動型のリスク分析能力の応用に基づいています。国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に従い、子どもたちが児童労働に巻き込まれるリスクを現場で調査し、改善に導きます。
測定結果（2020‐21年）
判明した児童労働の件数：21,258件
改善中の児童労働件数：25,486件
児童労働における監視、調査、改善を行う地域において、バレーカリボーが直接調達している生産者のグループ：61%
児童労働のリスクに適切に対処していると考える第三者サプライヤーから調達されたカカオ、およびそれ以外の原料の割合：25％
自然を豊かに（自然環境保護・脱炭素・森林保護）
目標
「2025年までに、カーボンポジティブ、フォレストポジティブを実現する」
カーボンポジティブ：二酸化炭素（CO2）の吸収量・削減量が、排出量を上回る状態のこと。
フォレストポジティブ：これ以上の森林破壊をせず、森林の再生や大規模な植林等を行うこと。
アプローチ
二酸化炭素排出量の削減と、森林破壊のないサプライチェーンの実現に取りかかります。2016年のフォーエバーチョコレートの開始以来、販売製品の数量が14%以上増加したにもかかわらず、合計で17%以上のカーボンフットプリント（CFP）の削減を実現しました。さらに、大気中の炭素排出を防ぐためのカーボンシンクや、栄養不足となった土壌を更生するバイオ炭樹木の保護にもアプローチしています。その他のアプローチとして、生態系の回復、生物多様性、アグロフォレストリー(※3)にも焦点をあてています。
測定結果（2020‐21年）
フォーエバーチョコレートを開始した2016年以降のCFP低減率：-17%
製品1トンあたりのCO2e（二酸化炭素換算）：3.57
土地利用変化の削減：10％以上
森林破壊に関与していないとされる原材料の資料：29%
配布したカカオの苗木：260万本以上
配布したシェードツリー(※3) ：約200万本
※2 アグロフォレストリー：同じ場所で農業・林業を行い、さまざまな植物を一緒に植えること。
※3 シェードツリー：日本語では「日陰樹」と直訳される。他の植物を直射日光から守るために植えている木のこと。
サステナブルなチョコレート（100％サステナブルな原材料調達）
目標
「2025年までに、すべての製品に100％サステナブルな原材料を使用する」
アプローチ
バリーカレボーでは、調達する原材料の約半分がココア製品、残りの半分が乳製品、パーム油、ココナッツオイル、ナッツ、サトウキビ、ビート糖、大豆レシチン、バニラなどの非カカオ製品になります。私たちは、すべての原材料をサステナブルな方法で調達することを確実にするため、既存の持続可能な調達方法・プログラムを採用する、あるいは、特定の原材料について既存のプログラムや方法がない場合は、業界全体のサステナビリティの基準やプログラムを確立することによって達成することができます。
測定結果（2020‐21年）
サステナブルなカカオ以外の原材料の使用：66%
100％サステナブルなカカオやチョコレートを使用した製品の販売：43%
サステナブルな方法で調達された原材料：48%
参考：That’s what Forever Chocolate is all about… （英語）
参考：フォーエバーチョコレートプログレスレポート2020/21（英語）
以上がバリーカレボーの4つのサステナビリティの目標でした。
４つの目標を具体的に掘り下げた記事についてはこちらからご覧いただけます
2025年までに50万人以上の生産者を貧困から救うために～農家の所得向上に有効な取り組みとは～
2025年までに児童労働の根絶を目指す～子どもたちとチョコレートの未来を守るために～