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ソーシャルコマースって必要と言われるD2C時代にSNS上でブランド価値を創出

eコマースの普及により、人々の買い物の形も日に日に変わってきています。それに伴い、デジタル空間におけるコミュニケーションは、これまでになく重要なものとなっています。調査によると、一度パッケージ入りの製品のオンライン購入を体験した人は、その後もオンラインでの購入を続けるとのことです。

ここ日本では、消費者の31.6%は2020年の3月から5月の間にeコマースへの支出が増加したと回答しています。また、55.6%は今後も支出が増加し続けると思うと回答しています。

D2Cブランドが消費者の間でスタンダードとして認知されるようになる中、企業はコンバージョンを促進するためにコミュニケーションを微調整しなければならないという喫緊の課題に直面しています。

SNSの実情と、どうアプローチすればSNSでブランド価値を創出できるかを説明します。

「コマース」 と 「コミュニケーション」の融合

購入に至るまでのカスタマージャーニー全体が、スマートフォン上で完結するようになっています。SNSはこれまで、純粋にコミュニケーションチャネルでしかないと思われてきましたが、ここにきて直接販売するために使われることが増えています。

FacebookショップやInstagramショップは、Shopify、BigCommerce、Stores.jp、Baseなどのeコマースプラットッフォームと提携しています。また、TikTok、Snapchat、およびLINEなどのSNSも、eコマース業界に進出しています。

いずれ、SNS上で完結する購入形態が新たなスタンダードになります。購入するのにウェブサイト、アプリ、または店舗を訪れなければならないという形態は面倒な障壁とみなされるようになるでしょう。その傾向は特に、SNS上で完結する購入形態を導入する競合相手が増えるにつれ、強まっていくはずです。

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現在、SNSをうまく用いられるかどうかで、命運が分かれる状況となっていますが、根幹の部分でもがいているブランドが多いのも事実です。

企業にとっての大きな課題:
カテゴリゼーション、深さ vs. 幅広さ、需要と供給

■ カテゴリゼーションの課題

ほとんどの企業は、メディアと広告主関係を結んでおり、SNSも同様のものとみなしています。

SNSは広告主 / パブリッシャー / 消費者の間の力学を根底から覆しました。

誰でもSNSで投稿ができるようになっています。つまり誰でもパブリッシャーになることができ、より多くのパブリッシャーからより多くのコンテンツが投稿されて消費される事態になっているのです。これによって、1ヶ所に注意を集中させることが難しくなり、1つの広告を展開してもSNS以前の時代ほどのインパクトを実現するのが困難となっています。

人々はSNSの使用時にはコンテンツを消費しようとしており、フォローしているアカウントが面白いコンテンツを投稿することに慣れています。そのため、企業は実のところ、SNS上では自身をパブリッシャーとしてカテゴライズすべきなのです。

深さ vs. 幅広さの課題

誰しも熱狂的なファンと幅広いオーディエンスの両方を獲得したいものですが、実際にはその両方の獲得に等しく成功するのは一握りにとどまります。

一般的には、幅広いオーディエンスにアプローチすることを優先すると、特定のターゲットと深い関係性を結ぶことが難しくなります。その逆も然りです。ほとんどのブランドは、程度の差はあれど、以下の図のライトブルー線のどちらかの側に収まるでしょう。

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大手SNSチャネルは、競争が激しい成熟した市場となっています。そのため現在では、深さを優先してマイクロコミュニティーの形成を重点的に行うのがトレンドとなっています。ここから、次の課題が生まれます。

需要と供給の課題

SNSは、早期に投資することでより大きな成果につながります。その意味では、まるで株式市場や不動産市場のようなものです。

プラットフォームが成長するにつれ、競争も激化します。そのため、周囲に埋もれずにユーザーにユニークな価値を届けることがより難しくなるのです。参入が遅れると、戦略であれ、クリエイティブであれ、制作であれ、より多くのリソースが必要となります。なぜなら、類似製品を売るために類似コンテンツを投稿する類似ブランドと競争しなければならないからです。また、広告主が投入する広告費も増加します。

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SNSマーケティング戦略の成果が芳しくなければ、需要と供給の問題が出てくるのも目に見えています。

フォトジェニックな画像はあって当たり前になり、インフルエンサーが投稿の中で製品を紹介するのも日常の風景と化しています。プレゼントキャンペーンでは、これまで買ったことのないブランドから購入予定のない製品のプレゼントをゲットできる0.001%の可能性と引き換えに、ユーザーはフォローなどのアクションを要求されます。

人々がフォローしたりファンになったり購入を検討するのは、何らかの価値を提供されているからであり、これは私たち皆が知る事実となっています。では、コミュニケーションとコマースが融合した今、SNSでいかに価値を提供できるでしょうか。

より人間らしさが宿る体験をSNS上で提供

ソーシャルコマースとは突き詰めれば、取引ベースのアプローチから離れて、人々により「人間らしい」体験をオンラインで提供することです。そこで重要になるのは、宣伝やクリック回数というよりむしろ、マーケティングやストーリーテリングなのです。

進出が容易になりコモディティー化が進行している市場においては、競合間で最も大きな差になるのは人間らしさ、そしてそこから感じられる誠実さです。

そこで目標とすべきは、大規模小売店やスーパーストアが幅を利かせているSNS空間に、近所で夫婦が切り盛りしているような店舗の体験を再現することです。

▶︎ 誠実に、そして人間関係を大切に

それは言い換えれば、誠実であれ、そしてコミュニティーの一部であれ、ということになります。私たちが小規模ビジネスを支える主な理由の1つは、そこに人間という要素があるということです。そこで働く人々、その店舗が歩んできたストーリー、そして地域とのつながりなどです。

実際、ある調査において、消費者の77%は、ブランド価値や評判が信頼できるので支援したいという理由のみで、製品やサービスを購入することが時々あると回答しています。(

製品の機能のみで差をつけようとするのではなく、ブランドが頼るべきは自社に関するストーリー、それも自社で働く人々や作られる物が登場し、場所や時間や方法などの背景情報も充実したストーリーなのです。その上で、パブリッシャーのアプローチで、特定のプラットフォームにおける特定のターゲット層にプラスになったり関心を呼ぶような分野を中心としたコンテンツを通して、関係性の構築を行います。

ターゲットが自社の様々な要素を画面越しではあれ手に取るように体験できるようにすることで、共感を呼ぶことができます。これによってコミュニティーが成長し、信頼が形成され、購入意思が強まっていくのです。

▶︎ 店舗内での接客をSNS上で展開

店舗内で質問をしたり何か発言をすれば、店のオーナーか従業員が返事をしてくれるだろうと期待するものです。これを、SNS上でも再現しなければなりません。

それには大きな理由が2つあります。

消費者はSNSをカスタマーサービスチャネルとみなしており、またSNSは今や購入場所にもなっています。

日本では、調査対象となった若者は、問い合わせ方法として電話(22.6%)または実店舗で直接(21%)よりもメール(30.8%)およびSNS(26.4%)を好むと回答しました。つまり、ブランドにとってはオンラインが顧客との主要な接点となっているのです。この調査では、10代の回答者では32.2%がSNSを好むと回答しており、そこから今後もSNSを好む傾向が強まるだろうと推測できます。(

SNSを活用すれば、何が有効で何が無効なのか、人々は何を知りたがっているのか、そして何に飽きてもう聞きたくも見たくもないと思っているのか、といった消費者に関するインサイトが無料で得られます。

消費者は、SNSで連絡できる企業には親しみを覚え、eコマース機能がそこに埋め込まれていれば、スムーズに購入までできます。

▶︎ 付加価値の提供

企業がSNSアカウントを通して人間らしさのこもった体験をできるようにすると、より重要なファンや顧客をより的確に認識できるようになります。これによって、そうしたファンや顧客との関係性をさらに強化するチャンスが生まれます。

企業はこうした場面で、付加価値を提供することができます。例えばクーポンコード、限定体験、アーリーアクセス、プレゼントなどの提供という形態が考えられます。

中でも、プレゼントキャンペーンは特に有効であることが多いです。ブランドのことをある程度把握していてブランドとの関係性も構築済みのフォロワーをターゲットにできるからです。

一部の選りすぐりのファンに嬉しいサプライズを提供すれば、以下のJ. Crewの事例のように、ポジティブな反応や口コミの増加につながることもあります。

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「J.CrewのCEOからこんなありがとうメッセージが届きました。他にも買えるところはたくさんあるのに、J.Crewを選んでくれてありがとう、と書いてあります。さらに、これは購入製品やクーポンと一緒に届いたわけではなく、純粋にギフトとして届いたものです」

SNS以前の時代には、企業はまず製品を作ってそれからオーディエンスを構築しました。今では、多くの企業がまずオーディエンスを構築して、その後製品をリリースするようになっています。

自身のブランドを立ち上げるアーティスト、セレブ、およびインフルエンサーが増えていることに鑑みれば、このトレンドが勢いを増していることがわかります。

コマースが様々なオンラインコミュニケーションチャネルにどんどんとシフトしていく中で、企業にとって最も重要なのは、オーディエンスとSNSに焦点を絞ることなのです。

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英語の記事:Creating Brand Value for Social Commerce

見てくれてありがとうございます!!☺️

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