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Barbara Murata Tomomi
2023年6月30日 03:25
父が緊急搬送されてから二ヶ月になろうとしている。正直、こんなに長く記録を書き続けるとは思っていなかった。父は危篤状態を乗り越えて病状は低空飛行ながらも安定し、かと言って良くなる訳ではなく、がくんと落ちたら少し這い上がり、けれども元のところには這い上がり切れずに少しずつ少しずつ坂を下っていっている。二ヶ月前の緊迫した時期を過ぎて、今はただただ時間を作って会いに行き、母と二人で思い出話をしなが
2023年6月30日 02:06
父記録 6/17晴れ、夏日今日も父はよく眠っている。穏やかな顔をしていた。鼻からの酸素と、右腕の点滴からの栄養と水分と薬が父の命を繋いでいる。「お母さんが保育園に勤め始めて、初めての夏休み、ともちゃん喜んでねえ。『なちゅやしゅみ、なちゅやしゅみ〜』って。お父さんはゴローズ行ってたけど、お母さんとともちゃんでのんびりゆったり過ごしてね。お母さん働き始めるまで、3歳くらいまではずっとお
2023年6月29日 04:27
晴れ、涼しい。父の呼吸は少しゴロゴロしていた。足はあたたかい。大きな窓から気持ちのよい日差しが差し込んでいた。テレビの音もなく、静かな病室に父の呼吸音が響く。「よく寝てるねー、気持ちいいねー。あたしたちのこと、夢にでも見ててね」母が優しく声をかけた。「顔色はいいね。」「なんだか昨日より顔が茶色くなったみたい。日に焼けたのかしら」父の顎ひげが日に当たってきらきらと光っていた。こ
2023年6月27日 04:46
雨。昼前、犬にハーネスを着けていると電話が鳴った。父の病院からだ。朝方から高熱が出て酸素濃度低下、肺炎も悪化しているという。「何時ごろ来られますか」「すぐ行きます。」ハーネスを着けたままの二匹が玄関まで見送ってくれた。納得いかない顔をしていた。——————————————レントゲン写真に写った父の肺には再び白いもやがかかっていた。「ここ数日は急な呼び出しがあるかもしれません。エクモ
2023年6月13日 00:32
曇りのち雨。湿度が高い。昼食後、床に寝転んでイヌをお腹に乗せたら気持ちがよくてそのまま眠ってしまった。いくらでも眠れそうだけど、気合いで立ち上がって面会に向かう。父は目をつぶったまま、口をもぐもぐさせていた。声をかけても返事はない。看護師さんが来てミトンを外してくれた。「今朝は『おはよう』って言ってくださって。村田さん!今日の夜担当の○○です、よろしくお願いします。」父の口が「はい
2023年6月12日 16:16
特養にてO先生、ケアマネさんと三者面談。O先生)一昨日夜間に嘔吐あり、酸素低下。看護師さんが気付いて処置。痰吸引し、酸素濃度も戻り大事には至らなかった。便秘によるガスが原因かも?今後はより丁寧にお腹の状態をみていく。特養ケアマネさん)現状、特養に戻るのはリスクが高すぎる。もし特養で一昨日と同じことが起これば間に合わないかもしれない。介護職員の精神的負担も大きい。なにより本人
2023年6月12日 15:36
晴れのち曇りのち小雨。寝ても疲れが取れない。腰が板のよう。店まで十数分の道のりが果てしなく遠い気がする。犬に引かれるように歩く。歩きながら「だるくても遠くても颯爽としてなくても、とりあえず順番に足を出したらいつかは着くな。着くんだな。」と思った。仕事を早抜けして面会に向かう。父は今日も眠っている。管を無意識に抜いてしまわないよう着けているミトンは、面会時のみ外してよいことになっている
2023年6月12日 00:22
曇り。腰が痛い。父は曇り空の柔らかな日差しを浴びてすやすやと眠っていた。父の脚をさすり、足裏を揉んだ。時折、胸がゼロゼロと鳴り、苦しそうに顔を顰める。「お父さん、大丈夫?よくなるよ、よくなるよ」父の胸をさすった。看護師さんがやってきて父の姿勢を整えてくれた。「今日は髪をカットしてさっぱりしました。お顔も拭いて、痰がいつもより多かったので今日は4〜5回引きました。引くたびに手をばたば
2023年6月11日 21:02
父記録 6/5晴れ。夏日。三日間の出張から帰京。暑さと寝不足でふらふらする。今日の面会は母とふたり。「私じゃ。由美子さんじゃ。今日はともちゃんと二人じゃ。」O先生との面談。「肺炎の状態は落ち着いているんですが、痰吸引が大体日中3回、夜間3回くらい必要です。特養に戻って夜間痰吸引出来なくなると…現状ではちょっとリスクが高すぎるのではないかと…」痰の原因について経鼻胃管の栄養液食道
2023年6月9日 02:39
晴れ。父は氷枕を当てていた。スマホで父の好きなジョンレノンをかけた。IMAGINE,LOVE,MIND GAMES聴きながら父の脚をさする。ここは空がよく見えるね。居心地のよいところだね。でも、もうじき出なくてはね。昨日今日の痰吸引は日中3回、夜間3回。朝方微熱。抗生物質の投与が始まった。これで少しでも痰が減ることを期待。お父さん、またね。またね。お父さん何か言って。し
2023年6月6日 17:21
雨、低気圧。「来たわよ〜!愛妻の由美子さんが来たわよ〜。愛妻じゃなくて恐妻かしら。『こわいよ〜由美子がいじめるんだ〜』なんちゃって。そんなこと一度もしたことないわよ!」久しぶりの母と二人での面会は早速賑やかだ(母が)。「ねえ、寝てるの?来たわよ?寝てるの?生きてる?」生きとるわ!「あの頃、国立にはいないような貧乏な生活をしてたのよ。お父さんは本当に控えめでわがままなんてひとつも