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一番の恋人

不思議な題名だなと思いました。帯には著書の作品が映画化されると書かれています。私にとっては初読みの作家さん、ドキドキして手に取りました。

道沢一番という名前は、「何事にも一番になれるように」という父の願いで付けられた。重荷に感じたこともあったが、父には感謝している。「男らしく生きろ」という父の期待に応えることで一番の人生はうまくいってきたからだ。しかし二年の交際を経て恋人の千凪にプロポーズしたところ、彼女の返事は「好きだけど、愛したことは一度もない」だった――。千凪はアロマンティック・アセクシャル(他人に恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)で、長年、恋愛ができないが故に「普通」の人生を送れないことに悩み、もがいていたのだった。千凪への思いを捨てられない一番と、普通になりたい千凪。恋愛感情では結ばれない二人にとっての愛の形とは。

帯より

初めて知った言葉「アロマンティック・アセクシャル(他人に恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)」

そして印象的なのが、一番というのが主人公の男性の方の名で、父親が男性らしく、力強く一番であれ、との思いでつけられた名前だという点です。

その彼が、強引な言い方をすれば女性らしくなく、男性に寄り添う女性ではない人を好きになってしまう、皮肉な展開に前半、引いてしまう場面が多々ありました。

そして大事な主題が、恋愛感情では結ばれない二人にとっての愛の形、恋愛を超える愛です。

いまだ男性優位の社会において、子を持つ親(特に昭和の親)は小説に登場する一番の父ほどではないにしろ、結婚をし、子どもをもうけるという家庭生活が一人前の男性だと思っている人が多いのでしょう。男の子でなくとも女の子もそういう風潮がありました。

けれど時代が移り、多くの若者がその考え方に意を唱えるでしょうし、男女関係なく性的指向は尊重される時代にきています。作中で千凪の母親が全てを丸義と受け止め、娘の幸せを祈る姿は素敵でした。

難しいのは、本作のように片方は性的欲求も含めた愛情表現を欲し、片方は人間関係の良好までで、恋愛の感情も性的欲求も否とする場合でしょう。

本作でも手探りの状態で集結しています。この作品で好きな場面の各所に月が出ていました。まさにお借りした見出し画像のような月です。

今後はこういう作品も増えていくでしょう。アンテナを高くして、読みこなしていきたいです。

女性が歯磨き?これも意味があります。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
台風の進路心配ですね。こちら昨日の午後、急に大雨洪水警報が出たりしました。お気をつけください。

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