閉じ込めた人間が許すということ
2004年6月〜8月講談社ノベルス、2007年8月に講談社文庫から刊行され、著者の作家生活15周年ということで、限定愛蔵版として発売された作品を、今回初めて読みました。
本作で著者は第31回メフィスト賞を受賞しています。
(Amazonから画像をお借りしています)
雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう―。(「BOOK」データベースより)
舞台は地元で有名な進学校私立青南高校。
センター試験を前にして初雪が降り寒い中、仲の良い同級生男女8人が扉も窓も開かない校舎に閉じ込められてしまいます。
それぞれが自分の過去を振り返っていると、止まったままの時計の時刻5時53分は学園祭の最終日、同級生が自殺してしまった時刻であること、思い出せなくなっていたその同級生の顔と名前が気づくと、ある一人を残して一人づつ姿を変えて消え始めるのです。
背中がゾクゾクするような設定は、猛暑が続く今読む作品としてぴったりで、682頁という長編の世界にすんなりと私を入れてくれました。
集団失踪というホラー&ミステリーといった作品ですが、「いじめ」というキーワードの他に
「閉じ込めた人間が許すこと。それが一つだけ、帰ってくるための必要な方法」p673
「心の内側を閉める」という概念
「精神世界」のルール
この2つが主題だと感じました。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。皆さんの選書に役立ったなら幸いです。
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