見出し画像

越えるか、踏みとどまるか。誰にでも境界線がある。

こんにちは。3月最後の日曜日、先ほど中山七里さんの「境界線」を読み終えました。

昨日のnote↓

にも書いたように「NHK出版 本がひらく」のnoteで連載され、単行本化されたものです。

画像1

2018年5月某日、気仙沼市南町の海岸で、女性の変死体が発見された。女性の遺留品の身分証から、遺体は宮城県警捜査一課警部・笘篠誠一郎の妻だったことがわかる。笘篠の妻は7年前の東日本大震災で津波によって流され、行方不明のままだった。遺体の様子から、妻と思われる女性はその前夜まで生きていたという。なぜ妻は自分のもとへ戻ってこなかったのか――笘篠はさまざまな疑問を胸に身元確認のため現場へ急行するが、そこで目にしたのはまったくの別人の遺体だった。妻の身元が騙られ、身元が誰かの手によって流出していた……やり場のない怒りを抱えながら捜査を続ける笘篠。その経緯をたどり続けるもなかなか進展がない。そのような中、宮城県警に新たな他殺体発見の一報が入る。果たしてこのふたつの事件の関連性はあるのか? そして、笘篠の妻の身元はなぜ騙られたのか――。(Amazon紹介より)

本作も2018年刊行で主演を佐藤健、阿部寛、清原果耶、林遣都、吉岡秀隆、倍賞美津子の共演で映画化、2021年秋公開予定の「護られなかった者たちへ」と同じく宮城県警捜査一課を舞台に、東日本大震災による行方不明者と個人情報ビジネスという復興の闇を照らし出していく。震災によって引かれてしまった境界線に翻弄される人々の行く末を描いた社会派ヒューマンミステリー小説です。

震災により行方不明となっているが失踪宣告されていない震災被害者の戸籍と、刑によって人生が狂った者がその後を生きていくために必要とした戸籍の需要と供給が生まれ、漏洩による個人情報ビジネスと繋がっていくというまさに東日本大震災10年目の課題と情報管理を鋭くついた作品でした。

人生の中で大きな選択をしなければならない時が誰しも突きつけられるとしたら、究極の選択を目の前に生きていくために、人間は超えてしまう境界線があるかもしれません。また多くの自然災害がある日本で、行方不明となった家族の失踪宣告を届け出るということの家族の苦しい選択の難しさも私たちは心しなければならないと思います。

個人的には夫婦とも公務員だったこともあり、主人公の笘篠警部の災害時に

「私を捨て、公に尽くしたことは本当に正しかったのだろうか」

と悩む場面と

「追う者と追われる者、希望に縋る者と希望を失った者が同じ色の海を見ている。」

という文章に心が痛みました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
あなたの人生の境界線はどこですか?

#中山七里 #NHK出版 #東日本大震災 #ミステリー #読書note #読書 #シニア #本のある暮らし #いなか暮らし #本好きな人と繋がりたい #読書好きな人と繋がりたい #毎日note #毎日更新 #canva





いつも読んでいただき、ありがとうございます。これからも励みますね。