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When you wish upon a star?

「無傷☆5のBARってすごいですね!」と言われることがたまにある。
しかもこれが来店理由になるのだからありがたいやら呆れるやら。

僕は「いや、カネで買ってるんですよ」とか「あんなん信用しちゃいかんですよー、組織票ですからね」なんて冗談混じりに返している。
そりゃオール☆1に比べればありがたいことなんだろうけど、一方で「これは"そう評価してくれた方にとってそう"であってアナタにとっても同じとは限らないよ?」といつも思う。
「過剰な期待はしないでくれ。こっちはやりたいようにしかやらないし、基本的にはお互い次第だ」とも。

だいたい「お客様は神様です」なんて爪の先ほども思っていない。どころか仕事を始めてこの方、そんな思考は持ったためしがないので(間違った俗説の方。三波春夫のオリジン読んでからこれは言いましょう)、万人から☆5の評価をされるような接客をしたいなんて露ほども思っていない。☆1を付けたいならどうぞ as you like it。
ニーチェよろしく、「ゲストが店を品定めするのと同じく店もゲストを品定めする」という思考である。
そう、「刃は向けるなら向けられるもの」なのだ。

先日もうっすら、蜘蛛の糸程度につながっているBARが☆評価云々でやられてムダに燃やされていた。それに乗じて実名でSNSをするでもなくBAR経営しているのか、そもそもバーテンダーであるのかもわからないような(おそらく違う)絡んだ外野の阿呆が腐しているのには閉口するのを通り越して憤りを覚えた。何様なんだ。

ズレた。閑話休題。

そんなわけで☆を気にした営業は全くしていない。それでもなぜ無傷の☆5なのか?
理由はとてもシンプルだと思う。
立地である。
接客やカクテルがそこに全く寄与している部分が無いとは言わないが。

いちおう最寄駅が門前仲町なのでその括りであるけど、遊びに来るような人々が立ち寄る地域ではない住宅地区ど真ん中。しかも設置した看板は仕事を(ほぼ)していないし、Googleストリートビューは正しいエントランスを指していない(扉のない壁面を表示する。直す気はなさそうだ)。
しかも見つけたところで民家に限りなく擬態した、開けていいかもわからなそうな扉(ナンバーロック付。稼働させてはいない)。開けたら開けたで見えるのは階段。それを上がっての2F。だから良くも悪くもフィルタリングの精度はかなり高いと思われる(実際、開けて上がって来ずに閉められた事例もある)。
要するに「何かを間違えて入ってくる、お互いにとって不幸な出会い」が発生する確率が低い設計になっているのだ。
これは移転時に「路面店をやりたく無い」と考えた理由の一つであったので狙い通り…だが本音を言えばここまでとは考えていなかった。
もうちょっとセレンディピティを起こしたいところはある(それならファサードをなんとかしなくてはならない)。
でもGoogleマップや主要SNSのアカウントで住所公開をしてからじわじわとそういうことも増えてきた。にも関わらず前述したその逆がほぼないのはありがたい限りだ。
TooL(行徳時代)は「町のBAR」的利用がそれなりにあったけど、コチラは目的店の色がかなり強くなっているのもその一因と見ている。

理由がまだあるにはあるものの、長くなるのでここらで割愛します。
ま、ざっくり上記のような結果として現状は高評価であり続けているけれど、冒頭で書いたようにそれが来店理由になるのは複雑な気持ちである。
同時に旅行や出張で訪れるゲストが「少し飲んで疲れを癒したい」とか「嫌な思いをしたくない」という心理から評価目安での来店というのは理解できる。
とは言え、やはりその☆は評価したゲストにとってしかないもので自分にとってもそうとは限らない。
たかがネットの星評価に希望や願いはあまりかけ過ぎない方が、頼り過ぎない方が良いと老婆心ながらに思う。

ちなみに僕は評価サイトを見るとき参考にするのは価格帯くらい。
表記×1.5~2倍がだいたい自分の遣う事になる額。
☆についてはほとんど気にしない。見る時は高評価より低評価を見る。
書いた人間が何をされた / した-或いは「しでかした」-のかを見た方が店の空気感はわかりやすいと思っているからだ(見る限り後者の結果のはらいせが多いように感じる)。

本来、星は見上げるもので見下すものじゃない。
願いをかける時、なぜ下を見なきゃならないのか。
嫌な時代になったもんだ。
評価サイトなんて無くなればいい。


【おまけ】
何にも頼らず次に行く店を探すのなら、食事をした一軒目のスタッフに「この後に行くオススメありますか?」と聞けば教えてくれる可能性は高い。
旅先で僕はよく使う手です。そして、それで外したことはほぼ無い。
だけど正直なところ、店選びの失敗はある程度した方がいいと思う。それで自分に合う店を選ぶ嗅覚や眼が養われるから。
そして繰り返していくうちにその失敗も楽しめるようになるし、後の笑い話やネタにもなるし。

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