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オリジナル小説「嘘は誠」


僕は海藤 義経
今日から、僕も高校生になる。

「生まれ変わるんだっ。」そう一人で強くつぶやいた。


中学生の頃は卓球部に入るも2ヶ月で辞めてほぼ部活もしていなく
休み時間も一人で読書をしているタイプだった。
そんな性格からか、正直いじめられたりもした。

クラスのみんなは3年間ほとんど変わり映えしなくて「ダメ人間」とレッテルを貼られた自分をいきなり変えるのは無理だった。

そんな自分を変えたくて、環境を変える。

中学の時の知り合いがいない高校へ進学することにした。
そこで僕は入学前に考えたことがあった。


過去の自分の事は誰も知らないんだから、なかったことにして
新しい高校では自分に設定をつけて嘘の自分を演じることにした。

それが、以下のルールである。


・中学校では水泳部に所属しており大会でも上位の成績を残すほど

・勉強はしなくてもできる天才タイプで学校のテストはいつも上位

・バンドをやっていてギターも弾ける

・やんちゃもして喧嘩もしてた                 

・彼女もいて別の高校に通っている                  


この5つの設定を自分は役者のように演じようと決めた。

まず、この高校には水泳の授業がないし、家も片道1時間以上かかる遠いところのためバレる心配がない。
勉強については中学生の頃から友達もいない僕はめちゃめちゃ真面目に取り組んでいたので
天才タイプというのは嘘だが、バレる心配はない。


周りにばれない程度の嘘をついて高校生活は友達をたくさん作って
良い学生生活を過ごすと決めた。


迎えた入学の日

入学式も終わりクラス分けが発表され席についた。

まずは、念入りに練習した嘘自己紹介をみんなの前で行った。
「私の名前は海藤 義経です。
中学の時は水泳部に入ってました。高校では部活に入らず外部で
水泳を習っているので続けていこうと思います。
趣味は音楽だったり読書だったりです。」

あんまり自己紹介で自分は彼女がいて、頭もいいですというのは
変だと思ったので無難な自己紹介にしておいた。

その後、周りの席の人達とレクリエーション的な感じで話をすることになった。

僕の手前に座っていた男の子がさっそくぶっ込んだ質問をしてきた。
「さっさくぶっこみ質問なんだけど、みんな彼氏彼女いる?」
みんないきなりそんな事聞く!?と驚きながらも意外にもみんな真面目に答えって言った。

そして僕の番がきた。
「一応、中学の時の同級生と付き合ってます。」

どうだ、と言わんばかりにみんなの顔をみた。


へーーーそーなんだーと意外にもあっさりとした感じだった。

まぁ、よく考えれば別に彼女がいるなんてのは特にすごいことではないだろう。

しかし解散になった休み時間
さっき同じテーブルにいた男2人が近寄ってきた。

大牙と真という二人はさっそく彼女の事を根掘り葉掘り聞いてきた
どうやら二人は中学時代彼女がいなかったので高校でモテたいという。

さっそく来たチャンス。
高校では絶対に嘘を突き通すと決めていた彼は

彼女なんていたことがなかったがモテ男特集だったりモテる立ち振舞を
めちゃめちゃ勉強してきた。

その本に書いてあることをあたかも自分のことのように話した。

そして、彼女(仮)については片思いしていて常に遠くから見ていたバレー部のエースでクラス委員も務める「真子」のことを自分の彼女だとして特徴や芸能人でいうと誰に似てるかという質問は全て「真子」の事を思って回答した。


「義経すげーーー」

すぐに友達ができた。嘘って素晴らしい。ただ嘘はバレたら終わりだ。

そしたら嘘つきといじめられ、中学生の時に逆戻りしてしまう。

絶対バレてなるものか。彼は誓った。


そして、月日は流れ、、、


結局、高校卒業までの3年間彼は嘘を突き通した。


そして、成人式を迎えた。


成人式の夜は中学の同級生みんなと集まって同窓会。


僕をいじめてたやつやあんまり話したことのない人がいる場面に自分がいってもいかなくても変わらないだろうと思って、行くのをやめようと思ったこともあったが、一応招待が来たため参加することにした


会場となるお店に入った瞬間

僕の周りにはたくさんの人が集まってきた。

「義経がきたぞーーー!!!」

はぁ。結局この集団の中では自分はいじめられる運命なのかと思っていた。

すると、集まってきた同級生が一気に話しかけてきた。

「義経お前、泳ぐのうますぎ!!」

「お前のギター演奏みたよ!教えてくれよ!」

「お前東大なんだって!?すげー」

「あの義経が真子と付き合ってるなんてびっくりだよ!」

「ちょっと筋肉さわらせてよ!!」


なんだこいつら。。僕と中学時代一緒に過ごしてたくせに何をいまさらそんなこと聞きたいんだよ・・・


その時、僕はハッとした。


そうだ、僕は高校に入った時に嘘の設定を決めてそれを演じてきたんだ。

あれ、でもなんでその事をみんな知ってるんだ。なぜだ。。。


そこで彼は高校生活を振り返ってみた。


友達も増えてきた彼は死んでもこの5つの嘘の設定をバレるわけには行かないとめちゃくちゃ努力した。

水泳も本気で毎週プールで泳いだし、夏は海で泳いだ。海で泳いでいた時は溺れそうになった子供や波に流されてしまった人を何度も救った。

勉強だって、毎日家に帰ってから死ぬ気でやった。忙しい合間を縫って塾の先生もやったし、そのかいあって東大にも進学できた。

ギターだって全く弾けなかったけど今は高校の友達とバンドをやって、休みの日には路上で演奏して人を集めたりしている。今では小さな会場だったら人も満員にできる。

・喧嘩もできるようにジムにも通って自分を追い込んでムキムキになった。

・彼女の事だって、バレないようにモテる髪型をしたし、ファッションにもめちゃめちゃ気を遣ってきた。そしてたまたま再開した片思いの相手、真子が今では彼女になった。


嘘がばれないように必死に努力してきた。


そこでようやく理解した。


そう、嘘をばれないようにと続けていた努力が結局その嘘を真実に変えたのだ。

当然、自分の噂は真子がみんなに話して中学の同級生にも知れ渡っていた。

よくよく思い出すと、海で人助けした時やバンドしてた時は雑誌やテレビにも何回もでたっけ。

その日の夜の主役は間違いなく僕だった。

あんなに嫌いだったやつも尊敬の眼差しで僕を見ている。

宴は夜中まで続いた。


そして、大学を卒業した僕は某大企業へ就職した。

今日がその会社の入社式。

さて、、、


今度はどんな設定で行こうかな。


fin



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