バルトの森

旅する食文化研究家、エッセイスト。エストニア共和国外務省公認市民外交官。駐日エストニア…

バルトの森

旅する食文化研究家、エッセイスト。エストニア共和国外務省公認市民外交官。駐日エストニア大使館、駐日欧州連合代表部、来日アーティスト料理提供。レシピ開発、WS、講演を行う。文学フリマ東京38出ます。 書籍『旅するエストニア料理レシピ』『バルト三国のキッチンから』(産業編集センター)

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ラトビアそしてJALカードありがとう

4月も下旬、私の左腕の痛みはまだあるが、1ヶ月前から週に2回通院しながら絶賛リハビリ中だ。リハビリついでに今はもう料理関係のイベントの仕事は全部こなしている。動かないと二度と戻らなくなるという恐ろしいことを言われているから必死だ。 気持ちはラトビアを離れてからも今もずっと変わらない。 「ラトビアそしてJALカードありがとう」 (ちなみにJALさんからお金をいただいている記事ではない) これに至った経緯が長い。暇でどこかで待たされている時か、実際に海外で怪我をして病院の世話に

    • わたしがひとの台所を見せてもらうわけ

      「あなたの台所を見せてもらえませんか?」 そんな質問をしながら、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の取材を続けている。知り合いや友人のつながりで、彼らの台所を訪れることができるのは、毎回の善意のおかげだ。 台所はただの調理場ではない。その空間にはその家族の生活、歴史、そして彼らの魂までもが宿っている。調理道具ひとつひとつに、その土地の文化や時代背景が刻まれているのだ。 リトアニアのとある家では、美しい装飾が施されたミートハンマーを大切に使っていた。 「このミート

      • カード付帯保険に補足すべき保険

        海外旅行に行く時に保険に入って行く人がどれくらいいるだろうか。実はクレジットカードによるが付帯されている海外旅行保険はある。 保険内容を確認する場面は、もしかすると海外でのアクシデント発生時に改めて見直すことが多いのではないか。「何か保険入ってるからいいよね」的な考え方がほとんどだ。人はアクシデントが起こる確率が少ないことを想定して生活しているだろう。 私は今年ラトビアの森で骨折してからというもの海外旅行保険についてよく考えるようになった。 JALカードを例にとると、どの

        • 人付き合いで気をつけたい話

          私が育った家では、誰かに車に乗せてもらって旅をしたら、運転手の車やドライブにかかる労力の謝意として、ガソリン代やその日の食事やかかった経費は、乗せてもらった者がすべて持つということを普通に見ていた。少なくとも私の家族がお世話になった時にはそうしていた。 だから大人になった今、そんなことは常識だと思っている。 「それはあなたの家の勝手な決め事でしょ」と思う人もいるかもしれない。だが、あなたがもし車(レンタカーも含む)を運転し誰かと一緒に旅をする。もしくは案内する。「ありがとー

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        ラトビアそしてJALカードありがとう

        マガジン

        • エストニアのこと
          6本
        • ラトビアのこと
          4本
        • リトアニアのこと
          17本
        • 日々のこと
          8本
        • おうちのエストニア人のこと
          11本

        記事

          リトアニアでなにもしない贅沢

          7月の最後の日からリトアニアに来てすでに2週間過ごしている。 今日も朝から清々しく、快晴だ。 避暑に来たわけではなく仕事でリトアニアを訪れているが、東京のひどい湿り気と息もできないくらいの猛暑の地獄から、ここで涼しさを過ごすことができるだけで、寿命が伸びたと感じる。 午後から取材だが、午前中から昼過ぎは時間があるのでデスクワークをしている。こんな素晴らしい日に遠い国から来て引きこもったままでもったないと思う自分もいる。「外に出たら?」と思う自分自身と対照的に、無駄な時間があ

          リトアニアでなにもしない贅沢

          香港にあるお金の顛末

          前回、香港の銀行に預けていたお金のキャッシュカードの有効期限が切れてしまって、お金を使えなくなったという話をした。 お金を取り戻すために香港へ そして私は香港に行くことになった。 7月初めの香港は、日本より暑いだろうと予想していたが、日本とそれほど変わらなかったのが意外だった。あの湿気の「むわっ」とした感じもほとんど気にならなかった。果たしてこれは日本が香港に近づいたのか、もしくは香港の気温や湿度がそれほどでもなかったのか。いまだにわからない。 現地には金曜の早朝に到着

          香港にあるお金の顛末

          香港にあるお金のゆくえ

          震災じゃない離婚 そろそろ「あれ」から13年も経つから勝手に時効としよう。 「あれ」とは離婚だ。かつて私は27歳で結婚して35歳で離婚した。 2011年東日本大震災の年だった。「震災離婚」「震災結婚」という言葉が流行っていた記憶もあるが、震災とは関係なくそれよりも先に私たちは離婚を決めていた。 私は離婚後に親から受けた姓に戸籍、保険証、自動車免許、パスポートなどすべてを戻した。謎に多くの銀行口座があり(どれもたいして入っていないのだが)その名義変更にはおよそ2年かかった。

          香港にあるお金のゆくえ

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか2

          1では、書籍が発売された日まで何をしていたかと言うところまでだった。今回は、発売後どんな営業活動をしたかを記す。 新刊イベント リリースを打ったり、大使館でプレス発表イベントを開催した。 そして、出版後はお誘いいただくイベントにはスケジュールが合う限り、必ず伺うことにしてした。その理由は「新刊出版の一定のときにしかできないこと」だから。 もちろん、何年後でもできることだが、フレッシュな話題としてとりあげるなら時間は大事だ。 出版早々出版イベント登壇について声をかけてくださ

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか2

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか1

          商業出版した日 2023年6月14日は私にとって忘れられない日となった。子供がいない私にとってまさに我が子誕生と言って等しいほどの記憶に残る日だ。 産み落とした書籍はこちら↓ 商業書籍出版までのみちのり↓  (商業出版を希望されている方にも参考になります) https://estonianavi.com/2023/06/10/230611/ 商業出版書籍の販売を著者として、何をしてきたかという話だ。 この仕事に就く前までは、製造メーカーのサラリーマンの営業、仕入れ、工場

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか1

          骨折したら腕から毛が生えた

          さて、2月中旬にラトビアで転倒してから、5日後に左肘と上腕の骨折部分を手術して帰国して、その後はリハビリに励んでいた。 骨折の経緯と日本帰国までは以下のnoteでどうぞ。 4月の様子はこちら。 2ヶ月のリハビリ 4月、5月、その後のリハビリ生活だが、2日または3日に一度40分のリハビリに行っている。固定の理学療法士の先生が施術をしてくれ、内容は主に腕の関節の曲げ伸ばしのリハビリだ。 1ヶ月に一度は医師の診察があり、そのタイミングでレントゲンを撮る。骨の繋がりの確認をす

          骨折したら腕から毛が生えた

          文学フリマ東京38 に出店しました!

          お肉 文学フリマ東京38に出店してみようと決めたのはいつだったか、今年の初めだったかと記憶している。 祭りや人がたくさん来るイベントは苦手な性格で、大人になってからは花火大会などはあまり行く勇気がない。 ただ、昨年の秋ごろから「てぬケット」「Juhla Fes」などで出店させてもらえる機会があり、出店する前は憂鬱なのだが終わると爽やかな疲労感で心地良くなることがわかった。 「意外と好きなんじゃないか?」と感じてはいたが、一緒に出店する仲間と合同のブースだったから助けられ

          文学フリマ東京38 に出店しました!

          うつ沼から這い出たきっかけ

          強そうで、明るく、言いたいことを言って笑っているというのが外から見た私のイメージだ。最近はうつの認知度も上がってきて、そういう類いの人もうつになることがあると理解されてきている。 そう、私は10年少し前にうつになったことがある。 直接的なきっかけはなんだったのかももはやわからないが、喪失がその頃の私に次々と降りかかった。初めの症状は「眠れない」ということ。ただこれがのちに「うつ」の原因になるとはつゆとも知らず、とにかく眠れない。 それが何日も続き、なんとも言えぬ不安が夜に

          うつ沼から這い出たきっかけ

          エストニアを感じるスイーツ

          前回に引き続き、大阪のエストニアカフェRUJA+285BLUEのこだわりのカフェメニューについてお話をしよう。 前回はランチについてだったが、ランチが週末に完売御礼となった一報を見て嬉しかった。せっかく足を運んでくださったのに食べられなかった方がいたら申し訳ないとは思う。そんな方は次回は予約していっていただくと確実に用意してくれるはずだ。 さて、スイーツへと話を移そう。 エストニアのスイーツってなんだろう。 たくさんエストニアで愛されているスイーツはある。その中である時

          エストニアを感じるスイーツ

          ひと皿の中のエストニア

          この春4月12日に大阪の中崎で、RUJA+285BLUEというエストニアをテーマとするカフェがグランドオープンした。 RUJAという名前は何か意味があるのか。気になる人もいると思う。 エストニアにはRUJAというロックバンドがあった。このロックバンドのボーカルは不慮の事故で亡くなってしまったのだが、エストニア人にとってRUJAといえばこのバンドの名前だと誰もが連想するほど有名だ。 では+285BLUEは何か? エストニアの国旗は白、黒、青の三色が使われている。この青色のパン

          ひと皿の中のエストニア

          反省のザワークラウト

          バルト三国ではドイツ同様ザワークラウトをみんな愛している。前回のエストニア出張でもそれぞれが好きな店や農家からザワークラウトを買っている話を聞いた。 私と言えば親戚一同認知しているザワークラウト嫌いなのだ。 なぜならば、日本に輸入されている大きな瓶に入っているザワークラウトの香りを我が鼻腔が本能的に拒否するのだ。 だがこれは個人的な好みの話で、もちろん店にある瓶のザワークラウトに罪はない。 我が家では毎年クリスマスになるとこのザワークラウトに砂糖を入れ鍋で煮る。これを豚肉

          反省のザワークラウト

          黒いズボンがなくなった

          昔から下半身が太くて悩みなので、なかなか合うボトムスがない。 だから店でサイズが合うものを見つけると、同じものを複数買うのだ。とあるパンツはカーキと黒を買っていた。 ある時、長野へ旅行に行って戻ったら持って行ったカーキだけあるが、黒がない。旅先で忘れて来たのだろうか?旅先やホテルに忘れて来た場合、大抵諦める。理由はそれほど高いものでない場合送ってもらってもさほど惜しくないからだ。 しかし、長野に行った時は知人の別荘だったので、仮に置いて来てしまっても知人が連絡してくれるの

          黒いズボンがなくなった