バルトの森

旅する食文化研究家、エッセイスト。エストニア共和国外務省公認市民外交官。駐日エストニア…

バルトの森

旅する食文化研究家、エッセイスト。エストニア共和国外務省公認市民外交官。駐日エストニア共和国大使館、駐日欧州連合代表部、来日アーティストに料理提供。レシピ開発やワークショップ、食文化講演を行う。 書籍『旅するエストニア料理レシピ』『バルト三国のキッチンから』(産業編集センター)

最近の記事

  • 固定された記事

ラトビアそしてJALカードありがとう

4月も下旬、私の左腕の痛みはまだあるが、1ヶ月前から週に2回通院しながら絶賛リハビリ中だ。リハビリついでに今はもう料理関係のイベントの仕事は全部こなしている。動かないと二度と戻らなくなるという恐ろしいことを言われているから必死だ。 気持ちはラトビアを離れてからも今もずっと変わらない。 「ラトビアそしてJALカードありがとう」 (ちなみにJALさんからお金をいただいている記事ではない) これに至った経緯が長い。暇でどこかで待たされている時か、実際に海外で怪我をして病院の世話

    • ひと皿の中のエストニア

      この春4月12日に大阪の中崎で、RUJA+285BLUEというエストニアをテーマとするカフェがグランドオープンした。 RUJAという名前は何か意味があるのか。気になる人もいると思う。 エストニアにはRUJAというロックバンドがあった。このロックバンドのボーカルは不慮の事故で亡くなってしまったのだが、エストニア人にとってRUJAといえばこのバンドの名前だと誰もが連想するほど有名だ。 では+285BLUEは何か? エストニアの国旗は白、黒、青の三色が使われている。この青色のパン

      • 反省のザワークラウト

        バルト三国ではドイツ同様ザワークラウトをみんな愛している。前回のエストニア出張でもそれぞれが好きな店や農家からザワークラウトを買っている話を聞いた。 私と言えば親戚一同認知しているザワークラウト嫌いなのだ。 なぜならば、日本に輸入されている大きな瓶に入っているザワークラウトの香りを我が鼻腔が本能的に拒否するのだ。 だがこれは個人的な好みの話で、もちろん店にある瓶のザワークラウトに罪はない。 我が家では毎年クリスマスになるとこのザワークラウトに砂糖を入れ鍋で煮る。これを豚肉

        • 黒いズボンがなくなった

          昔から下半身が太くて悩みなので、なかなか合うボトムスがない。 だから店でサイズが合うものを見つけると、同じものを複数買うのだ。とあるパンツはカーキと黒を買っていた。 ある時、長野へ旅行に行って戻ったら持って行ったカーキだけあるが、黒がない。旅先で忘れて来たのだろうか?旅先やホテルに忘れて来た場合、大抵諦める。理由はそれほど高いものでない場合送ってもらってもさほど惜しくないからだ。 しかし、長野に行った時は知人の別荘だったので、仮に置いて来てしまっても知人が連絡してくれるの

        • 固定された記事

        ラトビアそしてJALカードありがとう

        マガジン

        • エストニアのこと
          4本
        • ラトビアのこと
          3本
        • おうちのエストニア人のこと
          11本
        • リトアニアのこと
          15本

        記事

          腕を骨折したら力を抜くことが大事だとわかった話

          2月中旬にラトビアの森で骨折した。そしてこれまで両手を使ってタイピングができなかったので、noteをお休みしていた。 片手でのタイピングもだいぶ手慣れたものになったが、それでも倍以上遅い。 実は音声でも入力をして、下書きはあるが、音声で入力したものを読み返すと面白くない。声に出して言葉にすると恥ずかしくなるニュアンスがあるのだろうと考えた。 詳しい経緯は今後公開するとして、骨折してから手術が終わり、左腕はおよそ1ヶ月90度のまま動かせなかった。たった1ヶ月で身体は動かさない

          腕を骨折したら力を抜くことが大事だとわかった話

          ハーブティー文化の中のお茶はどうなのか

          たまに投げかけられる質問で「バルト三国はお茶を飲む人が多いか、コーヒーを飲む人が多いか?」という話題がある。 体感的にではあるが、コーヒーは最近飲む人は多くなったと思う。質の高いコーヒーを求めて本格的なコーヒーを出すカフェに行く人や、家で豆からひいてコーヒーを淹れる人もいる。 それではお茶はどうか。 お茶といってもハーブティーが多いのではないかと思う。いわゆる紅茶や緑茶、中国茶の類よりもお茶というと「ハーブティー」と言い換えられるほどかもしれない。ただ、夏にはミントやベ

          ハーブティー文化の中のお茶はどうなのか

          エストニアのタルトゥ、カフェの話

          エストニアの首都タリンに次ぐ第二の都市はタルトゥだ。 この街は我がエストニア人パートナーのふるさとということもあり、親しい友人や、親戚も住んでいる。バルト三国に渡航する場合はこの街が拠点になる。ここに義母の家を間借りして、荷物を置かせてもらい、小さな荷物を持ってエストニア中、いやバルト三国をうろうろするのである。 遠いアジアの国日本から来たと思えば、毎日毎日どこかにすっ飛んで歩いている日本人の義理娘は疑問だろう。 タルトゥのパートナーの実家には、孫が義母の家に来たりすること

          エストニアのタルトゥ、カフェの話

          リトアニアのウジュガべネス(Užgavėnės)の祭りに行ってみた

          子供の頃祭りというと近所の盆祭りに連れて行ってもらったりすることが楽しみでしょうがなかった。やがて大人になりお祭りに参加するのが億劫になる性格に変貌をとげた。 「どこで祭りを楽しめない人間になったんだろう。」と、 夏になるとふと考える。 さて、今回はそんな祭り嫌いの私が率先して行くことになった祭りの話だ。なぜならば、この冬何のためにオフシーズンもオフシーズンのバルト三国に来たかというと、むしろこの祭りのためだ。 その祭りの名は・・・ 「ウジュガべネス(Užgavėnės

          リトアニアのウジュガべネス(Užgavėnės)の祭りに行ってみた

          ポーランド航空でバルト三国へ

          ポーランド航空に乗ったことがありますか? 私は初めて乗った。ここ最近の航空運賃高、戦争の影響により、遠回りをする必要が出てきて、さらに財布を圧迫している。 これまで最短距離を飛んでいたフィンエアー(東京-フィンランド間およそ9.5時間)が、北極圏や南まわりでフライトになってしまったということは何を意味するか。 答えは他の航空会社のフライトでもフィンエアーと同じ時間で飛んでいるので、他社でよくないか?という話なのだ。 昨今のコロナ、戦争で航空会社の経営も危うい。だからサービ

          ポーランド航空でバルト三国へ

          本棚を大破させたTOEIC満点取得者

          エストニア人は本が好きなのだ。なんでも英語の本は3千冊以上は読んでいるという。 英語は彼にとって簡単で、ある時TOEICのスコアについての話になった。「TOEICって何点が最高点?」と聞くと、「満点」と答えた。 「まんてん」と聞き取れたけども「なんてん」と言っていたかなと、私がうまく聞き取れなかったかと思い、「え?」と聞き返すと、「満点です」と。とにかくゲームをしようとしたらいきなり相手が強すぎて終わったみたいな展開になって少し笑えた。 英語が不得意でTOEICを受けたこと

          本棚を大破させたTOEIC満点取得者

          エストニア人が寒さに強いわけ

          東京でも1月になってから、だいぶ寒くなってきた。みなさんは何を普段着ていますか? 私はダウンジャケットまたはウールのコートの下にニットを着ています。エストニア人が出かける時に着ているのは薄いジャケットにカシミヤニットだ。薄さは綿のジャケット1枚なのだ。 毎回「寒くないの?」と私は確認する。 「寒くないでしょうよ」と、何を聞いてるんだよと言わんばかりに同じ返事が返ってくる。 しかし彼らには寒さを防ぐポイントがある。 マフラーと手袋は必ずつけている。これはエストニア人的には

          エストニア人が寒さに強いわけ

          お餅の食べ方 その2

          先日はエストニア人がジャムをつけて食べる話を書いた。 そして、冷凍庫にはまだまだお餅があったので、解凍してこの週末も朝から食べようとしていた。今回はよもぎ餅だが、砂糖醤油で食べたい私は小皿を持って準備をし始めるとエストニア人は、なぜか「今回は焼きそば用ソースにします」と意気揚々と冷蔵庫からソースを出した。 「ソースはさすがにないでしょう」 と思ったのだが、食べる前にこちらが全否定をするよりも、まずは本人が食べてみてから決めれば良いと考えた。 砂糖醤油で安心しながら食べて

          お餅の食べ方 その2

          4,000円の悩み

          エストニア人の仕事始めだった今日は、正月までに色々買ったものを消化する夕飯を作っていた。カオマンガイ、そしてその鶏肉をゆでた汁でスープ、先日エストニア人が騙されて買ったホタテの貝柱の刺身だ。 大抵私が家にいるので夕飯は私が作る。 今宵はほとんど会話はなく私はNetflixを見ながら、彼はスマホのゲームか数独みたいなパズルゲームをやりながら食べていた。 「ほとんど会話ないよね」と指摘すると「何喋りたいですか」と聞かれた。 うーんと考え「いや、ただ事実言っただけで、話したいこ

          4,000円の悩み

          魚セットが届いた

          正月3日目に私が留守にしている間に魚セットが届いたようだ。 そうだ、あれは年末のクリスマスごろだったか。 「魚セットを買った」とエストニア人が言っていた。「へーなんで?」と聞くと、「電話が来たから」というではないか。 「は?」となった私は、「いくらよ」「何が入ってるのよ」と矢継ぎ早に質問をした。 すると、彼は「高かったと思います」と弱々しくつぶやいた。値段を聞いても「言えません」と口を閉ざした。いやならクーリングオフもあるんだから断ればいいと私は言ったのだが、そういうこと

          魚セットが届いた

          お餅の食べ方

          良いお年を迎えられましたか? 新年は餅を食べないとな!ということで、実家の母が作って送ってきたお餅を今朝焼いた。 「餅焼くけど食べる?」と聞くと5秒くらい間があって、「はい」と返事がくる。いつもの感じである。たいてい我々の会話の中には間があくのだ。もう平常運転だから「聞こえたかな」という心配もない。 さて、餅につけるものといえば手軽なものとして、砂糖醤油がある。いつも私はこの手軽さと美味しさで砂糖醤油を選ぶのだが、昨年末からのマイブームでいなり寿司のあまからに煮込まれた皮

          お餅の食べ方

          風邪で食欲がないとき

          風邪をひいて食欲がない時、あなたは何を食べますか? ヨーグルトやゼリー、プリンはたまたお粥などの口当たりなめらかで消化に良いものが選ばれるのではないだろうか。 実際私が実家にいた時も、家の人が用意してくれたのはこれらだった。 珍しく具合が悪く食欲がないことがあった。 そんな話を同居人のエストニア人に話すと、「ゆっくりしてて」と優しい言葉をかけてくれ、キッチンに向かっていった。 「そろそろ昼だから起きないとなぁ」と思いながら寝床から這い出ると、テーブルには……白いものが小さ

          風邪で食欲がないとき