バルトの森

旅する食文化研究家、エッセイスト。エストニア共和国外務省公認市民外交官。駐日エストニア…

バルトの森

旅する食文化研究家、エッセイスト。エストニア共和国外務省公認市民外交官。駐日エストニア大使館、駐日欧州連合代表部、来日アーティスト料理提供。レシピ開発、WS、講演を行う。文学フリマ東京38出ます。 書籍『旅するエストニア料理レシピ』『バルト三国のキッチンから』(産業編集センター)

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ラトビアそしてJALカードありがとう

4月も下旬、私の左腕の痛みはまだあるが、1ヶ月前から週に2回通院しながら絶賛リハビリ中だ。リハビリついでに今はもう料理関係のイベントの仕事は全部こなしている。動かないと二度と戻らなくなるという恐ろしいことを言われているから必死だ。 気持ちはラトビアを離れてからも今もずっと変わらない。 「ラトビアそしてJALカードありがとう」 (ちなみにJALさんからお金をいただいている記事ではない) これに至った経緯が長い。暇でどこかで待たされている時か、実際に海外で怪我をして病院の世話

    • リトアニアでなにもしない贅沢

      7月の最後の日からリトアニアに来てすでに2週間過ごしている。 今日も朝から清々しく、快晴だ。 避暑に来たわけではなく仕事でリトアニアを訪れているが、東京のひどい湿り気と息もできないくらいの猛暑の地獄から、ここで涼しさを過ごすことができるだけで、寿命が伸びたと感じる。 午後から取材だが、午前中から昼過ぎは時間があるのでデスクワークをしている。こんな素晴らしい日に遠い国から来て引きこもったままでもったないと思う自分もいる。「外に出たら?」と思う自分自身と対照的に、無駄な時間があ

      • 香港にあるお金の顛末

        前回、香港の銀行に預けていたお金のキャッシュカードの有効期限が切れてしまって、お金を使えなくなったという話をした。 お金を取り戻すために香港へ そして私は香港に行くことになった。 7月初めの香港は、日本より暑いだろうと予想していたが、日本とそれほど変わらなかったのが意外だった。あの湿気の「むわっ」とした感じもほとんど気にならなかった。果たしてこれは日本が香港に近づいたのか、もしくは香港の気温や湿度がそれほどでもなかったのか。いまだにわからない。 現地には金曜の早朝に到着

        • 香港にあるお金のゆくえ

          震災じゃない離婚 そろそろ「あれ」から13年も経つから勝手に時効としよう。 「あれ」とは離婚だ。かつて私は27歳で結婚して35歳で離婚した。 2011年東日本大震災の年だった。「震災離婚」「震災結婚」という言葉が流行っていた記憶もあるが、震災とは関係なくそれよりも先に私たちは離婚を決めていた。 私は離婚後に親から受けた姓に戸籍、保険証、自動車免許、パスポートなどすべてを戻した。謎に多くの銀行口座があり(どれもたいして入っていないのだが)その名義変更にはおよそ2年かかった。

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        ラトビアそしてJALカードありがとう

        マガジン

        • リトアニアのこと
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          6本
        • エストニアのこと
          5本
        • ラトビアのこと
          3本
        • おうちのエストニア人のこと
          11本

        記事

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか2

          1では、書籍が発売された日まで何をしていたかと言うところまでだった。今回は、発売後どんな営業活動をしたかを記す。 新刊イベント リリースを打ったり、大使館でプレス発表イベントを開催した。 そして、出版後はお誘いいただくイベントにはスケジュールが合う限り、必ず伺うことにしてした。その理由は「新刊出版の一定のときにしかできないこと」だから。 もちろん、何年後でもできることだが、フレッシュな話題としてとりあげるなら時間は大事だ。 出版早々出版イベント登壇について声をかけてくださ

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか2

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか1

          商業出版した日 2023年6月14日は私にとって忘れられない日となった。子供がいない私にとってまさに我が子誕生と言って等しいほどの記憶に残る日だ。 産み落とした書籍はこちら↓ 商業書籍出版までのみちのり↓  (商業出版を希望されている方にも参考になります) https://estonianavi.com/2023/06/10/230611/ 商業出版書籍の販売を著者として、何をしてきたかという話だ。 この仕事に就く前までは、製造メーカーのサラリーマンの営業、仕入れ、工場

          書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか1

          骨折したら腕から毛が生えた

          さて、2月中旬にラトビアで転倒してから、5日後に左肘と上腕の骨折部分を手術して帰国して、その後はリハビリに励んでいた。 骨折の経緯と日本帰国までは以下のnoteでどうぞ。 4月の様子はこちら。 2ヶ月のリハビリ 4月、5月、その後のリハビリ生活だが、2日または3日に一度40分のリハビリに行っている。固定の理学療法士の先生が施術をしてくれ、内容は主に腕の関節の曲げ伸ばしのリハビリだ。 1ヶ月に一度は医師の診察があり、そのタイミングでレントゲンを撮る。骨の繋がりの確認をす

          骨折したら腕から毛が生えた

          文学フリマ東京38 に出店しました!

          お肉 文学フリマ東京38に出店してみようと決めたのはいつだったか、今年の初めだったかと記憶している。 祭りや人がたくさん来るイベントは苦手な性格で、大人になってからは花火大会などはあまり行く勇気がない。 ただ、昨年の秋ごろから「てぬケット」「Juhla Fes」などで出店させてもらえる機会があり、出店する前は憂鬱なのだが終わると爽やかな疲労感で心地良くなることがわかった。 「意外と好きなんじゃないか?」と感じてはいたが、一緒に出店する仲間と合同のブースだったから助けられ

          文学フリマ東京38 に出店しました!

          うつ沼から這い出たきっかけ

          強そうで、明るく、言いたいことを言って笑っているというのが外から見た私のイメージだ。最近はうつの認知度も上がってきて、そういう類いの人もうつになることがあると理解されてきている。 そう、私は10年少し前にうつになったことがある。 直接的なきっかけはなんだったのかももはやわからないが、喪失がその頃の私に次々と降りかかった。初めの症状は「眠れない」ということ。ただこれがのちに「うつ」の原因になるとはつゆとも知らず、とにかく眠れない。 それが何日も続き、なんとも言えぬ不安が夜に

          うつ沼から這い出たきっかけ

          エストニアを感じるスイーツ

          前回に引き続き、大阪のエストニアカフェRUJA+285BLUEのこだわりのカフェメニューについてお話をしよう。 前回はランチについてだったが、ランチが週末に完売御礼となった一報を見て嬉しかった。せっかく足を運んでくださったのに食べられなかった方がいたら申し訳ないとは思う。そんな方は次回は予約していっていただくと確実に用意してくれるはずだ。 さて、スイーツへと話を移そう。 エストニアのスイーツってなんだろう。 たくさんエストニアで愛されているスイーツはある。その中である時

          エストニアを感じるスイーツ

          ひと皿の中のエストニア

          この春4月12日に大阪の中崎で、RUJA+285BLUEというエストニアをテーマとするカフェがグランドオープンした。 RUJAという名前は何か意味があるのか。気になる人もいると思う。 エストニアにはRUJAというロックバンドがあった。このロックバンドのボーカルは不慮の事故で亡くなってしまったのだが、エストニア人にとってRUJAといえばこのバンドの名前だと誰もが連想するほど有名だ。 では+285BLUEは何か? エストニアの国旗は白、黒、青の三色が使われている。この青色のパン

          ひと皿の中のエストニア

          反省のザワークラウト

          バルト三国ではドイツ同様ザワークラウトをみんな愛している。前回のエストニア出張でもそれぞれが好きな店や農家からザワークラウトを買っている話を聞いた。 私と言えば親戚一同認知しているザワークラウト嫌いなのだ。 なぜならば、日本に輸入されている大きな瓶に入っているザワークラウトの香りを我が鼻腔が本能的に拒否するのだ。 だがこれは個人的な好みの話で、もちろん店にある瓶のザワークラウトに罪はない。 我が家では毎年クリスマスになるとこのザワークラウトに砂糖を入れ鍋で煮る。これを豚肉

          反省のザワークラウト

          黒いズボンがなくなった

          昔から下半身が太くて悩みなので、なかなか合うボトムスがない。 だから店でサイズが合うものを見つけると、同じものを複数買うのだ。とあるパンツはカーキと黒を買っていた。 ある時、長野へ旅行に行って戻ったら持って行ったカーキだけあるが、黒がない。旅先で忘れて来たのだろうか?旅先やホテルに忘れて来た場合、大抵諦める。理由はそれほど高いものでない場合送ってもらってもさほど惜しくないからだ。 しかし、長野に行った時は知人の別荘だったので、仮に置いて来てしまっても知人が連絡してくれるの

          黒いズボンがなくなった

          腕を骨折したら力を抜くことが大事だとわかった話

          2月中旬にラトビアの森で骨折した。そしてこれまで両手を使ってタイピングができなかったので、noteをお休みしていた。 片手でのタイピングもだいぶ手慣れたものになったが、それでも倍以上遅い。 実は音声でも入力をして、下書きはあるが、音声で入力したものを読み返すと面白くない。声に出して言葉にすると恥ずかしくなるニュアンスがあるのだろうと考えた。 詳しい経緯は今後公開するとして、骨折してから手術が終わり、左腕はおよそ1ヶ月90度のまま動かせなかった。たった1ヶ月で身体は動かさない

          腕を骨折したら力を抜くことが大事だとわかった話

          ハーブティー文化の中のお茶はどうなのか

          たまに投げかけられる質問で「バルト三国はお茶を飲む人が多いか、コーヒーを飲む人が多いか?」という話題がある。 体感的にではあるが、コーヒーは最近飲む人は多くなったと思う。質の高いコーヒーを求めて本格的なコーヒーを出すカフェに行く人や、家で豆からひいてコーヒーを淹れる人もいる。 それではお茶はどうか。 お茶といってもハーブティーが多いのではないかと思う。いわゆる紅茶や緑茶、中国茶の類よりもお茶というと「ハーブティー」と言い換えられるほどかもしれない。ただ、夏にはミントやベ

          ハーブティー文化の中のお茶はどうなのか

          エストニアのタルトゥ、カフェの話

          エストニアの首都タリンに次ぐ第二の都市はタルトゥだ。 この街は我がエストニア人パートナーのふるさとということもあり、親しい友人や、親戚も住んでいる。バルト三国に渡航する場合はこの街が拠点になる。ここに義母の家を間借りして、荷物を置かせてもらい、小さな荷物を持ってエストニア中、いやバルト三国をうろうろするのである。 遠いアジアの国日本から来たと思えば、毎日毎日どこかにすっ飛んで歩いている日本人の義理娘は疑問だろう。 タルトゥのパートナーの実家には、孫が義母の家に来たりすること

          エストニアのタルトゥ、カフェの話