マガジンのカバー画像

リトアニアのこと

15
リトアニアの旅に関して書かれています。 バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の中でも特にリトアニアについて気になっている方はこちらのマガジンをどうぞ。
運営しているクリエイター

記事一覧

リトアニアのウジュガべネス(Užgavėnės)の祭りに行ってみた

子供の頃祭りというと近所の盆祭りに連れて行ってもらったりすることが楽しみでしょうがなかった。やがて大人になりお祭りに参加するのが億劫になる性格に変貌をとげた。 「どこで祭りを楽しめない人間になったんだろう。」と、 夏になるとふと考える。 さて、今回はそんな祭り嫌いの私が率先して行くことになった祭りの話だ。なぜならば、この冬何のためにオフシーズンもオフシーズンのバルト三国に来たかというと、むしろこの祭りのためだ。 その祭りの名は・・・ 「ウジュガべネス(Užgavėnės

カウナスの「芍薬園」

植物園に行くことが好きな私は、旅に出かけると時間があれば、植物園に向かう。 リトアニアのカウナスという国内第二の都市に植物園があることに気づいた。カウナスはリトアニアの首都ヴィリニュスに比べて人が少なくて街がのんびりしているところが好きで、取材と取材の間にカウナスをうろうろしていることが多かった。 この日は何も予定がなかったので、カウナスの中心地からバスで30分程度離れた植物園(VDU Botanical Garden)に行くことにした。 6月下旬に差し掛かる頃だったのだが、

黒いツェペリナイ

リトアニアで有名な料理がいくつかあるが、現地に行ったことのある方なら知っているのが「ツェペリナイ」だ。ツェペリナイは簡単に説明すると肉がマッシュ状になったじゃがいもに包まれた料理だ。 この料理を教えてもらう前に、ネット上に載ったさまざまなレシピでこの料理を数回作ったことがあるのだが、1度として成功したことがなかった。何が成功ではないと言えるのか? 一目瞭然。この料理の肝である挽肉を包むじゃがいもがすべて溶けてなくなってしまうのである。この原因を解明すべく、リトアニア滞在時には

リトアニアでハチミツケーキを教えてもらったら大変なことになった話(後編)

この話は前編がありますのでこちらをどうぞ。 カウナスから北部の街へ バスは一路パネヴェジーズを目指し、舗装のないガタガタ道を時に走りながら予定通りの時刻に進んでいく。「崩れませんように」と祈りながらまるで我が子のように座席に鎮座させ、時に混んでくると隣に人が座るため、ケーキの箱を膝の上に乗せた。 箱を膝の上に乗せると若干ケーキは傾き、私の脚の体温が伝わってケーキが悪くなってしまうのではないかと、箱を膝から出来るだけ浮かせながらなんとか2時間半をやりきった。いや、やりきった

リトアニアでハチミツケーキを教えてもらったら大変なことになった話(前編)

「どの話から書けば良いか」というほど2023年夏のバルト三国にもさまざまな記憶が残った。今回はリトアニアのハチミツケーキから巻き起こった話を書くことにしよう。 バルト三国のハチミツケーキ ラトビアに行くと、カフェには大体ショーケースの向こう側にハチミツケーキが並んでいることが多い。 ラトビアではMedus Kūka(メドゥースクーカ)という名前で呼ばれている。ただ、ラトビアだけかというとそうでもなく、エストニアではMesi kook(メシコーク)、リトアニアではMedut

どこの国にでも「ダメなやつら」はいる

8月末にエストニアを発ち、数日ヘルシンキの友人宅でお世話になり、9月の初めにフィンランドから東京へと戻った。2023年の夏は8月の1ヶ月間をバルト三国とフィンランドで過ごしたことになる。 いつも仕事とはいえ、夏に北欧、バルト三国に行けることは役得だと捉える方が幸せだ。 さて、本やブログ、その他の場所でバルト三国について書くときには良い記憶、楽しかった出来事を多く紹介したいと思っている。だって、本当に良い場所に素晴らしい人々がいるから。だが、実際そればかりでもないということを

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・1

実はこの記事は今年2023年の夏の旅が終わった時点で、一番書きたいと思っていた内容だったのだ。だが、なぜか12月になるまで私は書けなかった、いや書いていなかったのか。理由は2つある。 あまりにも多くのことがありすぎたから自分の頭の中で十分に理解した後に整理できてから書きたかった。もうひとつは、若かりし頃のラブレターを書くに似た行為のように、どのように自身の感情を片思いの彼(彼女)に伝えるべきかを考えあぐねている間に時間が過ぎてしまっていた。実際にラブレターを書いたことはないけ

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・2

1の前回からの続きになります。最初からご覧になりたい方は↓からとうぞ。 ビルシュトナスがどれくらいの街の規模なのかもわからず、車に乗せられると、ゆっくりと車窓は街の中心地から外れて郊外へと向かう幹線道路に出た。その道もそれほどの車の量でもないが、少しだけ街の中心よりは飛ばしている車が多いと感じる。バルト三国でよく見る真っ平らな土地に広がる緑をしばらく眺めていると、舗装もあまりされていない砂利道に入って進んだ。車が最徐行をした先は道がない。そこがこの夫妻の工房なのだ。 真新

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・3

さて、前回前々回と、庭で採れたベリーばかりをもらった。 両手に山盛り3カップの山盛りベリーを手に、どうするか困っていた私に次の任務が課せられた。 「Vytautas Mineral SPAにチェックイン」 アコーディオン工房を案内してくれたアウリマスさんアウシュタさん夫妻がルータさんが、手配してくれた街の中心部に近いホテルまで送ってくれた。車のドアのボトルホルダーに固定していた山盛りベリー3つを忘れたふりをしてみようと思ったが、すかさず忘れないように渡してくれた。Vyt

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・4

「長いよなぁ、もっとまとめてくれない?」そう思われても仕方あるまい。 「しかし、こっちにも言論の自由がある」と妄想の反論をしてみよう。さて、これまで1から3まで書いてきたがまだビルシュトナスの1日は終わっていない。なんならまだこの日の経験としては半分くらいだ。 「どんなんだっけ?」「そもそも読んでない」と言う方のために↓の1から3までをどうぞ。 3の最後に、読者をヤキモキさせていたのだ。 このスパに来た目的と言っても過言ではない「琥珀スパ(Amber SPA)」だ。

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・5

とうとう、5になってしまった。ビルシュトナスではまだ一泊目の夜になっていない。ここまでお付き合いいただいたかた、ありがとうございます。 「ビルシュトナス?なにそれ美味しいの?」という方は過去記事をどうぞ。 琥珀サウナに入って、琥珀スパ三昧した後は食事タイムらしい。確かにこの建物の1Fには食堂があった。宿泊客用の食堂でもあるが、私のように単発で利用する人も食べることができる。 ルータさんはこのディナーを予約してくれていたのだ。入館時に渡された手首につけるタグを見せると入るこ

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・6

琥珀サウナから、マッサージを経て体がふわふわになった次はサナトリウム併設のビュッフェディナーで甘やかし癒された。お腹がいっぱいになった頃、ビルシュトナスインフォメーションセンターのルータさんがロビーに迎えにきてくれていた。予定表をもらっていたのに、次から次へとどんどんやることが追いかけてくるので、ほとんど見ていなかった。とにかく案内されるがまま、引きずられるかのようについて行く。 次はなにがあるのか。ルータさんの車でホテル近くの大きな広場の駐車場向かった。 気球に乗るのだ。

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・7

これまでの6までは2023年8月15日に起こったリトアニアのビルシュトナスでの話だ。 到着早々、ビルシュトナスインフォメーションセンターさんの緻密な計画のもと、ものすごい量と質の経験をすることになった筆者は第一日目を終え、翌日8月16日も怒涛だった。 ホテル併設の朝食(ビュッフェ形式)を朝からいただく。そして朝から迎えがくるという。その迎えの車に乗ってビルシュトナス唯一のタワーに向かう。 タワーの高さは51mでエレベーターはない。実はこのタワーリトアニアで最も高いタワーだ

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・8

一度ホテルに戻って休憩することに。 前日にルータさんと少女たちにもらったベリーを冷蔵庫から出してみた。紙コップから備え付けの大きめなティーカップに入れてみると、カップには収まらず溢れた。ビルベリーとラズベリーは冷やされ、酸味が口の中にプチっと言いながら広がった。 私が滞在しているVytautas Magnus SPAの地下にスパやプールがある。そのスパを体験に行った。受付の落ち着く照明に癒される空間が広がるスペースを通り、案内されたのはミネラルウォータージャグジー。 ブク