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書籍『バルト三国のキッチンから』発売から著者は一年間何をしていたのか1

商業出版した日

2023年6月14日は私にとって忘れられない日となった。子供がいない私にとってまさに我が子誕生と言って等しいほどの記憶に残る日だ。
産み落とした書籍はこちら↓


商業書籍出版までのみちのり↓ 
(商業出版を希望されている方にも参考になります)
https://estonianavi.com/2023/06/10/230611/

商業出版書籍の販売を著者として、何をしてきたかという話だ。
この仕事に就く前までは、製造メーカーのサラリーマンの営業、仕入れ、工場製造管理などなど多岐にわたる仕事をしてきた。要するに下手の横好きっていうものかもしれないが、たいてい誰もやったことがないような業務を始める時の特攻隊のようなことばかりしてきた。だからある程度の川上から川下へと商品が流れる現象を知っている。
まさか、サラリーマンを辞めたのに、サラリーマンで培ったことが生かされるということは予想だにしていなかった。だって私は在庫を持ちたくないと思って今の仕事をしたのだから。

書籍ビジネスの商習慣

書籍のビジネスは厳しいといわれて久しい。しかし、毎年多くの新刊が発売され、読書という文化的な行為を楽しむ人々も根強くいる。15年ほど前にe-bookのアプリが開発されたばかりの頃、端末を販売する営業をしていた。当時はほとんどの人が電子書籍、電子コミックについてそれほど利用されていなかったから、当然営業的には苦しかった。仕事としては書籍とはこれくらいの接点しかなかった。
時代を経て今自分が書籍のビジネスに少しだけでも首を突っ込んだことを15年前の自分に伝えたら何と言うだろうか。
書籍の流通は業界外の人間からするとかなり独特だと感じる。書店からの返品を受け入れるという商習慣や、営業スタイルなどは私がいた電子機器メーカー業界のそれとはだいぶ違っていた。
電子機器メーカーの商品のほとんどは自分の倉庫から代理店や店舗に納品されると、全数どんな形でも極力戻さず売り切る。売り切るためにはだまっていては売れないので、値引き、キャンペーン、販売応援(一時期量販店でメーカー社員が販売応援として駆り出されるというのが問題になっていたが)などのような工夫で完売させるのが常だ。値引きが発生すると補填を入れて代理店や販売店がロスする金額の穴埋めをメーカーが行う。
最後まで代理店と量販店の営業と話し合って在庫の面倒を見るという商習慣が私がこれまでいた業界だった。
書籍ビジネスでは、書店がある一定の時間在庫を抱えて売れなかったら出版社に戻る。一部の積極的な書店や営業(もしかすると著者と営業)がイベントなど開催して販売努力している。その他は読者が気づくまで書棚でじっと在庫は待っている。書店という特性上どうしても在庫は抱えないといけないのは理解できる。何が悪いということではなく、私がこれまでいた業界と違うということだ。

ニュースリリースとプレス発表

それまでいた業界ではリリースも広報の一つの大きな仕事だった。だから新製品を販売するなら、当たり前のようにリリースを打つのが通常だった。
リリースはお金がかかってもPR TIMES一択だった。これを教えてくれたのは過去何冊も出版していた親友だ。検索上位に何年経ってもい続けるのがPR TIMESだ。

2021年、私はどうしても商業出版ができなかったので、自分で商業出版で作られたと、見間違うほどのクオリティーの書籍を自分で作った。(もちろんデザイナーさんやイラストレーター、カメラマンさんの力も含んでいます)
800冊作り、2,000円以上の高い値段にも関わらず、初版の装丁分すべてを3ヶ月で買取条件で販売し、その後はAmazonの電子書籍とPOD(ペーパーバック版)で販売している。

この時は通常の書店流通にのらないため、自身のオンラインショップや北欧やバルト三国関係のお店やオンラインショップ、独立系書店とよばれるお店にも営業した。書店営業は当たり前だが初めてで、北欧関係のお店に詳しい方のご好意でたくさん紹介いただいた。また、書店に限らず、飲食店、雑貨店、手芸ショップなどにも取り扱ってもらった。
初版本はすぐに完売してしまったため、メルカリなどで高値で販売されていることに胸が痛み、Amazonのペーパーバック版を作ることで初版本の値段は落ち着いた。
いわゆる転売ヤーに腹が立つのは、0から1を生み出している著者より儲けているということだ。イノベーションもなく物に愛着があるわけでもなく儲かるからというだけの商売で誰よりもお金を手にすることに腹立たしく思う。
だから、対抗措置として「定価以上の値段で買わないように」とアナウンスもした。
当時すべて買取条件で販売していたので、お店にある自分の書籍が完売していないと申し訳ないと思い、前職の習慣が発動し完売できるように何らかのお手伝いをさせてもらった。(SNSで告知やさまざまなキャンペーンをした)
だから、おそらく店頭在庫は皆無だと思う。
投資に対してお金にするのに早くそして多くしないと次の商売に繋がらないのが商売の常。
どこかの書店さまに「在庫のことを聞いてくれるひとは初めてだよ」と言われたことを覚えている。(ありがたいと思ってくれたか、奇妙だと思ったかはわからないけども 苦笑)

1冊目の書籍の際に、駐日エストニア大使館の協力をいただき、プレス発表会を開催した。コロナ禍での発表だったため、人数がかなり少なく制限されていたので、来館していただきたかった方もたくさんいた。

大使館でプレス発表は、非常にありがたいことだった。大使館という普段ほとんどの人は入ることができない特別な場所ということもあり、報道関係の方やその他お声がけ皆様は、ほとんど出席してくださった。都内の中心から近い場所ということもあり、立地としても申し分ない。
また、それぞれの大使館からの心遣いで各国の食事を招待客に提供してくださるという、まさにその国の「食」のPRの場所としても大使館は活用してくれていた。

1冊目の経験から、2冊目でもプレスリリースとプレス発表会を行った。通常はどうかわからないが、出版会社はリリースを打たないということだったので、それならばと自分でリリースを打った。

そして、プレス発表は駐日リトアニア大使館、ラトビア大使館、エストニア大使館の協力をいただき、リトアニア大使館に於いて発表することにした。
三カ国をまとめることはかなり大変だったが、3カ国の大使館のみなさんが準備をしてくれ、政府観光局の能登さんが司会と通訳を務めてくださった。
バルト三国の取材や活動を続けていてよかったと実感した。
この日のことを詳細に書いてくださっている北欧区さんの記事が以下だ。

およそ40名の方の出席をいただき、コロナが落ち着いたあたりだったということもあり、大変な盛り上がりだった。

と、ここまでが書店に拙著が並ぶまでの営業広報活動だ。

(2へつづく↓)


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