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インドネシアに住んだことで得たこと-将来(予測される)のインドネシア

BAIKです。日経企業を何百社、合わせてその企業の社長、この国の労働状況や社会情勢を知ることで自分なりに見えてくるインドネシアがあります。
「この国の将来は明るいのか」
「この国に賭けペイ出来る程の魅力があるのか」
考え考え、自分なりの見解を書いていきたいと思います。

世界一労働者に甘い国

他の国で働いたことはないのですが、こんなことを言われたりします。
これは何かと言うと「労働者は守られている」ということです。全部ではありませんが、
①病欠は出勤扱い
病院の診断結果があれば出勤扱いになります。病院と結託して診断結果を出すなんてのは割とある話です。女性で言えば生理などを理由に休むのは容易です。本当でなかろうと。あまりにも休む社員にはきちんと事実確認をして相応の処置を取らざる終えません。

②労働者が纏まって荒げて文句を言えば何色でも黒色に出来る
特別な例があるわけではありませんが、自分たちが「恥をかかされた」「精神的に追い詰められている」と強く感じ、その人に対して強い憎悪が出来上がった時、労働者が結託し有る事無い事を並べ外資を追い込むことは難しいことではありません。勿論、味方になるインドネシア人もいますが、「あれはダメだよ」とインドネシア人同士でも諦めるもので感情的にしかならない相手にはなかなか解決策がありません。

③どんなにクズでもクビにするのが難しい
就業中にスマホを見ようと電話をしようとゲームをしようと...結果的にサボり尽くしていてもクビにするのは難しいです。
「相手を変えるのではなく自分を変える」何て言葉もあり、自分がどれだけ変わってもそれに呼応して相手が変わってくるのはあまり期待できません。
これを
「インドネシアの文化」
と肯定することも出来ますが、あなたが社長になった場合のことを考えてください。限度ってものもあります。あなたが日本感覚100%で仕事をするのも間違いですが、依存しすぎるのも間違いです。
自分なりに理解をしていて、社内に信頼できるインドネシア人がいれば
「あいつどうよ?」と聞いて、自分の見え方を第三者からのチェックで見直してみたり、
チャットや別室などに呼んで注意をしましょう。鬼のように詰めるのはオススメしません。

④宗教配慮は必須
まぁこれは仕方ない部分ではあります。イスラムが90%弱な為、
・1日5回のお祈り
・断食時の出勤時間変更
・金曜日の昼は男共はお祈りタイム
などこの辺りの配慮は必須です。これが出来ない企業にはインドネシア人は入ってきません。100社以上の日系企業を回っていますが、全企業配慮をしています。

⑤賃金ダウンは不可
国の規定で下げることが出来ないようになっています。
「じゃあ、1円もあげない」
と思う方。製造業であれば大体労働組合がいます。そんなことは許してきません。とにかく下げることは出来ず、数%でもあげなければなりません。
上手くやっているところは昇級率0%なんてのもあるとかないとか。

⑥毎年最低賃金が8%程アップ(過去は20%~30%)
特に製造業を苦しめるのがこれ。毎年8%最低賃金が上がります。200名の賃金が8%アップすると思ってください。これが毎年です。ひどい時は10%以上です。国、県が定めているので企業が逆らうことはできません。
※ついでに中国、韓国は応じていないようです。

⑦契約社員でも3年目には正社員化を判断しないといけない
こんな不安定な労働者は契約社員にしたいと考えられると思います。それも2年までです。3年目に入るタイミングでは正社員化するか契約終了にするかを判断しないといけません。

例をあげると
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面接時にはそこそこの印象でスキルにも問題がなかったのでAさんを採用しました。前職では6万程で今回7万円でオファー。Aさんは特に何もスキルが上がったわけではないですが転職=給与アップな文化な為、仕方ない。
3ヶ月の試用期間後、正社員化の契約。
入社して3ヶ月、特に問題なく労働に勤しむ。その為、そのまま正社員化をおこなう。
半年が過ぎ、遅刻が増える。そして月曜日は休む日が増える。合わせて病院の診断書が添えられる為、出勤扱いとする。一方で時間と共に社員とも打ち解け始めた。
仕事をしている時間よりも喋ったりゲームをしたりスマホを見る時間が増えていく。仕事を与えようと前職ではやっていなかったが工夫すれば出来る仕事を与えてみる。拒否をする。そしてロジカル性の欠片もない弁解が始まる。聞くに堪えないので今までの仕事でステイさせる。
そして給与昇級時期。とても7万円分の価値ある仕事をしたかと言われるとそうではない。ただ、最低賃金が8%アップすることで最低賃金で働いていない層が「上げろ」と言う。追いつかれるからだ。気持ちはわかるが、給与はそういう風に決まるものでもないと思いつつ7.2万円で収束。
Aさんは何一つ変わっていない。変わったのは給与だけだ。
クビにしたい。出来ない。どうしてもするのであれば給与の○倍払って穏便に済ませるしかない。
社長である俺はこれを毎年50人分相手にしなければならない。
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全員がこういう風ではありませんが、よく聞く話です。労働者が声を荒げれば外資は不利な立場になる為、とにかく繊細なコントロールと上がる給与に苦しまなければなりません。

ポイントは
・給与がとんでもないペースで毎年上がっている(マイナス方向はない)
・労働者が労働しなくても企業は手出ししづらい。
ですね。

また日本人は
「給与以上に成果を求める」
インドネシア人は
「時間分の働きをする」
傾向がありますが、インドネシア人で言うと「時間分の働きをしていない」
と言うのが事実です。時間以上の働きをする社員もいるのですが、先ほどのゲームやサボりなど明らかな怠慢があります。そういう時は
・営業であれば目標達成できているか
・経理、総務などであれば日本人が口出ししなくても出来ているか
・ITであれば障害なく、遅延なく物事が進んでいるか
・R&Dであれば...ちょっと分かりません
・管理職であれば、部下の目標が達成されているか
などシンプルな話ですが、目標に対しての合否で見るのが無難です。
また、高すぎる目標にはやる気を示さないもので最終ゴールを見せつつ、それに対する階段のような目標をきちんと定時していく必要があります。
もし、これができる人がいたら試してほしいのですが、自分は目標の前には目的があり「○○がしたい」という動機から目標が成るものです。インドネシアだと「家族を養いたい」が大きい為これが難しいのですが、やる気のある社員で進むべき方向が不明確な社員には「○○がしたい」というのをゆっくりと話していって決めていき、目標設定をすると良いと思います。

外資に厳しくなる流れは止まらない

先ほどの話もこの話には繋がっているのですが、基本スタンスは
・外資からはとにかくお金を巻き上げる
が基本の考えです。まぁ当たり前と言えば当たり前ですね。
なので日系企業が多いエリアでは最低賃金の上がり幅も大きかったりします。それでもメーカー系はパワーがあるので大丈夫なのですが、下請け、その下請けは...という話です。
ビザも少しずつ取りづらくなってきています。

労働しない労働者

これは自分がよく書いていることではございますが、先にことわっておくと
「優秀な人はいます!あくまで割合の話です」
巷では「これが海外の働き方」「日本が逆におかしかった」などと仰り適応した人のように語りますが自分から言わせれば「それを認めて生産性を下げ価値のない人間にはならない」です。GDP世界3位の日本の働き方の方が正しいです。奪い合いに勝っているのはどっちだと。日本の働き方を押し付けず、上手く適応させることが最も大事なことです。

人が社会において優秀になっていくには
・適切なアドバイスを貰える環境
・時には過ちを認め改善をする
・とにかく努力をする
・色々な人と話をして価値観、知識を取り入れる

など、簡単な話ではないですよね。
出来る人は差別化が上手くできる為、優秀さが際立つのですが一方で有象無象がすごいことになります...
なので、話していても
・論点が外れる
・すぐに感情論
・ロジカルシンキングは不可

ですし、成長していかないのでいつまで経っても生産性が低いままです。且つサボる為...って感じです。

これをどう良い方向に持っていくのかもやりがいのあるところではりますが、今回の話ではないのでスキップします。

ハリボテ、目先で作ったインフラ

世界一の渋滞国
間違ってないと思います。数百メートル動くのに30分なんてざらで深夜を除けばジャカルタ市内、周辺地域は常に渋滞です。
・道路がボロボロ
・渋滞しないように作っていない道路
・道路作るのに何年かけてる?
・悪い運転マナー

こういったのが重なり、終わらない渋滞が出来上がります。
何かと言いますと「機会損失」が凄いことになっています。お金を生む人材が毎日何万人と車の中で4,5時間無駄にしています。

予想されるインドネシア

①日系企業(外資)の撤退ラッシュ
今でもちらほら撤退する日系企業は出てきています。新規参入もほとんどありません。そもそも、インドネシアに参入した目的が
・賃金が安い
というところです。これが過去の話になり、思った以上に生産性の低い労働者の集まる国で止まる必要がなくなってきています。
メーカー系やT1(一時受け)くらいは大丈夫でしょうが、そのさらに下になってくるともう耐えきれなくなり撤退をしていくでしょう。
・名が通る有名企業だけが残る
これが将来的な流れだと思います。

②大量の職なき子
①の流れに踏まえて、今まで雇用を生んでいた企業いなくなる為、職のない人が溢れかえる可能性があります。

③賃金インフレの終了
①②に続く話ですが、失業者が生まれれば「安くても働く」流れが生まれます。日系企業の代わりにローカル企業が出るかもしれませんが、日系企業のようにきちんとお金は払わないでしょう。
国としても「残すべき有名企業まで撤退されたら困る(税金が取れない)」なので良いラインをみて賃金アップの流れを鈍化させていくでしょう。

④ジャカルタの終了
これは最近ニュースにもなっていましたね。首都移管計画。
まぁ当然の流れでしょう。このインフラで維持していくことは困難です。
移管計画には賛成です。ただ、民間のインドネシア人がインフラを手がけるのは踏みとどまった方が良いと思います。同じことを繰り返すだけですからね。
国が優秀なインドネシア人と日本のようなインフラ設計が上手い国がダッグを組んで進めていくべきだと思います。きっちりお金はもらいますが、見合うものは出せると思います。

如何でしたでしょうか。未来を予測して動くことはとても重要です。
自分はこういった未来を予想しつつも
「尚更、日本人に価値出るじゃん」
と思っています。日本人が少なくなるわけですからね。1人あたりの価値が上がります。
あまり詳しいことは言いませんが、自分なりに未来を予測して打つ手を考えておくと良いでしょう。
日本にいる人も一緒です。

でわわ。

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