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おいしいね

僕の、アメリカ人の妻。

ニューヨークで出会い、愛を育み、結婚した。

彼女は自国で、外国人である僕と結婚した。

僕は何年ここで暮らそうが、外国人。彼女は今後の人生を、外国人と過ごすことを選択した。

二人での外食は、高確率で日本食。

無論、彼女の意見を汲むことも多々あるが、優しい妻は外国で暮らす僕を気遣い、外食の選択権を与えてくれる。

そこに全力で甘える僕の答えは、いつもラーメン。

最悪、二軒目でもいいから、ラーメン。

ニューヨークには無数のラーメン屋がひしめき合い、その全てを制覇する野望を抱く僕に、嫌な顔一つせず付き合う妻。

不器用に箸を使って一生懸命ラーメンをすする妻は、いつも少しだけテーブルを汚す。

そして顔を上げ、ニッコリと僕にほほ笑み、「おいしいね」とつぶやく。

今日、君が食べているラーメンは、そこまでおいしくない。

きっとおいしいラーメンと、そうでないラーメンの違いがわからないんだね。

少し汚れた君のテーブルと、おいしくはないラーメンを一生懸命すすりながら「おしいしね」とつぶやく君を見ると、抱きしめたくなる。

そして、僕も笑顔で「おいしいね」とつぶやく。

君はいつも、僕の好み、文化、価値観を尊重してくれるね。

いつもありがとう。

君と結婚した時、少しだけ辛かった僕の幼少期の不幸な時間を、全て取り返せた気がしたよ。

何があっても、死んでも君だけは、裏切りません。


また新しいラーメン屋を見つけたよ。

きっと、おいしいよ。

来週行こうね。


最後までご一読、ありがとうございます。

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