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一日に一つ、短編小説を読もう


 連作短編を書きたい、と思うなら、やはり「短編小説」というものについて、今一度見直したい。

 そう思い立って、本棚を見渡したが、見事なまでに分厚い文庫本ばかりが並んでいる。上下からなる二巻本はざら。四巻からなる深緑の背表紙の本は、宮城谷昌光さんの『楽毅』と『妟子』。

 そして、最近話題になった本、ベストセラーというものが見当たらない。

 単行本は高いから、あまり買いたくない。みんなが買うから、という理由で手に取りたくない。

 理由は色々ある。

 だが、なんとまあ、世の中の流れに背を向けた、ひねくれた本棚であることか。もはや笑うしかない。

 ひねくれぶりなら、『山月記』の李徴と良い勝負だ。虎になったら、野山に駆け込むか。その前に、保健所が動く可能性は高い。その末路は、良くて動物園行きか。

 と、想像遊びはここまでにしておいて。

 とりあえず、短編を読むことを自分の課題として設定した。とりあえず3冊、できれば、違う作者の本を。

 課題をこなすにあたっての、ルールもいくつかある。

①一日、一作品は読む

 これがまず大本のルール。

②ガツガツしない

 ただ読めばよい、というものではない。「読了する」ことを目的にせず、一つの作品をゆっくりと、例えるなら、抹茶と菓子を、一口一口、味わうように食べる。

 あれこれと、次から次へと口(頭)の中に詰め込んでは、味がわからなくなるし、消化にも悪い。

 一作品読んだら、しばらく時間を置く。できれば、つづけさまに同じ作者の作品は読まない。

③一作読んだら、とにかくアウトプットする

 作品そのものの感想についてでも良い。何か関係ない別のことでも良い。とにかく書く。


 そして早速、「おすすめの短編小説」を検索し、名前の挙がった一つを昨日から読み始めた。

 この本では、お嬢様たちが集う、大学の読書クラブ「バベルの会」で起こる、5つの事件を書いている。すべて、女性の告白形式で書かれており、読みやすくも、どこか冷たい。読み終わった後も、冷やかな余韻が後を引く。

 今、2話目の『北の館の罪人』まで読んだところだ。

 読書クラブが通奏低音になっているためか、泉鏡花の『外科室』やら、芥川龍之介の『地獄変』やら、実在の小説の名前が出てくるのも興味深い。

 次は三話目『山荘秘聞』。

 一体どんな事件が起き、どのような本が出てくるのか。

 それは開いてのお楽しみ。

 だが、それを今日開くか、明日まで伸ばすかは未だ決めていない。

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