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【雨のあと(山エッセイ】

石垣山にある一夜城跡を、過去に2回訪れたことがある。

一度目は歩いた。山だと聞いていたものの駅からほとんどが舗装された道路で、急勾配の道路を歩き続けるのでなかなか良い運動になった。途中、石垣山一夜城に運ばれる途中で落下した巨石や、石切場の跡地も見られるので歩き甲斐のあるコースではある。

山頂の一夜城跡地から小田原の城を眺めて「ここに豊臣秀吉や伊達政宗がいたのか」と歴史に思いを馳せるのも楽しいし、小田原駅に向かって下山する道で景色の良い海を眺めるのも楽しい。

二度目は、自転車で行った。家から箱根までサイクリングをした日の帰り道。小田原を通るのでどうせならまた一夜城に行こう、と山頂に向かう坂道を自転車で走った。

が、勾配が急すぎてとても自転車では上がれない。峠越えのヒルクライムをやるような人ならまだしも、重い荷物を背負って上がれるような坂道ではなかった。

自転車を押しながら辿り着いた山頂で、海の色が変わっていることに気が付いた。小田原のキレイな海に、茶色い一筋の流れが広がっている。ちょうど酒匂川の流れが注ぐあたりだった。

その日は快晴だったが前日は大雨。途中で見た酒匂川は雨で水量が増して、丸一日が過ぎたあともすっかり濁っていたのを思い出す。なるほど、あれは雨のあとか。酒匂川の濁った流れが海に注いで、海の色まで変わっている。

雨の威力は凄まじい。海の色がハッキリ変わるほどの水が流れ込んでいるとは。

でも、また数日が過ぎれば何事もなかったかのように川も海も元の色に戻るのだろう。自然の力を思い知らされる。

大雨で濁る酒匂川
酒匂川の流れが注ぎ、海の色が変わって見えた。


また新しい山に登ります。