【登山で一番楽しい瞬間(山エッセイ)】
山頂に近づくと山道は傾斜が急になる。
ゴールへ向けてラストスパートを要求されている感じ。山頂へ近づくほど緩やかで楽になる山というのもあるかも知れないが経験したことはない。
山歩きも慣れたはずなのにゴール直前はいつもヘトヘトになる。
明神ヶ岳〜金時山まで歩いた時もそうだった。
明神ヶ岳の山頂から金時山の山頂まで、ひたすら下って下って下って標高を下げる。延々と下り続けて金時山に近づいてからまたひたすら登る。金時山もラスト40分でひたすら登って登って登らされる。
金時山は猪鼻山とも呼ばれる。山頂付近が猪の鼻のように突き立っているからだとか。そんな地形なので山頂間際ではとにかくひたすら階段を登る。
金時山は初心者向けということになっているが山の「初心向け」という区分は「うっかりしていても死ぬ可能性が低い」くらいの意味合いだと私は睨んでいる。過去に何度、初心者向けの言葉に騙されたことか。
とにかくひたすら階段を登る。山頂付近で疲労がたまりきった最後の登り。考える余裕もない。
ひたすら足を動かす。
ふと、頭上の木々か途切れて空が見える。
ゴールだ。登りきれば絶景が待っている。
山頂に辿り着く瞬間。
この瞬間が、登山で一番楽しい。
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また新しい山に登ります。