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#ジェイン・エア

漱石の『文学論』が面白いんじゃね?(2)

漱石の『文学論』が面白いんじゃね?(2)

前回、漱石の『文学論』について触れたのだか、文庫本にある亀井俊介氏の解説に対する言及だけに終始してしまった。今度こそは「ジェイン・エア」について触れてみる。

もう迷わない。
もう道草しない。
ジェイン・エアに一直線に行く。
(大袈裟な・・・)

おっと、その前に。

ジェイン・エアをどうのこうの語るにあたって、やはりジェイン・エアがどういう小説なのか、たとえ一部であっても触れざるを得ない。それは

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漱石の『文学論』が面白いんじゃね?(1)

漱石の『文学論』が面白いんじゃね?(1)

近頃、漱石の話が多いんだが。

発端はシャーロット・ブロンテ著 阿部知二訳『ジェイン・エア』を読んだことがきっかけだった。それについてはこちらで。

漱石蔵書の『ジェイン・エア』も是非とも読んでみたいと思うものの、まずは『文学論』から。

漱石『文学論』を求めてまずは図書館で借りてみることにする。

近隣の図書館が2つあって、図書館Aに岩波文庫の『文学論』があることは知っていた。だが、その日は図書

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漱石が蔵書余白に残したメモを読みたくて、そして東北大学付属図書館 漱石文庫

漱石が蔵書余白に残したメモを読みたくて、そして東北大学付属図書館 漱石文庫

前回こちらの記事で、漱石が読書中の本の余白に書き込みをしていたことを書いた。

その書き込みをどうにも読みたくて、時々あるんだが、こういうことになると私は妙にシツコイ。寝る前にもまだ諦めきれず、考えてみれば『漱石山房』や『国立国会図書館デジタルコレクション』など、ピンポイントで探しすぎる。忘れていたGoogleという広大な検索ツールを。というわけで、検索バーに突っ込んでみた。

で、見つけたのが、

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漱石とジェイン・エア

河出書房新社の全集から阿部知二訳の『ジェイン・エア』を図書館から借りてきたのは訳を比べてみたかったからなのだが、気がつくとそんなことはすっかり忘れて文字を追うことを止められない。

阿部知二訳はハードカバー二段組、525頁。
大変に長い。

吉田健一訳は文庫635頁。

吉田健一訳はおそらく特に短いんだろうけど、阿部知二訳は特に長いように思える。全集の525頁で、ハードカバーでもあり、重量もたっぷ

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「ジェイン・エア」阿部知二訳がどうにも読みたくなってきた

「ジェイン・エア」阿部知二訳がどうにも読みたくなってきた

「ジェイン・エア」のことをあれやこれや書いていたら、どうにも阿部知二訳を読みたくなってきた。ぼんやり読みたいを通りすぎて、無性に読みたくてたまらない。頭の心がウズウズするというか、胃の腑がモゾモゾするというか、腰が落ち着かないというか、もう、こうなるとじっとしていられない。

古書で安ければ手に入れたい。そう思っていくつか検索してみたんだが、「現在お取り扱いができません」のオンパレードである(どう

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シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』 吉田健一訳を語りつくす

シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』 吉田健一訳を語りつくす

シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』は愛読書と言っていいかもしれない。中でも吉田健一訳である。初めて読んだのは確か20代の頃で、その時に何故吉田健一訳を選んだのかというと書店の本棚にあったというそれだけでしかない。翻訳については長く気にせずにいたのだが、ある時、図書館で『ジェイン・エア』の別訳をパラパラとめくって、ほとんどのけぞった。先日、オースティンの『高慢と偏見』の翻訳を比較してみたが、そ

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