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糖尿病シリーズ

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血糖値とは何か?から、糖尿病について、血糖値を下げる薬についてまとめました。
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#44 血糖値ってなんだ?

#44 血糖値ってなんだ?

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて今回は、先日眼科の待合室で聞こえてきた話から。

眼科医:「目の調子は良くなっているんだけどね、先日の血液検査の結果で、血糖378mg/dL、HbA1c13.2%でした。入院になると思うから紹介状書くね。」

患者:「でも皮膚科にも行かなきゃいけなくて、すぐにはちょっと…」

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#45 血糖値が高いとどうなる?

#45 血糖値が高いとどうなる?

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、疑問、気づきをつづっています。

前回、「血糖を下げるホルモンはインスリンしかない」、そんな話をしました。

糖尿病は、
●インスリンが分泌されない、インスリンの量が少ない
●インスリンは分泌されているけれど、うまく細胞内にブドウ糖を取り込むことができない
このような場合に慢性の高血糖(血糖が高い状態)となる疾患

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#46 血糖値が高いとそんなことも?

#46 血糖値が高いとそんなことも?

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

前回、「糖尿病は特に細い血管が障害を受けるやすくなるよ」という話をしたのを覚えていますか?

細い血管=目、腎臓、神経

これを「し・め・じ」と覚えましょう!
(糖尿病三代合併症)

そして、もちろん糖尿病は細い血管にだけ障害を与えるわけではありません。

「しめじ」に対して太い

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#47 どのくらいだと糖尿病と判定されるの?

#47 どのくらいだと糖尿病と判定されるの?

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

そういえば、そもそもなぜ糖尿病が糖尿病という名前なのかはご存知ですか?

それは、血液中のブドウ糖の濃度が一定程度高くなると、尿中にブドウ糖が漏れでてくることがあるため「糖尿病」と名付けられました。

昔の人は、うまいことつけたものですねぇ。

じゃぁ、この一定程度はどのくらいな

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#48 インスリンはどのように作用するの?

#48 インスリンはどのように作用するの?

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

以前、「糖尿病はインスリンがうまく分泌されていなかったり、うまく働いていなかったりする疾患」という話をしました。(→#45)

じゃあ、そもそもインスリンって何者なの?

インスリンは、血液中のグルコース(ブドウ糖)が増えると(血糖値が上昇すると)、膵臓のβ細胞というところから分

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#49 糖尿病のタイプ

#49 糖尿病のタイプ

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問などをつづっています。

さて、糖尿病のタイプは大きく4つに分けられます。

1型糖尿病、2型糖尿病、その他の特定の型、そして妊娠糖尿病です。

1型糖尿病は、インスリンを合成・分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまうので、最終的にインスリンを作ることができなくなります。

つまり、毎日インスリン注射し

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#50 インスリン療法

#50 インスリン療法

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問などをつづっています。

さて、前回までに、糖尿病とはどのような疾患であるかを長々とお話ししました。

よくわかっていないという方はまずはこちらから。

私は薬剤師なので、薬についてお話ししますが、前回もお伝えした通り、食事療法、運動療法を含めた生活習慣の改善をした上での薬物療法です。

薬飲んでいれ

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#51 インスリン抵抗性を改善する薬

#51 インスリン抵抗性を改善する薬

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

早速糖尿病で使われる薬について見ていきましょう。

糖尿病に使われる薬は主にこの4種類に分けられます。

今回は、「インスリン抵抗性を改善する薬」について。

まずは、インスリン抵抗性についておさらいです。

インスリン抵抗性とは、「インスリンは分泌されているのに、正常に働いてい

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#52 メトホルミン服用において気をつけること

#52 メトホルミン服用において気をつけること

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて、前回はインスリン抵抗性を改善する薬として、ビグアナイド薬(メトホルミン)とチアゾリジン薬(ピオグリタゾン)についての話をしました。

実は、メトホルミンって、一時全然使われなくて、最近日の目を見た薬なんです。

それは、関連する薬の副作用のせい。

昔は、乳酸アシドーシスと

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#53 インスリンの分泌を促進する薬①

#53 インスリンの分泌を促進する薬①

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて、引き続き糖尿病に対する薬を見ていきましょう。

今回は、③インスリン分泌を促進する薬

(専門用語が飛び交いますが、流し読みしながらついてきてください。)

インスリンの分泌を促進する薬は、
●SU剤
●速効型インスリン分泌薬(グリニド系)
●インクレチン関連薬

がありま

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#54 低血糖症状って知ってる?

#54 低血糖症状って知ってる?

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて、前回、SU剤と速効型インスリン促進薬の薬の効き方についてお話ししました。

その際、「SU剤等は血糖値が高い低いにかかわらずインスリンを分泌するので、低血糖のリスクが高い薬と言われている」と言ったのを覚えていますか?

じゃあ、この低血糖ってどういう状態?

低血糖とは、血

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#55 SU剤と速効型インスリン分泌促進薬の違い

#55 SU剤と速効型インスリン分泌促進薬の違い

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて、#53にて、インスリン分泌を促進する薬の中で、SU剤と速効型インスリン分泌促進薬とでは、作用するところが同じ、と言ったことを覚えているでしょうか?

作用するところが同じなのに、なぜ種類がわかれているのでしょう?

その違いは、結合力の強さにあります。

SU剤等の効き方の

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#56 インスリンの分泌を促進する薬②

#56 インスリンの分泌を促進する薬②

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

最近は糖尿病で使われる薬についてお話ししています。

今日は、インスリンの分泌を促進する薬として、インクレチン関連薬を紹介します。

はい、インクレチンってなんだと思った方。

インクレチンとは、食事摂取に伴い、消化管から分泌されるインスリン分泌を促進するホルモンのこと。

食事

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#59 糖の吸収・排泄を調節する薬①

#59 糖の吸収・排泄を調節する薬①

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて、ついに糖尿病に使われる薬の最後の章がやってきました。

そう、最後は糖の吸収・排泄を調節する薬です。

まずは吸収から。

体の中に入ってきた糖質は、消化酵素の働きでブドウ糖に分解されて、小腸から吸収されます。

その結果、急激な血糖値の上昇が起こりますよね?

ならば、こ

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