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#55 SU剤と速効型インスリン分泌促進薬の違い

こんにちは。

薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。

日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。

さて、#53にて、インスリン分泌を促進する薬の中で、SU剤と速効型インスリン分泌促進薬とでは、作用するところが同じ、と言ったことを覚えているでしょうか?

作用するところが同じなのに、なぜ種類がわかれているのでしょう?

その違いは、結合力の強さにあります。

SU剤等の効き方の図を思い出してみると、SU剤等は、ATP感受性K+チャネルという扉に結合して、インスリンを分泌します。

●SU剤:結合力が強く、薬の作用時間が長い

●速効型インスリン分泌促進薬:結合力が低く、薬が処理される速度が早い

この違いにより、飲み方にも特徴があります。

●SU剤

1日1〜2回 食前または食後どちらでもOK

SU剤は、低血糖症状の他に、体重増加の副作用も起こるといわれています。

インスリン作用が増強すると、脂肪細胞への糖の取り込みが進みます。

この時、過食や運動不足などのエネルギー過剰状態にあると、脂肪細胞の肥大化が起こり、体重が増加します。

また、血糖が低下することによる空腹感から間食が増えてしまうことによっても体重増加は起こりやすくなりますよね。

●速効型インスリン分泌促進薬

1日3回 食直前

気づきましたか?

速効型インスリン分泌促進薬の飲み方は、食直前なのです。

このグループの薬は食後服用だと効果に遅延が生じてしまうため、食直前、つまり「いただきますと同時」に服用となっています。

また、日本人には、インスリン分泌の遅れが多いと言われており、このグループの薬を服用することによって、本来あるはずの血糖上昇に合わせた速やかなインスリン分泌を回復することがあります。

それにより、SU剤では是正できないインスリン分泌パターンの異常に起因する低血糖や空腹感の増強、体重増加を来しにくくなるといわれています。

それでもやっぱり食直前の飲み方って忘れがちにのりますし、SU剤の血糖降下作用は強力なので、どれも一長一短ですね。

さて今回は、なんだかんだと難しいことをつらつら並べましたが、それぞれの薬にはメリットデメリット、違いや特徴があるんだよ、ということが伝われば嬉しいです。

疑問や質問あればお気軽にご相談ください。
あやこのお薬相談室

みなさんのヘルスリテラシーが向上するお手伝いが少しでもできますように。

参考:薬がみえる Vol.2
   薬局で使える実践薬学 
   まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール
引用:キッセイ薬品工業株式会社HP
   株式会社三和化学研究所HP
   持田製薬株式会社HP
   武田テバファーマ株式会社HP
   大日本住友製薬株式会社HP
沢井製薬株式会社HP

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