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河合隼雄を学ぶ

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河合隼雄先生の著作や関連書籍から、河合隼雄先生の思想を学んでいきたいと思います。
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#日本

河合隼雄を学ぶ・7「母性社会日本の病理②」

河合隼雄を学ぶ・7「母性社会日本の病理②」

(前号の続きです)

母なるものの「包含し飲み込む力」、父なるものの「切って分ける力」、どちらの原理がより強く働くかは国、文化によって異なる。日本は明らかに母性文化に属するが、ひとつの原理によってのみ成立している文化などない。

日本においては、母性原理に基づく文化を、父権の確立という社会構造で補ってきた。一昔前、家において家長である父の強さは絶対的であった。しかしそれは、父性原理に基づくものでは

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河合隼雄を学ぶ・11「これからの日本②」

河合隼雄を学ぶ・11「これからの日本②」

(前号の続きです)

【物語のなかの男と女・夫と妻】

その人の人生がすなわち「物語」である。

河合隼雄は心理療法家として、「物語」に関心をもたざるを得ないという。例えば夫は夫の、妻は妻の「物語」を生きていて、同じ家で夫婦として暮らしていても、「物語」が違うから、喧嘩になるし、わかりあえない。二人が共有できる「物語」を新たに紡がない限り。

また、河合隼雄のところに来たクライエントの女の子が「私

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河合隼雄を学ぶ・12「これからの日本③」

河合隼雄を学ぶ・12「これからの日本③」

(前号の続きです)

【日本の土を踏んだ神 ~遠藤周作の文学と宗教~】

ユング心理学というものは面白いが、これを日本に導入しようとする当初、河合隼雄はなかなかに苦労したという。

文化であれ、思想であれ、どこかの土、違う土を踏むということは大変なことであって、その土を踏んだ途端に変容するという性格を持っていると言ってもいいくらいであり、ユング心理学も、日本の土を踏んだ途端に、これはもう変容を始め

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