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河合隼雄を学ぶ

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河合隼雄先生の著作や関連書籍から、河合隼雄先生の思想を学んでいきたいと思います。
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2020年2月の記事一覧

記事のテーマは「河合隼雄を学ぶ」

記事のテーマは「河合隼雄を学ぶ」

仕事で人の心を扱う者としても、心理学を学ぶ者としても、児童文学作家を志す者としても、故・河合隼雄先生をとても尊敬している。

河合隼雄先生は、ユング派の心理学者で、子どもの本にも大変造詣が深かった。

日本人の心、ということを、生涯通じて探究された方だと思う。

河合隼雄先生の著作や講演、色々な分野の有名人との対談から、河合隼雄先生が見ていた世界観を、読者の方々と、一緒に学んでいきたい。

河合隼

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河合隼雄を学ぶ・1「コンステレーション」

河合隼雄を学ぶ・1「コンステレーション」

ユング心理学における「コンステレーション」という概念を知った時の衝撃は大きかった。

もともとは「星座」を意味する英語だが、ユング心理学では、布置とか、配置の意である。

星座は、もともとはただの点である星々を繋いで、夜空に壮大な世界を見たことから始まっている。

一見、無関係に、偶然に配置されているとしか思えない数々の出来事が、繋ぎ合わせて見てみたときに、思いがけず、全体的な意味のあるひとつの世

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河合隼雄を学ぶ・2「ファンタジーを読む①」

河合隼雄を学ぶ・2「ファンタジーを読む①」

児童文学作家を志すものとして、河合隼雄の「ファンタジーを読む」は何度も読んだ。

心理療法家である河合隼雄が、なぜファンタジーや子どもの本に関する著作をたくさん出しているのか。それについては、こんなふうに書かれている。

『心理療法を長年行ってきて、近年はあまり流行しなくなった、などというより、心理学の世界では完全に忌避されていた「たましい」ということを、最も大切なことに感じるようになったものの、

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河合隼雄を学ぶ・3「ファンタジーを読む②」

河合隼雄を学ぶ・3「ファンタジーを読む②」

(前号からの続きです)

【エリコの丘から】

スターになるには才能がいる。それでは才能がないものはどうすればいいのだ。このことをアイデンティティの問題と関連して考えるならば、誰もが自分自身の宇宙の星(スター)になるのだと考えてみるとよくわかる。スターになるのを、単純に有名になることや目立つことなどに結びつけて考えすぎると、「出世病」にかかることになるだろう。誰もが自分の宇宙のスターになる才能をも

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河合隼雄を学ぶ・4「ファンタジーを読む③」

河合隼雄を学ぶ・4「ファンタジーを読む③」

(前号の続きです)

【影との戦い ゲド戦記1】

ユングは「影をリアライズすることが、人間の責務である」ということを主張する。つまり、影のことを真に「知る」ためには、なんらかの「実行」が必要なのである。この物語は、まさにゲドによるゲドの影とのリアライゼーションが語られているのである。長い苦しい航海の末、ゲドはついに「影」に会った。一瞬に、ゲドも「影」も同じ名を語った。「ゲド!」

【こわれた腕環

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