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河合隼雄を学ぶ・1「コンステレーション」

ユング心理学における「コンステレーション」という概念を知った時の衝撃は大きかった。

もともとは「星座」を意味する英語だが、ユング心理学では、布置とか、配置の意である。

星座は、もともとはただの点である星々を繋いで、夜空に壮大な世界を見たことから始まっている。

一見、無関係に、偶然に配置されているとしか思えない数々の出来事が、繋ぎ合わせて見てみたときに、思いがけず、全体的な意味のあるひとつの世界として立ち現れてくるのだ。

世界全体の布置、世界全体の様相、マンダラで表現されるような世界……世界とはこういうものなのだ、と頭ではなく心が、バーン!!と把握する感覚といえるだろうか。

心が、魂が、一瞬で把握したコンステレーションを人に伝えようと思うと、長い長い物語になる、と河合先生は言う。

モーツァルトは自分で書いた交響曲を、一瞬にして聞く。それを皆にわかるように書くと、20分間の音楽になると言う。

名作絵本、センダックの「かいじゅうたちのいるところ」は、息子が小さいときに何度も読んだ。あの絵本も、主人公マックスが心の中でカーッ!と感じた一瞬の気持ちを表現すると、あのように豊かで奇妙なかいじゅうたちの世界が立ち現れてくるのだと、河合先生は言う。

私たちが、無意識で感じている世界の様相、世界の姿を、目に見える形、耳で聞こえる形で表現してみたい、と希求する者が、作家や音楽家、画家や建築家などの芸術家になる。

私たちは、日常を生きている。仕事でのミスにクヨクヨし、仕事相手に言われたことに落ち込み、子どもの病気にワタワタし、旦那とケンカをして腹を立てる。私たちは、目の前で起きる出来事に振り回されつつ、必死で生きている。

でも、ふと、このひとつひとつの出来事、私の感情は、どんな物語の一部なのだろう、と考えてみることがある。

いま、目の前を、小さなクモが横切ったことには、どんな意味があるのだろうと、考えてみることがある。

この間は、こんなことを考えた。私は小学生の頃、アタックNo.1というバレーボールのアニメが大好きだった。でも運動神経がイマイチだったので、中学、高校とバレーボールをすることはなかった。しかし大学に入って、バレーボールへの憧れが蘇り、バレーボールをやるサークルに入った。そこで今の旦那と出会って、その後結婚した。そして、目の前のこの子が生まれた。この子を生むことができたのは、小学生の頃、バレーボールに憧れていたからなのか、と。


世界は究極のバランスで成り立っている。

全てのことに意味がある。

私というこの存在、

あなたという存在、

いま、目の前で起きていること、

あのとき、起きた出来事、

いま、世界の様々な町の片隅で起きていること、

私は、どんな世界で生きているのだろう。

世界とは、どんな様相を呈しているのだろう。

私は、どうしても、それが知りたい。


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