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相手から引き出して成長を促進する DeNAリーダーのコーチング活用法

メンバーの成長促進をうまくサポートしたいというのは、マネージャーやリーダーの皆さん共通の願いではないでしょうか。

他者の成長促進を促すスキルとして近年注目されているのが、コーチングというコミュニケーションスキルです。

今回は株式会社ディー・エヌ・エーで活躍されるお二人に、同社のコーチング研修を通じてどんなことを学び、どう現場で活用されているのかお話を伺いました。

メンバーの育成支援の為に始めたコーチング学習

━━まずはじめに、お二人が社内で実施された「コーチング講座」を受講しようと思ったきっかけを教えてください。(渡部)

コーチングコミュニティ企画運営兼
「コーチング講座」講師
渡部 紋歌

平澤さん: 僕はゲームの企画メンバーが集まったグループのマネージャーをしています。
マネージャーの武器の一つとして、コーチングというスキルを身につけたいと思っていました。

メンバーは全員ゲームの企画者ですが、
僕にはゲームの企画経験というのがほとんどありません。
その為、メンバーの持っている課題に対して「具体的にこうすれば良い。」というアドバイスや指導をすることができないという悩みがありました。

メンバーの育成支援やパフォーマンス向上のサポートに繋がる武器が欲しいと思っていたところに「コーチング講座」開講の話があったんです。

相手の中から引き出すというスキルで「これこそ自分の求めているものだ!」と思い受講を決めました。

ゲーム事業本部開発事業部開発一部ゲームデザイングループ
グループリーダー
平澤 崇之さん

鷲野さん: 私は当時チームのリーダーを任されていて、チームメンバーとのコミュニケーションに役立つと考えたんです。

チームメンバーは色んな人がいて、新卒の若い人もいれば、自分より年上のメンバーもいました。
ディー・エヌ・エーでの社歴が長い人も短い人もいました。

そうした異なる背景をもったメンバーに対応するにあたり、自分にはコミュニケーションの課題があるなと感じていたんです。

周囲のコミュニケーションが上手な方は、色んな人とたくさん話をして信頼関係を築いていたけれど、私はそういうタイプではありませんでした。
せめて、リーダーとしてメンバーに不快感を与えないようにしたかったんです。

また、自分自身に対しても「行動が起こせない」という課題を抱えていました。
やりたいことがあってもリスクを考えると中々前に進むことが出来なかったんです。

自分自身の成長にも繋がるのではと感じ、学ぶことにしました。

ソリューション事業本部オープンプラットフォーム事業部ゲームプラットフォーム部
グロース&アナリティスグループ
鷲野 里奈さん

株式会社ディー・エヌ・エーで行われている社内研修「コーチング講座」。
コーチングの原理やスキルを学び、コミュニケーションの一つの手段としてコーチングを現場で活用できることを目指す講座で、e-Learningと実践セッション練習で構成されている。

グループ会社を含めて、部署や役職・職種も異なる様々な年齢層の参加者が集まり、述べ100名を超える従業員がこれまでに受講している。

現場で使えるコーチングスキル取得を目指した講座


コーチング実践により発見したメンバーの新しい一面

━━講座で学ばれたコーチングスキルを、どんな風に現場で生かされていますか?

平澤さん: 僕はメンバーの目標を作成する時や毎週のメンバーとの1on1でコーチングを使ってます。
1on1のアジェンダの中には、目標の進捗を確認したり、相手の背中を押す関わりだったり、コーチングに関連した項目をいくつも入れています。

コミュニケーションを通じて、
メンバーが自分の目標をキラキラした目で語ってくれた時や、1on1の最後に「話を聞いてくれてありがとうございます!」なんて言ってもらえると嬉しさがこみ上げてきます。

こうしたメンバーとの関わりが、
僕自身への自己効力感も上げてくれている気がするんです。

僕は自分に企画経験がないことで、
どうしても「自分がマネージャーで良いのかな?」という負い目があります。

でもそんな風に言ってもらえると、
僕もメンバーの役に立っている、自分の役割を果たせてるんじゃないかなと思えるんです。


鷲野さん: 私は1on1でメンバー一人一人のやりたいこと・やれることについて話す時間をじっくりと設けました。
すると、それまで気づいていなかったことが色々と分かってきたんです。

メンバーの中に一人、
すごく責任感が強くて頼られ気質だった方がいました。

本当は自身に色々任せて欲しい人だったのに、私含めておそらく周囲にそのことに気づいていた人は当時いなかったんじゃないかと思います。

対話を通じてその気質が分かってからは、
私から具体的に指示するのは最低限にして、できるだけ本人の意向で進めてもらうように関わり方を変えたんです。

そうすると、
元々責任感がすごく強い人だったので、どんどん自分で進めてくれるようになりました。

相手の中にあるものを使って成長促進する

━━お二人とも、ご自身のチームで色々と試されているんですね。
この講座やそうした現場での活用を通じて、どんな学びがあったと思いますか?

鷲野さん: 私は多様性への理解が深まったことが一番の学びだと思っています。

コーチングスキルを使いながら人の話を聞いていくと、人って本当にそれぞれ違うということを感じます。

私は仕事を一生懸命頑張りたいタイプですけど、同じくらいプライベートを大切にして仕事とのバランスをとりたい人もいます。
私はAという業務は好きだけど、Bという業務はあまりやる気が出ない。
それが全く逆の嗜好の人もいました。

これまでの背景が違えばみんな価値観は違います。

皆がどんな風に働いていて、何を大事にしているのかに耳を傾けられるようになりました。

今までも人の話を聴いているつもりだったのですが、実は全然聴けていなかったんだなと気づかされました。


平澤さん: 僕は相手の中にあるものを使ってその人の成長促進できるという事を、体験として理解できました。

元々、傾聴を大事にしてメンバーと接してきました。

相手に向き合って、
感情に目を向けて寄り添ったりすることは一定してやれていたと思いますが、話を聴くだけのケアで止まっていたんです。

相手の中にあるものを引き出して気づきや学びを与えて、本人の目標達成への進捗をサポートしていく。

そういう所まで足を進められるようになった気がします。


セッション練習はオンライン英会話のようなもの

━━ここからは実際の講座への感想も教えて頂きたいと思います。
まず、講座の中では参加者同士でコーチングをやっていただくセッション練習も多く行われました。このセッション練習はいかがでしたか?

鷲野さん: セッション練習は学んだスキルを実際に試してみる場としてとても良かったです。

本やnoteなどを読んでコーチングを学んでも、
それを実際に仕事の現場でやるというのはとても勇気がいると思うんです。

セッション練習って英語を勉強している時のオンライン英会話に似ていると思います。

学んだ英語を話す練習をせずに人前で話すって辛いですよね。
コーチングもそれと似ていて練習が大切です。


講座では学習序盤からセッション練習が始まるので、学んだことを使ってすぐに実践しなくちゃいけなくて不安なことも多かったです。

「コーチとしてしっかり相手を導かなきゃいけない。」とか、
「相手の話が全然分からないことだったらどうしよう。」など心配していました。

しかし、回数を重ねることで徐々に自信がついてきたように思います。

自分の中にスキルの引き出しが増え、
練習の中で成功体験を積んできたことで不安が徐々に薄まっていったのだと思います。


平澤さん: 他の参加者からのフィードバックもすごく支えになりましたね。

セッション練習後に参加者同士で感想を言い合う時間がありました。
そこで皆さんからもらったフィードバックは今でも心に残っています。

一度「普段の平澤さんの良さが今日は消えてしまってた気がします」と率直なフィードバックをもらったことがあります。

その瞬間はがっくりきたんですけど、
後から思い返すとその時は学んだことで頭がいっぱいで目の前の相手とちゃんと向き合えてなかったんですよね。

次のセッションで挽回しようと頑張ったら、
今度は渡部さんから「すべてのアプローチが効果的だったと思います。」と言ってもらえて、嬉しかったですね。

良いフィードバックも厳しいフィードバックもどちらも学びが多いなと感じます。


セッション練習では、
メンバー(相談者)役・コーチ役・傍聴者(オブザーバー)と参加者がそれぞれの役割を持ち、1on1でのセッション練習を行った。

セッションごとに三者で振り返り、良かった点・改善できそうな点・セッションの目的が達成されたかどうかなどをフィードバックとして共有しあった。

三者一対のセッション練習


お互いのコミュニケーションスタイルから学ぶ

━━講座では普段関わりのない、他の部署の参加者の皆さんとセッション練習を行って頂きました。
色んな人と練習をすることでどんなことを感じましたか?

平澤さん: 人によって話を聴くスタイルが全然違うなと思いました。

話を聴くのに徹する人もいるし、
コーチ側が話を先導していくタイプもいる。

僕はどちらかというと真面目なトーンで話を進めますけど、鷲野さんは相手に楽しく話してもらう雰囲気作りが上手ですよね。

鷲野さん: 平澤さんからは周囲に対しての意識の高さをすごく感じます。
周囲への貢献を大事にされたり、周囲のいろんな人の意見を受け入れようとしたり。

他人に対しての心の広さがあって、
そこは自分とは違う部分だなって思っていました。


あと、単純に部署を超えて、
これまで仕事で関わってない人たちとお互いのことを話す時間って、とても価値があるものだなと感じています。

同じチームで同じメンバーと働いていると
解決方法とか思考が固まりがちですけど、
色んな考えの人がいて、話しているだけで視点が広がる感覚があります。


それに、私はいつも周囲の人って完璧に見えるんです。
人生うまくいってそうだし、悩みなんてなさそう。

でもみんな同じ様に悩んでることを知ることで、自分って一人ではないと思えますし、
周囲の人にも「この人もこの人なりに悩んでいるのかもしれない」と思って接することができるようになりましたね。

同じ課題感を持った参加者が集まり高まる一体感

━━最後に、講座全体や講師についての感想を教えていただけますか?

平澤さん: 講師の渡部さんはたくさんの金言が口から出てくる人というイメージが強いです。

講座の中で「なるほどー!」と思う発言がたくさん出てきて、自分のコーチングメモにもたくさん残しています。


あと、質問力がすごい人だなという印象です。
講座の中でフィードバックする時とか、みんなでセッションを振り返る時にそれを感じます。

相手に嫌な印象持たせずに、
切り口鋭い質問を投げられる人だなと思っています。


鷲野さん: それ、すごく分かります。

私は渡部さんのコーチングも受けたことがありますが、時々すごい刺さることを言うコーチだなっていう印象です。

その時は一瞬「うっ」ってダメージを受けることもあるんですけど、後から思えば「あぁ、あれその通りだな」と思うんですね。

なかなかそれを言ってくれるコーチっていないし、その関わりがちゃんと行動を起こさせてくれてるなと思います。


平澤さん: 講座そのものでいうと、講座自体が楽しい雰囲気でしたね。

同じ様な課題感をもった人が集まっている時点で一体感がある。

そんな中でお互いに自分をさらけ出しつつ、
良い関わりができた時は一緒に喜ぶし、
厳しめのフィードバックもらった時は「一緒に頑張ろう!」という気持ちになる。

そういう場って美しいと感じます。

とても楽しくて学びの多い講座でした。


━━平澤さん、鷲野さん、たくさんのお話を伺わせて頂きありがとうございました!



株式会社ディー・エヌ・エーで実施された
「コーチング講座」の設計・講師を務めた渡部紋歌による、ビジネスパーソンの為のコーチング講座は今冬開講予定です。

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