【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】過度な精神ストレスは病気の原因に!?
精神的なストレスが身体に悪いことは一般的に知られており、胃炎、皮膚炎、腸炎、適応障害をはじめとする、ストレス性〇〇といった病気は、現在では数えきれないほどたくさんあります。
それだけ、心と身体が、密接に関わっているということですね。
今回は、東洋医における精神的なストレスの種類とわたしたちの身体への影響についてご紹介をします。
1.東洋医学における精神的ストレスとは
東洋医学では、心と身体はつながっていて密接に関連しており、お互いに強く影響し合うという「心身一如」という考え方を大切にして、診断や治療に役立てています。
心の不調は身体の症状に影響をおよぼしたり、身体の不調が心の不安定な状態を招いたりします。
この心の状態、つまり精神的ストレスのことを、東洋医学では、7つに分類して『七情』と呼んでいます。
では、次に『七情』をひとつひとつとりあげてみていきましょう。
2.怒
ひとつめは、怒るという感情です。
仕事に追われてイライラ、人間関係がうまくいかずカーッとする。
そんな日常生活でのシーンを想像してみてください。
体内の循環が停滞して、頭に血が上りやすくなり、上半身を中心に過緊張状態となります。
五臓では、肝と深く関連して、怒則気上といいいます。
イライラを過度に繰り返して、いつもいつも怒ってばかりいると、身体に次のような症状を引き起こしやすくなります。
・抑うつ感、イライラ、ため息、胸と脇の張った痛み
・めまい、頭痛、目の充血、耳鳴り、顔面紅潮
3.喜
次は、喜ぶという感情です。
幸せをかみしめる瞬間、心がほんわかとしますね。一見すると、身体に悪影響を及ぼすことがないようにみえます。
しかし、喜びすぎたり・ハイテンションになりすぎると、情緒不安定になり笑いを制御できなくなったり、心身が緩みすぎてしまうことから、身体の中の循環が低下してしまいます。
五臓では、心と深く関連し、喜則気緩といいます。
過度に喜びすぎることは、身体に次のような症状を引き起こしやすくなります。
・動悸、集中力低下、そわそわ落ち着かない、物忘れ、不眠
・情緒不安定、笑いがとまらない
4.思
3つめは、思う・考える、という感情です。
仕事や勉強が上手く進まず、あれこれと毎日悩み続けたり、家に引きこもってインターネット検索ばかりして考え込んだり。
そんなシーンを思い浮かべてみてください。
五臓では、脾と深く関連し、思則気結といいます。
過度に思い悩み、考えすぎることを続けると、体内循環を停滞させ、それにより内臓機能が低下することから、身体に次のような症状を引き起こしやすくなります。
・食欲不振、腹(胃腸)の張った感じ、大便の不調
・胸の詰まった感じ、身体のコリやハリ、おもだるさ
・倦怠感、眠気
5.憂・悲
4つめと5つめは、憂い・悲しむという感情です。
憂いとは、心配する・不安になること意味します。不安なニュースをみて心が動揺したり、不幸なことに遭遇して悲しくなったシーンを思い浮かべてみてください。
食事が喉をとおらなくなり、ため息がふえてやる気がおきなくなったりしますね。
五臓では、肺と深く関連し、悲則気消・憂則気塞といいます。
過度に考え悩みすぎたり、不安になったりすることは、体内の循環を停滞させて、身体に次のような症状を引き起こしやすくなります。
・胸苦しさ、ため息、息切れ
・無気力、倦怠感
6.恐
6つめは、怖がるという感情です。
小さな子供であれば怖いものの代表はおばけですね。大人の場合には、会社の厳しい上司、取引先の人、病気などといったところでしょうか。
何かを怖がりすぎると、血の気がひくととともに、体内循環が下方向へ向きやすくなり、時に尿失禁(子どものお漏らしなど)などをおこします。
五臓では、腎と深く関連し、恐則気下といいます。
過度に怖がりすぎることは、身体に次のような症状を引き起こしやすくなります。
・尿や便を漏らす、気を失う
・月経の不調(月経周期の不順、月経量が増す、月経期間の延長)
・白髪になる・歯が抜ける
7.驚
最後は、驚くという感情です。
何かにびっくりすることは時々ありますが、腰を抜かすほど驚きすぎると、体内循環が一気に乱れて、動揺したり錯乱状態になる等、精神状態が不安定になってしまいます。
五臓では、腎と深く関連し、驚則気乱といいます。
過度に驚きすぎることは、身体に次のような症状を引き起こしやすくなります。
・尿や便を漏らす、動悸、大汗、パニック
・顔面蒼白、言語錯乱、動作不安定
8.まとめ
どうでしょう? これまで『七情』についてご紹介をしてきました。
精神的なストレスが身体に様々な影響をもたら、病気の原因となることは、ご理解いただけましたか?
ご自身の身体の毎日の健康のためにも、心穏やかに日々生活を過ごしたいものですね!
なお、ここでご紹介をしたような、精神的なストレスによる身体の様々な症状に対しても、鍼灸でのアプローチは可能となっており、その効果は、世界保健機関(WHO)も認めています。
参考リンク:公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!
鍼灸 あやかざり
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