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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「ひじき」は海の恵み!

以前は、家族で囲むご飯と言えば、お母さんがつくる家庭料理が定番でしたが、忙しくなった現代では、外食が増えて、市販のお弁当やお惣菜で済ます家庭も増えてきています。
家庭の味、お母さん・おばあちゃんの味が薄れつつある、そんな気がしますね。。。
しかし、市販品であっても、お弁当やお惣菜に添えられた煮物には、なんだか懐かしく、ホッとするような感じを覚えませんか??
今回は、そんな煮物の定番であるひじき煮の材料、「ひじき」をとりあげ、そのヒミツや「ひじき」のすごさをご紹介していきます。
『4.ひじき の簡単レシピ』では、保存のきく乾燥ひじきを使って簡単に作れ、おいしく食べられる『ツナとひじきのマヨネーズチャーハン』をとりあげています。
では、最後までお楽しみください。

1.ひじきの由来

まずはクイズです。「ひじき」は漢字でどのように書くか知っていますか?

答えは「鹿尾菜」です。

江戸時代に書かれた「本朝食鑑」という書物には、見た目が、鹿の黒くて 短いしっぽに似ているところが由来であると、記載されています。
そのほかにも、中国名では「海藻」、「海菜芽」、「羊栖菜」、「薬茶」、「落首」、「烏菜」という呼び名があります。

ひじきは、ホンダワラ科の海藻の一種で、古くは縄文時代や弥生時代にも食されていたことがわかっています。
また、奈良時代には神へのお供え物として、平安時代には朝廷への貢納品として選ばれたという記述も残っています。

このように日本人にはなじみの深い海藻のひとつですが、中国では古い書物に生薬(漢方薬)として使用されてきた記録が残っています。
「ひじき」に限らず海藻を食べるというのは、海に囲まれた日本だからこその食文化なのかもしれませんね。

「ひじき」は生のままでは渋みが強くて食べられないため乾燥品として流通しています。
大半は韓国産や中国産で、養殖ものです。そのため風味が少なく固めの食感になります。
対して国内産のものは、天然ものがほとんどです。養殖に比べて歯応えがしっかりとしていて、身が太く長くなります。三重県産、千葉県産、長崎県産などがよく出回っていますよ。

2.千葉とひじき

筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』は千葉市内千葉駅近くに所在しています。
先にご紹介をした、国内産天然ひじきのひとつである『房州ひじき』は、千葉県内、千葉市からは南に位置する、鴨川市や館山市で生産されています。
春分が近づく3月後半から4月の大潮の時季にひじき漁が行われ、その後、採れたてを蒸し上げる伝統的な製法で加工されます。
こうして作られる『房州ひじき』は、太くても柔らかく、しっかりした食感とヒジキ本来の旨みや香りがあり、千葉ブランド水産物の認定品にもなっています。
輸入品に比べると高価ですが、ぜひ『房州ひじき』を食べて、千葉の海の味を確かめてみてくださいね!
なお、千葉駅の周辺には、さまざまな千葉の名産・特産品・お土産物類を集めて販売している、マルシェや産直広場がいくつかあります。
例えば、『房の駅 ペリエ千葉エキナカ店』、『わくわく広場 京成千葉中央店』、『ペリエマルシェ』などです。
鴨川市や館山市は少し遠いですが、千葉市内のこういったお店で『房州ひじき』を取り扱っていることもありますので、興味を持たれた方は、ぜひお店にいって店員さんに聞いてみて下さいね!

3.栄養学としての効能

一般的に、海藻類には種々のミネラル分、ヨウ素、食物繊維が多く含まれています。
中でも「ひじき」は、ヨウ素やカルシウム、食物繊維が多く含まれています。

ヨウ素はからだの新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンの材料です。
このホルモンの不足が続くと、甲状腺の肥大や甲状腺腫を引き起こします。
子どもの場合は影響が大きく、成長や発育に遅れが出たり、精神や神経系に障害が現れたりします。
また、妊娠中の女性のヨウ素不足は胎児に大きな影響を与えます。
このように、ヨウ素は欠かせない栄養素ですが、日本人は昔から海藻を食べることでからだに必要な量を自然に摂取できていました。
しかし、食生活の欧米化によって海藻を食べる習慣もかなり減って来ています。海藻類を食べる習慣のない諸外国では不足しやすい栄養素と言われていますので、食事を見直して、「ひじき」や他の海藻類を積極的に取り入れるとよいでしょう。

カルシウムに関しては、『ひじき100gあたりのカルシウムは牛乳の約10倍』ともいわれていますが、これは乾燥ひじきの目安です。
一般的に、付け合わせとして出てくる小鉢のひじきの煮物で使われている乾燥ひじきは大さじ1杯(およそ3g)ですので、そこに含まれるカルシウムは牛乳一杯分には及びません。
ただ、日本人のカルシウムの摂取量は不足しているうえに、さらに年々減ってきているため、たとえ小鉢程度であっても積極的に取り入れるとよいでしょう。

食物繊維に関しては、野菜からは摂取しづらい水溶性食物繊維が多く含まれています。便秘の解消に効果があるのはもちろんですが、水分を吸収して膨らむため満腹感が得られやすくなります。また、小腸での糖の吸収スピードを緩やかにする働きもあるため、食後の急激な血糖の上昇を防防ぐこともできます。

このようにからだにうれしい効果ばかりが目立ちますが、ヨウ素の過剰は甲状腺機能が低下する原因となりえ、食物繊維の摂りすぎは、かえって便秘が悪化したりや下痢の原因となりえます。
ぜひ、おいしく食べられる程度の適量を心がけて、摂りすぎには注意をしましょう。

3.東洋医学的な効能

東洋医学的には、「ひじき」は以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 鹹、寒(苦味、鹹、寒い、有小毒)
【関連する臓腑経絡】 肝・胃・腎経(肺・胃)(肺・脾・腎)

①消痰軟堅
体内の老廃物のひとつである痰濁が結聚して、体内の循環が悪くなり、身体に腫瘤様のものを形成したものに適用する。
甲状腺腫、頸リンパ節結核、高血圧、動脈硬化などの改善に効果的です。

②清熱
からだにこもった余分な熱を治め、身体から小便として排出しやすくする。
脚気、浮腫などの改善に効果的です。

③消食
消化不良を改善しやすくるすことから、肥満症の防止に効果的です。

海藻類は「寒性」で消化しにくいため、冷え性タイプの方や、お腹が弱く下痢などをしやすい方には、あまり適しません。
そういった方は少量、控えめを心がけて摂取するようにしましょう。

4.「ひじき」の簡単レシピ

3.栄養学としての効能 でもお話ししたように、「ひじき」はぜひ子供たちにも食べてもらいたいと思いますが、よく見かける煮物やふりかけでは、子供たちの箸はなかなか進みませんよね。
そこで、子供たちの好きなマヨネーズを使った『ツナとひじきのマヨネーズチャーハン』をご紹介したいと思います。

【ツナとひじきのマヨネーズチャーハン】
《材料》分量は適宜
ご飯、ツナ缶、乾燥ひじき、マヨネーズ、しょうゆ
お好みで卵、青ネギ、いりごまなど
《作り方》
1.乾燥ひじきをお湯でもどし、水気をよく切っておきます。
2.フライパンにマヨネーズを入れ、少し溶けてきたら、ツナと戻したひじきを加えて強火で炒めます。
3.全体に軽く火が通ったらご飯を加え、さらに強火で炒めます。
4.ごはんがパラパラになったら、しょうゆを鍋肌から加え、全体に絡ませたらできあがりです。

卵や青ネギ、いりごまなど、お好みのトッピングを加えると、さらにおいしくなりますよ!

いかがでしたでしょうか?
『【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「ひじき」は海の恵み!』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』ほか

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