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【はじめてのあみあぶら】商店街のお肉屋さんと私のご褒美

【あみあぶら】

牛や豚などの内臓の周りについている網状の脂のこと。

フランスでは「クレピーヌ」と呼ばれる。

脂肪の少ない部位の肉をソテーやローストにする場合、
網脂で包んでおけば、パサつかず、
しかも脂のうまみがのっておいしく仕上がる。

参照:日本食肉消費総合センター用語集より



コーヒー豆を買いに地元のお店に。

前回とは違う豆を試してみよう。

モカの酸味より、苦みが強いほうが好みかも
なんて店主と話しながら今回の豆を選ぶ。

そうして選ばれたコーヒー豆
早速焙煎してもらう。


店中がコーヒーの香ばしい香りで包まれ
終始私の鼻をくすぐってくる。

至福の時間

香りは人を幸せにする・・・



そんなとき外を見ながら店主が言った。


「お向かいのお肉屋さん人気なんですよ。

今も行列できているけど、
コロッケとメンチカツを買う人ですよ。

いつも並んでいてすぐ売り切れちゃう。


でもね
あそこのハンバーグがとにかくおいしい。


お肉屋さんですから、
和牛の本当にいいお肉の切れ端を入れた
ハンバーグなんです。

だから数はあまり作れないんですが
これがおいしい。

すごい人気で中には
一度に40個買う人もいたりして
売り切れることもあって。


ハンバーグをあえてくずして
ボロネーゼに使ってもすごくおいしいんですよ。」


強烈に惹かれるものがあった。



帰り際、気づけばお肉屋さんの前にいた。


対面でお肉を買ったことなんてない私。

ちょっとドキドキしていると、
奥の方で大きなお肉をさばいている
ちょっと怖そうな店主と思われるおじさんが

私の様子を見て声をかけてくれた。

「ハンバーグならそこに出てなくても
冷凍のものがあるから言ってくださいね」


ひとりひとりお客様と向き合っている。

そんな様子が見てとれた。


地域密着型のお店。

商店街の昔ながらのお肉屋さん。


こんなそこそこ田舎でも
商店街を利用する人は確実に減っている。

この間は商店街に唯一あった古いスーパーが閉店した。


郊外の大型スーパーに行く人がほとんど。

商店街もシャッターが増えた。


外から見れば「こんな時代に大丈夫かな?」
と思っていた商店街の小さなお肉屋さん。


でも、並んでまで買う人がいて、
今もひっきりなしにお客さんがきている。


あぁ、
ここにはまだこんなつながりがあったんだ。

あたたかな気持ちがあふれてきた。


私の家は町から少し離れているので
商店街で買い物をする習慣はない。

結局車で行くなら
一度で済むスーパーを選んでしまう。

実家にいたころから
「スーパーで買い物をするもの」
そう思っていた。

それが普通だった。


でも今こんな時代だからこそ
地元のこういう【つながり】が
本当にあたたかくて
嬉しくて
人を集める。



そこそこ田舎だけど
私は生まれ育ったこの町が好き。


どんどんシャッターが増えていく商店街を見るたびに
寂しい気持ちになっていた。

だからこういうお店があることが嬉しかった。



そこで買った和牛ハンバーグ。

【1個300円】

4人家族なので4個
1200円。

みみっちい話だけど、
主婦的にはけっこう頑張ったほう。

自分で手作りすれば
もっと安くハンバーグは食べられるのだから。


あまり牛肉自体も買わない。

安い牛肉は特に心配があるから。

高いものは本気で高いし、主婦には手軽に買えはしない。



でも信頼できるお肉屋さんで買う和牛のハンバーグ。

やっぱり食べてみたい。



そして帰り道
大事そうに包みを抱え
軽やかな足取りで歩く私がいた。

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初めての和牛ハンバーグ。

包みを開けてみると、
なにやら白い膜みたいなもので包まれている。

そうこれが網脂(あみあぶら)

見るのは初めてだった。

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ハンバーグの中にはご丁寧に
「おいしいハンバーグの焼き方」まで入っていた。

網脂から油が出てくるので、油自体は少なめで良いらしい。

手順に沿って焼いていく。

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ジュ―

鉄はやはり音が違う。

聴覚からも幸せ感があふれてくる。


お肉の焼ける香ばしい香りがしてきた。

期待が高まる。



あこがれだった鉄フライパンで
地元のお肉屋さんで買った
和牛ハンバーグを焼く。


この光景自体が私には既に【ご褒美】なのだ。


何か【モノ】を買って満たされることはあるけど、
今は何かの【モノ】より【体験】に価値を感じる。


昨年仕事を辞めてから急に増えた【初体験】

おかげで世界の彩りが変わって見える。


毎日はただ過ぎていくものなのではなく
毎日を愛おしく、味わいながら過ごす。

これが「生きている」ということ。


新しいモノ・コト・ヒト
出会うことで確実に何かを感じている。


好きなことをするのに
お金がかかるから
とか
時間がないから
とか
何か理由をつけて逃げるんじゃなくて

まずはできることからやってみる。


案外お金がかからないことでも
豊かにしてくれるものは世界にたくさんある。

ただ見えていないだけ。

気付けるかどうかなんだ。



普段は食べない牛肉。

でも今日は十分味わっていただきます。

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いつもよりちょっぴりあたたかい空気が食卓を包んでいた。


綺麗道(きれいどう)


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