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おわりに - BTS【花様年華】のまとめと残された疑問


前回の記事はこちら

時系列整理の初回記事はこちら


※当記事は考察や個人の見解を含みます。ご了承下さい。※


これまで全30編(!)の記事に渡って【花様年華】の世界で起きた出来事の時系列や関連作品を整理してきました。全ての記事を読んでいただいた方も、気になる記事だけをいくつか読んでいただいた方も、この記事だけを読んでいただいている方も、本当にありがとうございます。

さて、今回の記事ではタイトル通り、①~⑰の時系列整理記事の総まとめとして【花様年華】のまとめと残された疑問について整理します。




【花様年華】のストーリー

現時点で公表されているBU contentの全作品に目を通した上で、改めて【花様年華】の大まかなストーリーをおさらいしてみましょう。

■あらすじ

学生時代を一緒に過ごした7人が、とある事件をきっかけに離れ離れになってしまうことで、様々な不幸な状況に陥ります。そのことを知ったソクジンがタイムリープを繰り返して未来を修正し、再び7人で一緒に笑って過ごすべく奮闘する物語です。

はじめに - BTS【花様年華】をもっと楽しんで欲しい!

当noteの初回記事の中では、【花様年華】の物語をざっくりとこう説明しました。

確かに話の展開だけを考えると、この物語は単に「ソクジンが6人の不幸な現実を修正するためにタイムリープを繰り返す話」に他ならないのですが、これまで一緒に一つひとつの出来事を整理してきたみなさんは、BTSの公式コンテンツにとって、この【花様年華】が単なる 二次創作 サイドストーリーではないことが重々お分かりかと思います。

学生時代に出会ったそれぞれに葛藤やトラウマを抱えた7人の少年が、生い立ちや置かれた環境を克服したり受け入れたりしながら自己を見つけていきますが、物語後半のテーマとなった”魂の地図”を探し出す過程で、とある一つの”答え”に辿り着くことが重要でした。

そしてその”答え”こそが、BTSが膨大な量の作品群を通して、全世界に発信しようとしたメッセージです。


■7人の成長と変化

前述したように、【花様年華】は7人の少年たちが自己を見つけ出し、とある一つの”答え”に辿り着くための過程を描く物語でした。

〈花樣年華〉-〈WINGS〉-〈LOVE YOURSELF〉-〈MAP OF THE SOUL〉と4つのシリーズに跨る作品群である【花様年華】=BU contentの世界の、7人それぞれの成長と変化を振り返ります。

〈ソクジン〉
幼い頃から父親に”良い子”になるよう厳しい教育を受けたソクジンは、(父親や世間にとって都合の)良い人でいなくてはならない」という強迫観念を持ち、ありのままの自分自身では周りから認めてもらえないのではと考えて、常に周りの大人の顔色を窺う自己肯定感の低い青年へと育ちます。

ソクジンは幼少期のとある出来事をきっかけに、父親の望む通りの人生を生きることを甘受していたので、父親や学校の校長先生に命じられるがままに素行の悪い友人の動向を密告したり、偶然拾った彼女の手帳に書かれた願望をそのまま叶えたり、主体性のない行動を取る姿が特徴的でした。

物語の後半、ソクジンは7人で過ごした幸せな時間の記憶を失うことと引き換えに、タイムリープを終わらせるために見つけるべきであるとされた”魂の地図”の存在を知らされます。そしてそれは「自分の過ちや未熟さを受け止め、許すこと」、そのただ一つの答え(=Answer:Love Myself)に辿り着くことこそが、”魂の地図”そのものでした。

繰り返すタイムリープの中で、ソクジンは常に自分以外の6人の不幸を書き換えて幸せにすることを第一に行動をしていましたが、ソクジンがタイムリープを終わらせるためには、救うべき対象は6人だけではなく、自分自身も救われて幸せになるべき存在であると気付くことが重要でした。

THE NOTES 2終盤の展開では、ソクジンにとって最大の恐れの対象であった父親自身が抱える過去の失敗や過ちを知り、「自分自身のために」行動したことで、父親の本来の顔とも向き合うことが出来ました。

〈ユンギ〉
ユンギは幼少期に両親から厳しく追い詰められていたことで、何かあればすぐに”自分のせい”、”自分さえいなければ”と考えて自らを責めることが日常でした。自宅の火事で母親を亡くして以降、折り合いの悪い父親に抑圧された生活を送ることになりますが、そのことで余計に精神的な不安定な状態が続くことになります。

そんなユンギの支えになっていたのがピアノ(音楽)そして6人の中でも特にユンギを慕っていたジョングクの存在で、ユンギが比較的穏やかに過ごすためには必ずその二つが揃ってそばにあることが必要でした。

自分が傷付くことへの先回りとして周囲に対して「近付くと不幸になる」と予防線を張っていたユンギは、自分と一緒に過ごすことはジョングクにとって良くないと考えて突き放しますが、ジョングクは「兄さんの音楽が好きで、兄さんのピアノを聞いたら生きようと思える」と話してユンギのそばに居続けました。

『WINGS Short Film #4 FIRST LOVE』冒頭には、ヘルマン・ヘッセ著『デミアン』第4章の引用である「神が僕たちを孤独にし、自分自身に立ち返らせる方法は様々である。これはあの時、神が僕に対して与えた方法だった」というナレーションが挿入されています。一見して遠回りのように思える、酒に溺れて自暴自棄になっていた期間も、ユンギが自分自身と向き合うために必要な試練であったようです。

THE NOTES 2でも病室に横たわるジョングクを目の当たりにし、あらゆる後悔に苛まれて自暴自棄になってしまうユンギでしたが、辿り着いた倉庫の教室でかつての自分が封ずるように仕舞い込んだ【花様年華】の記憶を紡いだ楽譜を見付け、ピアノや6人と共に幸せだった時間を思い出したことで立ち直る過程が描かれています。

〈ホソク〉
ホソクは7歳の時に母親に置き去りにされ、養護施設で育ちます。ホソクが幼い頃からナルコレプシーという睡眠障害を患っていることは6人も知っていましたが、本当の病気がミュンヒハウゼン症候群という虚偽性障害であることはホソクが誰にも明かしていない秘密でした。

ホソクは、もし事実を打ち明けてしまえばこの世のどこにも”母”と呼べる人がいないと認めざるを得ないのではないかと考えて秘密を抱え続けていましたが、自分と同じように過去に囚われて藻掻いていたジミンを病院から連れ出して真実を告白したことで、自らの境遇を受け入れることが出来ました。

また、母親に捨てられたことに対して”理由はわからないがきっと自分が悪いのだろう”という意識があり、他人を失望させることを恐れ、いつでも明るく気丈に振舞って快活な自分でいることを大事にしていたホソクでしたが、知らず知らずのうちにそんな自分で居続けること自体が息苦しくなっていたようです。

THE NOTES 1では思いのままに自暴自棄になるユンギや連絡を怠る6人の行動に苛立ちを抱えてソンジュの街を離れ、THE NOTES 2でも養護施設の立ち退き問題に無関心なソクジンに失望してハゴクの街へ移り住もうとするエピソードがあります。この時の6人の行動は、ホソクがいつも周りの人たちのために我慢していた”自分の感情を最優先”した行動そのものでした。

このようにTHE NOTES 1,2どちらの世界線にも、物語の後半にホソクが負の感情に蓋をしてまで自分を犠牲にすることを放棄し、自分の感情を最優先してあえて”自分勝手に”過ごす期間があります。マイナスの出来事のように描かれたその一連の心理の変化は、意図せずホソクにとっていい影響を与えることになり、ホソクは自分の気持ちに素直になることが出来ました。

〈ナムジュン〉
病弱な父親に代わって働きに出ていた母親が体調を崩したことで、中学生であったナムジュンが一つ年下の弟を含む4人家族の大黒柱としてアルバイトで生計を立てることになり、友達と遊ぶことも進学することも諦めた貧しい青年期を過ごします。

若くして”大人”になることを強制されたナムジュンはいつも理性的で、6人の目にも頼もしい大人のような存在に映っていたようです。しかし、ナムジュン自身の中には実際の自分が周りからの評価に見合うものではないという葛藤が常にあり続けていました。

THE NOTES 1には「僕は兄さんのような大人になれると思いますか?」と尋ねるジョングクに口を噤み、THE NOTES 2では、全身に傷を作ってグラフィティをし続けるテヒョンに「心配事があれば一人で悩まず言え」と本心で伝えていたにも関わらず、いざ頼られると向き合うことが出来ずに突き放してしまったと後悔するエピソードがあります。

テヒョンと向き合うために一緒に訪れた田舎の村で言われた「僕たち死なないようにしよう」というテヒョンの言葉は、理不尽な諦めを強いられるたび「生き残らなければならない」と幾度となく独り自分を奮い立たせていたナムジュンの新たな”約束”になり、現実的なナムジュンにとっては到底信じがたいテヒョンの話を信じて行動を起こしたことで、物語は急展開を迎えました。

〈ジミン〉
幼い頃は明るく無邪気だったジミンは、プルコッ樹木園での事件をきっかけに、事件についてはっきりとした記憶のないまま所謂PTSD(心的外傷後ストレス障害)のようなフラッシュバックを起こすようになり、世間体を気にする両親の意向で入退院のたびに転校を繰り返します。

事件の記憶を思い出してからも「何も覚えていない」と嘘を吐き続けて、発作を起こす恐怖を抱えたまま自分自身と向き合うことから逃げ続けていたジミンですが、退院するホソクを見送り6人と一緒に病院を飛び出したこと、ホソクが自らの嘘を告白したこと、ソクジンが自分や父親の犯した過ちと向き合う姿を見たことなどに背中を押され、自らの意思でプルコッ樹木園へと足を運び、過去に置き去りにされたままの幼い自分を抱き締める=過去の記憶や恐れに固執して前進出来ない自分自身の弱さを認めて慰めることが出来ました。

単にトラウマを完全に克服した!というような結末ではなく、かつて両親がそうした様に自分自身を恥ずかしい隠すべき存在だと考えることを辞め、トラウマや不安を抱える自分もまた自分なのだと受け入れる、そしてそんな自分を偏見なく受け入れてくれる人がいると信じることが出来たことが重要でした。

〈テヒョン〉
幼い頃から姉と二人でアルコール依存症の父親からのDVに耐える生活をしていたテヒョンは、頼れる”大人”の存在を求めてナムジュンに全幅の信頼を置くようになりますが、自分の置かれた悲惨な状況を自ら話して周りに助けを求めることはしませんでした。

ソクジンが修正した本当の現実では父親を刺し殺し、『WINGS Short Film #3 STIGMA』の中でも「両親、そんなものはいない」と答えていたテヒョンですが、THE NOTESの中には酒に溺れる父親を心配して健気に世話をする様子が度々描かれます。また、自分と姉を見捨てて家を出た母親に対してもあまり未練が描かれる場面はありませんが、泣いて追い縋れば家に戻ってくれていたかもしれないという一抹の思いを抱えていました。

裏切られることや突き放されることに過剰に反応するテヒョンは、ソクジンが真実を打ち明けてくれないことや、ナムジュンが自分と同い年の実の弟に厳しい言葉を掛けていたのを聞いてしまったことなどが積み重なり、冷静ではいられなくなる描写もありました。

そして何より、テヒョンは7人が倉庫の教室を失う原因となったユンギの退学がソクジンの行動によって引き起こされたものであると知っていたり、ソクジンが修正したはずの出来事を悪夢を通じて知ることが出来ていたり、物語の中で超重要な鍵を握る人物です。

物語の終盤、自分でも信じがたいような話をナムジュンに打ち明けたときに口にした「僕が言ったこと本当に信じますか?」という問いに、ナムジュンが真っ直ぐに「信じられないことを信じるのが、本当に信じるってことだろ」と返してくれたことや、ソクジンが最終的にはテヒョンを信じて歩み寄ってくれたことで、テヒョンは自分の考えや行動に自信が持てるようになっていきました。

〈ジョングク〉
父親が「生きることが辛く、耐えられない」と言い残して失踪したことで、幼いジョングクは”自分は父の生きていく理由にはなれなかった”のだと考え、母親の再婚相手の家族にのけ者にされて自分の居場所を見付けることが出来ないまま、あえて自分を傷付ける行為や危険な行動を取ることで周囲の関心を惹くことが多くありました。

自分の存在価値を見出せずにいたジョングクは、6人の兄たちと出会い過ごしてく中で特にユンギを慕うようになり、6人を本当の家族のように思えるまでに心を許しますが、その感情はやがてある種の依存のような形で6人に執着してしまうようになります。

物語の中でジョングクの身に不幸な出来事が起こったり、心を閉ざしたりするのは、決まっていつも孤独を感じている時です。自分も誰かにとって大切に思える存在であると実感出来ることがジョングクにとっての精神安定剤でした。

しかしソクジンがタイムリープを繰り返す度、ジョングクと6人との間で些細なすれ違いが積み重なり、ジョングクの中で”海からの帰り道に自分を轢いて逃げ去った犯人はソクジンなのではないか”という猜疑心が膨らみ続けて、6人のありとあらゆる言動を裏切りだと確信してしまうまでになってしまうのです。


未解決のエピソード

今後公式からの供給で解決される可能性は極めて低いと思われますが、現状未解決でふんわりと宙に浮いているエピソードを列挙してみようと思います。未解決とはいえ、どれも【花様年華】における7人の成長に多大な影響をもたらした重要な出来事です。

また、これからも【花様年華】の物語が続いていくと仮定した場合、今後起こるであろう出来事の伏線である可能性を勝手に三段階で評価してみました。(重要度:低★☆☆ - 中★★☆ - 高★★★)この辺りは完全にわたしの独断で適当に付けてるので、気にせず見流していただいて大丈夫です。

世界線はごちゃ混ぜでシンプルに日付順に列挙します。リンクからエピソードを含む時系列記事や該当のNOTESへ飛べるようにしましたので、そんなくだりあった?となった人はご参考までに。

■ホソクの母親の行方year09.05.31

9歳のホソクを遊園地に置き去りにしたまま姿を消したホソクの母親は、一体なぜこのような行動を取ったのでしょうか。

ホソクの記憶の中の母親は聖母のように子を抱き、優しくホソクの名前を呼んでいますが、 一方でホソクが父親を回想する場面は一度もなく、NOTESにも一切の記述はありません。

★☆☆

■ソクジンの友人の行方year09.10.10

THE NOTES 1冒頭に、9歳のソクジンが同じクラスの友人チェが失踪した彼の父親を探す借金取りの男たちに追われているのを助け、自宅の部屋に匿ったというエピソードがあります。

友人を助けたい一心で共に逃げ隠れたソクジンでしたが、すぐにソクジンの父親に見つかり、父親は「連れて行かないで」と必死にチェを庇うソクジンの肩を強く掴んで「ソクジン、いい子にならなきゃな」と言い聞かせ、チェを追手の男に引き渡してしまいます。

【花様年華】の物語の中で常にソクジンを支配する”いい人でいなければ”という強迫観念が生まれるきっかけの一つとなった重要な出来事ですが、チェや彼の父親の行方は「翌日、先生が転校したと言った」という一文で片付けられています。また、どうしてソクジンの父親が彼らを追う借金取りに協力的だったのかも疑問です。

★☆☆

■テヒョンの父親の出戻りyear10.12.29

ゲームアプリの中に、テヒョンの父親が出稼ぎから戻ったのは勤め先であるヨンジン建設の作業現場で起こった労災事故に巻き込まれたからであるという設定が登場します。

事故で怪我を負ったテヒョンの父親は、仕事が出来なくなったことに加え、会社が事実を揉み消して労災認定をせず、満足な補償がなされなかったことで酒に溺れるようになり、year10.12.29のNOTESのように家庭で暴力を振るうようになったという背景があるようです。

そしてそのヨンジン建設は、ソクジンの父親であるキム・チャンジュン議員と密接な関係があり、ソンジュの街の再開発事業を請け負う談合を行なっていた建設会社としてTHE NOTES 2にも登場しました。

ゲームアプリの中では、ソクジンが会社に代わって治療費を立て替えてあげたり、父親のコネを使って研修生として会社に潜入したソクジンが労災事故の証言をしたりするような めちゃくちゃな 展開もありました。

★☆☆

■プルコッ樹木園での誘拐事件year11.04.06

ジミンが目撃したプルコッ樹木園での誘拐事件の全容は、ジミンが自身のトラウマを克服するTHE NOTES 2のyear22.08.12に、見開きで5ページにも渡って詳細に描かれています。しかし、この事件の犯人についてはほとんど書かれておらず、現時点では逮捕されているのかどうかすら分かりません。

THE NOTES 1の巻末にはこの事件が報道された新聞の切り抜きが挿絵として使われていて、被害者である5歳の少年チェはジミンが事件を目撃した4日後のyear11.04.10にファヨン山の山中で発見され一命を取り留めていたことがわかります。

事件を目撃し泥まみれになりながら逃げ出した幼いジミンは、ショックからその記憶のほとんどを喪失してしまいますが、year20.09.15にホソクとの下校中にバスに乗るチェを見かけたことで全てを思い出して意識を失い、精神病院に入院した後も「何も覚えていない」と”嘘”を吐き続けることになります。

★★☆

■テヒョンの母親の行方year11.10.02

夫のDVに耐えかねたテヒョンの母親は、二人の子供を残して家を出て行きました。家を出た母親は幼いテヒョンが追ってくるのを振り返ることもせずに歩き続け、テヒョンは何かを悟ったように踵を返して一人で家へと戻りました。

そして現在のテヒョンと母親とのエピソードは、2つの異なる世界線の同じ日付、year22.07.24のジョングクの退院パーティの帰りに登場します。

THE NOTES 1には、匿名の女性がテヒョンの父親が暴れていると通報していたことを知って母親が尋ねて来たのではないかと直感したテヒョンが、姉から聞き出した母親の暮らす町へ向かう展開があります。この時、退院したばかりのジョングクもテヒョンを追って夜通し歩き続けますが、道中に喧嘩に巻き込まれたり、病み上がりのジョングクが心配になったりして、結局は母親に会うことを断念してソンジュへ戻ることになりました。

一方THE NOTES 2やyear22.07.24のNOTESでは、テヒョンが”魂の地図”を探す過程で叔父に母親の住所を手渡され、一人で母親の住むアパートを訪ねる展開があります。アパートの廊下でタバコを吸う女性を公園から眺めていたテヒョンは、その女性が母親の住む306号室に入るのを確認しますが、その扉を叩くことは出来ませんでした。

★☆☆

■ジョングクの父親の失踪year12.07.21

ジョングクが7歳の年、ジョングクの父親は「生きることが辛く、耐えられない」と言い残して失踪します。ジョングクの母親はそんな父親を軽蔑してすぐに新しい家庭を築きますが、そこにジョングクの居場所はありませんでした。

父親は毎年ジョングクにバースデーカードを贈っていて、ジョングクは父親が失踪した年にも淡い期待を抱きますが、誕生日を10日過ぎても届くことはなく完全に離別してしまったようです。

GRAPHIC LYRICS Vol.1 『A Supplementary Story : You Never Walk Alone』やyear21.05.02のNOTESには、家にも学校にも居場所のないジョングクが、河原やコンビニ、ネットカフェで一人憂鬱に過ごす様子が描かれていました。

幼いジョングクが「自分は父の生きる理由になることが出来なかった」のだと自分自身に猛烈な”無価値感”を抱くようになる原因となった父親の失踪ですが、その後言及されることはありません。

★☆☆

■ユンギの母親の死因year16.09.19

ユンギの母親の死因は「自宅の火災」であるとされていますが、その火災が過失によるものなのか故意に引き起こされたものなのかは明言されていません。そのため、事故、自殺、他殺全ての可能性が考えられる状況です。

year16.09.19のNOTESにあるように、燃え盛る炎を呆然と見つめ、姿の見えない母親を探す様子のなかったユンギの行動はあらゆる憶測を呼び、放送予定(ホンマか?)のドラマ『YOUTH』のジョングクの人物紹介にも「母親殺しの噂が立つユンギに対して偏見を持たずに接した」という驚きの設定がありました。

★☆☆

■ソクジンの父と校長year19.03.02

転校初日のyear19.03.02のNOTESで校長室に挨拶をしに行ったソクジンは、父親と校長から「何かあったら必ず私に報告しなさい。ソクジン君は良い生徒にならないと」と暗にこれから友人となる6人の悪事の密告を命じられていました。

”魂の地図”探しに奔走したTHE NOTES 2の後半で明らかになった、7人の母校の校長チョ・ジンミョンと国会議員であるソクジンの父親キム・チャンジュンの癒着関係の秘密は、彼らの学生時代にまで遡ります。

7人と同じソンジュチェイル高等学校の同窓で「学生時代は仲が悪かった」という二人は、チャンジュンの友人チェ・ギュホが失踪し、休学を経たチャンジュンが人が変わったように冷たくなったあと、それぞれの立場で街の権力者となり密に関わるようになります。

★★★

■7人の出会いyear19.03.02

7人の出会いは、遅刻をした罰として倉庫の教室の掃除をさせられたことでした。7人が初めて出会うこととなったこの日の出来事が描かれたGRAPHIC LYRICS Vol.1 『A Supplementary Story : You Never Walk Alone』では、7人それぞれが遅刻をした事情が明らかになっています。中でも印象的なのは、車で送迎されるソクジンが事故渋滞に巻き込まれ、止むを得ず車を降りて学校へ向かったというエピソードです。

そもそも、母方の親戚と共にアメリカで暮らしていたソクジンを、たった一年半だけわざわざ呼び戻して転入させたソクジンの父親の意図も不明確です。

6人とソクジンの出会いは本当に偶然だったのでしょうか。

★★☆

■海のリゾート開発year19.06.12

7人の【花様年華】である学生時代に授業をサボって遊びに行った海で、7人は”願いを叶える岩”を目指して歩き続けます。しかし、ようやく辿り着いたその岩はリゾート開発のために砕かれ、辺りには工事の音だけが響いていました。

何度も繰り返すyear22.05.22に7人は再び同じ海を訪れますが、今のところこの海がリゾート地になっている気配はありません。もしかして、ソンジュの再開発とも関係があったり… しないですかね?

★☆☆

■ソクジンの転校と帰国year20.07.17year22.02.01

ソクジンを突然ソンジュに呼び戻して転入させたソクジンの父親が、ユンギの退学事件のあとまた理由もなく突然アメリカへと転校させた不自然さも気になるところです。

そして、6人の身に次々と不幸な出来事が起こり始める直前にまた突然ソンジュに呼び戻された経緯は、ソクジンのyear22.02.01のNOTESに詳しい記載がありますが、「全てのことはすでに決定されていたのに、僕だけが知らなかったのかもしれないような気がした」という何気ない一文が、その後に起こるタイムリープやソクジンの父親の過去を知る読者の目には、とても意味深に映ります。

★★☆

テヒョンの飼い犬year20.10.07

『WINGS Short Film #3 STIGMA』では、白い子犬がテヒョンの元から離れていくことで自分と姉を見捨てた母親が表現されていますが、物語の中でもテヒョンが飼っている白い子犬トウフが、7人が離散しテヒョンがグラフィティに明け暮れるようになってすぐに行方不明になっていました。

トウフはyear20.06.07のNOTESでも一度迷子になりすぐにテヒョンの元へと戻っていますが、その4か月後のyear20.10.07に再び迷子になってしまったあと、見つかることはありませんでした。THE NOTES 1の巻末にはトウフを探すためにテヒョンが作った迷子犬の貼り紙が挿絵として記載されてます。

★☆☆

■ジョンフンの頼み事と転倒事故year21.12.09

ナムジュンが田舎の村でしていたバイク便のアルバイト先には、顔に傷をつくり、どこかテヒョンを彷彿とさせる青年ジョンフンがいました。

歩合制の仕事を競い合っていた二人でしたが、ジョンフンが「頼みがある」と声を掛けてきた日がありました。しかし、ナムジュンは話を聞く余裕もなく慌ただしく退勤し、その日の配達でジョンフンは事故を起こして命を落としてしまいます。この死亡事故は、ナムジュンが前日の配達で転んだ雪道に除草剤を撒き、その上に積もった落ち葉が原因の転倒事故で、本当ならナムジュンが行く予定の配達中に起きたものでした。

このエピソードは、テヒョンがナムジュンに頼ろうと声を掛けたときや二人が田舎の村を訪れた時の回想、コンテナ火災で生死を彷徨ったナムジュンが見た夢などに度々登場し、ナムジュンの心の蟠りであることが繰り返し表現されますが、ジョンフンの頼み事が何だったのかは分からず終いです。

★☆☆

■ナムジュンが田舎に残してきた家族year21.12.17

中学生の頃から大黒柱となって家族の生活を支えていたナムジュンでしたが、アルバイト先の死亡事故のあと、かつて父親に言われた「お前だけでも生きるんだ」という言葉を思い出し、両親と一つ年下の弟を置いて単身で上京してコンテナ街で暮らすようになります。

year22.05.22のNOTESからもわかるように、ナムジュンは無責任に疎遠になってしまったことすらも、まるで足枷のように感じていたようです。その後THE NOTES 2でテヒョンと一緒に田舎の村を訪れたナムジュンは、家族の暮らす家を高台から眺めて母親の姿を確認しますが、立ち寄ることはせずにソンジュの街へと戻ってしまいました。

ゲームアプリの中では、ソクジンがナムジュンの父親の治療費を肩代わりしようとして、不本意にナムジュンのプライドを傷付けてしまうという虚しすぎるエピソードも登場します。

★☆☆

■ユンギとジョングクの諍いyear22.04.07

学生時代から不思議と心を許し合っていたユンギとジョングクですが、ユンギが退学になった事件のあとから約2年間の疎遠な時期がありました。

year22.04.07のNOTESで楽器屋で偶然再会した二人は再び同じ時間を過ごすようになり、ジョングクはユンギの作業室の足繁く通うことになりますが、『'RUN' Official MV』を始めとするBU contentの中では二人が苦悩の表情で争う場面を度々目にします。

year20.06.25のNOTESに詳しく書かれているように、ユンギには母親を亡くした火災で焼け跡となった自宅から持ち出した焼け焦げたピアノの鍵盤を捨てたエピソードがありますが、結局ピアノへの未練を断ち切ることは出来ませんでした。作業室を訪ねてきたジョングクが無意識にその鍵盤の奏でる音ばかりを弾き、その音色がトリガーとなってユンギの不安定な心を刺激してしまっていたという設定があるようです。

★☆☆

■閉鎖病棟の入院患者year22.04.27

ホソクが橋で倒れて病院へ搬送されたとき、本来なら精神科の閉鎖病棟に入院していたはずのジミンと外科病棟で偶然同室になったのには理由があります。

閉鎖病棟に入院する患者の多くは、自分に精神疾患があることを受け入れることが出来ず「ここから出たい」と願う者ばかりでしたが、全てを諦めたジミンは日付や曜日も分からないほどの無気力になっていて、現実を受け止めきれずにパニックを起こす彼らに冷ややかな視線を送っていました

year22.04.27のこの日、いつもの様に「自分は狂っていない」と騒ぎ立てる男を横目に廊下を歩いていたジミンは、閉鎖病棟から脱走を試みていた別の入院患者と接触して転倒し「お前のせいで全てが台無しだ」と因縁を付けられて喧嘩になります。そしてその喧嘩がきっかけで一時的に閉鎖病棟から外科病棟へと病床を移すことになりますが、この閉鎖病棟の入院患者たちの中には、のちにTHE NOTES 2で重要な人物となるウ・ヒョンソンがいました。

★☆☆

■養護施設の先生year22.05.10

ホソクが橋の上で意識を失ったのは、ナルコレプシーの治療薬と称して服用していた睡眠薬を過剰に摂取したことが原因と推測されますが、そのきっかけはyear22.05.10のNOTESにある、養護施設の先生の大病を知ったことによるものでした。

この先生は、母親に置き去りにされたホソクが高校を卒業し独り立ちをするまで、絶えず母親代わりとなってそばにいてくれた人物です。

THE NOTES 2ではソンジュの街の再開発で立ち退きの危機に陥った養護施設のために、ホソクを始めとする施設の卒業生たちが抗議活動をする場面にも登場しますが、【花様年華】の物語で7人の取り巻く大人たちの中で唯一といっていいほどの優しさを持った人物なので、個人的に悲しい話にはして欲しくないなと思ってしまいます。

★☆☆

■ナルコレプシーで入院している子供year22.05.11

漫画版のみに登場する、ホソクとジミンが再会する外来病棟にナルコレプシーで入院している子供がいます。

特に深い意味はなさそうなんですが、噂によるとBTSと同じレーベルからデビューしているTXTさんのコンセプト?漫画?の登場人物の一人がこの子供と同じ病院着で入院している描写があるらしいですね。同グループのMVにもBU contentに登場するオッドアイの”猫”が出てくるとか来ないとか。詳しくは何も調べてませんが、気になる方は探してみてください。

★☆☆

■タイムリープの力を授ける”猫”year22.05.22

6人の身に様々な不幸な出来事が起き、ソクジンが1度目に辿り着いた海で出会った青と緑の目を持つ謎の”猫”の正体は、結局のところ何一つ明らかになっていません。

世界線の異なるyear22.05.22では、轢き逃げ事故に遭い昏迷状態で横たわるジョングクが同じ”猫”の「生きることは死ぬことよりもつらいのに、それでも生きたいのか?」という声を聞き、また別の世界線のyear22.05.22では、疲弊するソクジンにタイムリープを終わらせる方法を教えた代償に大切な【花様年華】の記憶を奪ってしまう 厄介な 重要なキャラクターです。

この”猫”がいる海は、前述したように”願いを叶える岩”がリゾート開発のために破壊されてしまったのと同じ場所です。ソクジンのタイムリープは、7人の不幸な現状を知ったソクジンが、この場所で「過去に戻ってやり直したい」と強く願ったことで始まったものでした。この開発によって破壊されてしまった”願いを叶える岩”願いを叶える”猫”、どこか関係があるように思えてなりません。

★★★

■テヒョンの飛び降りyear22.05.22

テヒョンが海の展望台から飛び降りたのは、ソクジンが本当の現実で起こった最悪のシナリオを全て塗り替えたと思った矢先の出来事でした。

テヒョンが展望台から飛び降りた理由について、現時点の【花様年華】の中でははっきりと記述されたものはありません。もしかすると、テヒョンはyear22.05.20以前に事件を起こしていたのかもしれないし、そうでなくても自ら命を断ちたいと思うような深刻な状況であったのだと考えられます。

【花様年華】の物語の前半では、テヒョンは自分の置かれた状況や抱える悩みを誰かに打ち明けて助けを求める行動をとることはありませんでした。そのため、海で楽しい時間を過ごしていた6人は、追い込まれたテヒョンの本当の想いに気付くことが出来ず、テヒョンは一人で極端な選択をしてしまいます。

★☆☆

■ジョングクの轢き逃げ事故year22.05.22

7人が海で再び離散してしまった帰り道、ジョングクは兄たちとは別の道を一人で歩いて轢き逃げ事故に遭います。この事故の犯人は最後まで特定されず、ジョングクは防犯カメラの映像や目撃証言、ソクジンの車に残った傷などの情報により、ソクジンが犯人なのではないかと疑いを持つようになりました。

防犯カメラに映る車は奇しくもソクジンの車に酷似し、車の傷はソクジン自身が海からの帰り道に対向車との接触を避けようとガードレールに車体を擦ってしまったときに残ったものであり、目撃証言はその傷の修理のために預けたカーセンサーの店長の思い違いによるものでしたが、ジョングクは知る由もありませんでした。

そしてジョングクはこの事故に遭ったあと、ソクジンが海で出会った”猫”と同じ青と緑の目を持つ”猫”の「生きることは死ぬことよりも苦しいのに、それでも生きたいのか?」という声を聞き、その後何度も悪夢に魘されるようになります。

6人の様々な不幸な出来事を修正してきたソクジンですが、このジョングクの事故は何度タイムリープを繰り返しても回避することが出来ません。【花様年華】の記憶を奪われたソクジンはこの事故をタイムリープとは関係のない誰にでも起こりうるものだったと判断し、この事故でジョングクが怪我をして例え命を落とすことになったとしても仕方がないことだと割り切るようになってしまいました。

★★★

■ソクジンの父親の書斎year22.06.04

ソクジンの父親の書斎には、激しい波に浮かぶ危険な筏の上で恐怖と欲望に溺れてお互いを殺し合う人々の様子が描かれた不気味な絵画(テオドール・ジェリコー作『メデューズ号の筏』)が掛けられ、その書斎から続くもう一つの〈奥の部屋〉と呼ばれる小部屋がありました。

ソクジンが幼い頃からこの書斎や〈奥の部屋〉に恐怖心を抱き、安易に足を踏み入れることがなかったという描写はyear22.06.04のNOTESに詳しく書かれ、THE NOTES 2ではこの書斎や〈奥の部屋〉から、ソクジンにとっての”魂の地図”を探す過程で重要になるソクジンの父親にとっての”魂の地図”の痕跡を見付ける展開があります。

★★☆

■ジョングクの幽体離脱year22.06.13

year22.05.22の轢き逃げ事故のあと、ジョングクは1週間もの間生死を彷徨って病院で目を覚ましますが、痛みで動けず6人に連絡を入れることが出来ませんでした。

year22.06.13のNOTESにあるように、宙に浮いて病室のベッドに横たわるもう一人の自分を見降ろしたかと思うと、次の瞬間またベッドに横たわって事故が起きた場面の夢を見て、再び目を覚ますと、宙に浮かぶ幻想のような自分とまた目が合う幽体離脱が起こります。もう一人の自分と視線が交差するたびに立場が逆転し、その速度は次第に速まってジョングクは吐き気に襲われました。

飛び起きたジョングクは「生きることが死ぬことよりも苦しいのに」という誰かの声を思い出し、この日を境に徐々に6人の兄たちへの疑心を募らせるようになります。非現実的な表現の多いNOTESですが、THE NOTES 2の最終頁に書かれる最大の未解決エピソードによく似た表現が多用されている興味深い内容です。

★★★

■コンテナ街にいる子供year22.06.15

物語の後半で登場したコンテナ街で一人で過ごす子供ソン・ウチャンの存在は、ナムジュンの運命を大きく左右するものになりました。year22.06.15のNOTESにもあるように、ウチャンには面倒を見てくれる大人がおらず、ナムジュンは自分の境遇と重ねて気に掛けるようになります。

最初に訪れたyear22.08.30で起こったタイムリープのあとの世界線では、再開発のための強制撤去によってナムジュンの暮らすコンテナ街が毎回火災に見舞われますが、ナムジュンはコンテナに取り残されたウチャンを助け出すために炎に飛び込み、ソクジンは何度もタイムリープに失敗します。

★☆☆

■アジトの落書きyear22.07.23

ユンギ、ナムジュン、ジミン、テヒョンの4人がそれぞれ手に入れた”魂の地図”の情報を元に辿り着いた倉庫の教室で見つけたソクジンの父親とその友人たちの名前、そして「全てはここから始まった」という落書きは、ソクジンが在学中のyear19.06.25のNOTESで見つけていたものと同じ落書きです。

year22.07.23のNOTESには、その友人たちが閉鎖病棟にいたり行方不明になっていたりする、とても良い境遇とは思えない人物たちであることが書かれていますが、その境遇はソクジンが修正する前の本当の現実で6人が置かれていた境遇と似ています。そして、”魂の地図”を探す過程で冷たい瞳を携えるようになってしまったソクジンもまた、ソクジンが幼い頃から追従してきた父親の姿によく似ていました

★★☆

■ソンホ財団と再開発会議year22.07.24

ソクジンの父親がソンジュの街の再開発事業を推し進める中で、ソクジンを積極的に関わらせようとしていたソンホ財団というソンジュの権力者が集まる奨学会があります。

このソンホ財団はソクジンの母方の祖父の遺産で設立され、ソクジンの父親や7人の母校の校長の他に、副市長や大学の学長、テヒョンの父親が勤めていたヨンジン建設の社長など錚々たる顔ぶれで、主力メンバーではないもののジミンの母親も会議に出席していたことがあるようです。

そしてTHE NOTES 2の終盤やゲームアプリの展開では、この奨学会がソンジュの街の再開発にまつわる汚職や談合の温床になっていたことがわかりました。

★★★

■ソクジンの父親の自叙伝year22.08.02

コンテナでジョングクの退院パーティをしたyear22.07.24は、ソンホ財団の重要な会議がある日でもあり、THE NOTES 1ではソクジンはこの会議に出席するためパーティへ出向くことが出来ませんでした。

しかし、year22.07.24のNOTESにあるように現時点での最後の世界線では「”魂の地図”について話そう」と誘われたソクジンが会議を欠席してジョングクの退院パーティに顔を出しています。ソクジンが帰宅すると自室に父親が執筆している自叙伝の原稿が置かれていましたが、ソクジンは原稿を読まずに放置し、数日後ふと捲れた目次のページに現れた”魂の地図”の言葉に目を奪われました。

”魂の地図”と題されたその章には、父親の高校時代の当たり障りのない話と共に〈あの時私が探していた地図は、本当の地図の形をしていなかった。私の失敗と成功、ミスと過ちの軌跡だったのだろう。あの時私は地図を探すのに失敗した。あの時の失敗を通じて私はまともな道に入った〉という文章が記されています。

★★☆

■タイムリープの追体験year22.08.11

【花様年華】の記憶を取り戻したソクジンは全てを打ち明けようと6人をコンテナへと呼び出し、家族の話や生い立ち、校長とのやり取りやユンギが退学になった日のこと、自分と父親が関わっている再開発計画の不正を世間に公表つもりであることを伝えたあと、本当の現実で6人に起きた不幸な出来事や”猫”と交わした契約、何度も何度もタイムリープをして繰り返し経験したこと、”魂の地図”の代償に失った幸せな記憶の話を淡々と語り続けました。

この時、ジョングク以外の5人にはソクジンが話し続ける嘘のような現実の話を、まるで自分が実際に経験したかのように感じる追体験が起き、ソクジンの選択や過ち、ソクジンが自分たちのために繰り返した気の遠くなるような時間、冷たくなった理由の全てを理解します。

しかし6人、特にソクジンに対して確信めいた疑いを抱いていたジョングクにはこの追体験が起こらず、父親の不正を暴くと言いながら、自分を轢いた自動車事故については話そうとしないソクジンに対して、心の中で嘘つきだと嘲笑し、人知れずコンテナを後にしました。

THE NOTES 2のホソクのNOTESには、5人がソクジンの記憶を追体験している間「まるでソンジュの街全体を巻き込む、激しい”砂嵐”が吹き荒れるような感覚を覚えた」と書かれています。この”砂嵐”はyear22.05.28のNOTESに登場するyear22.05.22の海での「突然吹き荒れた砂嵐」とも共通する表現があり、何かしら関係がありそうです。

★★☆

■再開発計画の中断year22.08.20

ナムジュンが記者室に投げ込んだ機密文書やソクジンの告発によって数々の不正が明るみに出たことで再開発計画は一時中断となり、不正に関わる関係者が次々に警察の聴取を受ける過程で、ソクジンの父親は世間から最も大きな非難を浴びることとなりました。

一方で再開発計画に前向きであった市民や、実の父親を告発したソクジンの行動をよく思わない人々も多く、ニュースサイトではソクジンの名前が検索ランキングの上位から消えることはありませんでした。

★★★

■補佐官の失踪year22.08.20

ソクジンが父親を告発してすぐに姿を消した補佐官ジュノは、政界入りしたばかりのチャンジュン議員の付き人となって苦楽を共にし、ソクジンも幼い頃からジュノおじさんと呼んで慕ってきた人物です。

しかしTHE NOTES 2での立ち回りを見ると、重要な決定が為されるはずの会議には席がなく扉の外で会議を盗み聞きしていたり、何度かのタイムリープではお金の為に問題を起こして逮捕されたりしていたこともあるようです。

ソンジュの街で「真の黒幕は補佐官なのではないか」という噂が流れ、ジュノが談合の中心人物だと報じた記事にはソクジンが暴いたものよりもさらに多額の不正資金が彼を通じて融通されたとも書かれますが、本人が行方を眩ましたことでその憶測は際限なく膨れ上がっていきました。

そしてソクジンは、誰かへの電話を掛けていた父親の「ヨンジン建設よりも先にジュノ補佐官を探し出さなければ」という言葉を耳にします。

★★★

■コンテナ街の火災year22.09.30

ソクジンが何度タイムリープを繰り返しても必ず起きてしまうyear22.09.30のコンテナ街の火災は、再開発計画の為の立ち退き指示に従わない占拠者たちを強制的に撤去するもので、秘密裏に交わされた「警察は再開発計画で暴力を行使することに介入しない」という機密文書が後ろ盾となっていました。

しかしyear22.08.25のNOTESにもあるように、現時点での最後のタイムリープが起きたあとの世界線では、本来ならばyear22.09.30に起きていたはずのコンテナの火災がyear22.08.25に起こっています

THE NOTES 2では機密文書の公開やソクジンの告発によって強制撤去が始まる前に再開発計画は中断されていますが、火災が起きる3日前、ナムジュンが酔った男に「お前が全てを台無しにした」と掴みかかられる事件がありました。火災の当日、現場に駆け付けたソクジンが立ち尽くすジュノの姿を目撃していることから、ナムジュンがソクジンを唆して不正の告発を誘導したと勘違いしたジュノがコンテナ街に火を付けた展開が予想できますが、その後のジュノについて記載のあるNOTESはありません。

★★★

■ソクジンの父親の”魂の地図”year22.09.30

初公判で自らの罪を認め、傍聴席にいるソクジンを振り返ったチャンジュンの表情は、ソクジンが見たことのない安らかでゆったりとしたもので、初めて見る表情でもソクジンにはこれが父親の本当の顔なのだと確信することが出来ました

ソクジンが帰宅すると、〈奥の部屋〉に父親の字で「僕の”魂の地図”を見つけた。全てが今ここで終わる」と書き足された、ソクジンが倉庫の教室で見つけた父親のノートがそのまま置かれていました。

ソクジンは自らの”魂の地図”を探し出す過程で父親の過去を知り、父親自身が”魂の地図”に辿り着く手助けをすることが出来ましたが、不幸な境遇に置き去りにされたままのチャンジュンの友人たちのその後については一切の記述がありません。個人的には、THE NOTES 2の世界線の異なるエピソードで何の脈略もなく二度も登場する、カーキ色のコートの男も気になります。

★★★

ジョングクのNOTESyearXX.XX.XX

???

★★★★★★★



今後の展開

わかりません。こればっかりは。わたしも知りたいです、すみません。

もしあるとすれば、前述した未解決エピソード★★★辺りの伏線を回収しつつ、何といってもジョングクの闇堕ちと最後のNOTESを説明してもらわないとスッキリしないかなぁと思います。

ここまで一緒に【花様年華】=BU contentを整理してきたみなさんはお気付きかと思いますが、この花様年華】というコンセプトは〈花樣年華〉-〈WINGS〉辺りのコンテンツにおいては、主にMVやコンセプトフォトの演出等のBTSメンバーの関与が薄い(決定権がなさそう?な)部分で展開されていました。なので当初BTSメンバーがどれくらい【花様年華】の筋書きを理解していたのかは正直謎です。

しかし、昨今の〈LOVE YOURSELF〉-〈MAP OF THE SOUL〉の時期では、アルバム自体のコンセプトや楽曲の歌詞等のBTSメンバーが直接関与しているであろう部分にも【花様年華】の世界観が色濃く投影されるようになっています。

Big Hit Entertainment(現HYBE)の天才たちが作り上げてきた【花様年華】の世界観と、BTSメンバーの表現したい想いが相まって、こんなにも深いメッセージを秘めた壮大な作品群へと成長しました。

そのため【花様年華】は最早それ単独の物語ではなく、もし続編があるとすれば、今後常にBTSの活動のテーマに関連して展開していくはずなので、世界規模での活動がメインになった今その辺りとの辻褄合わせが難しく、なかなか一筋縄でいかないのが現実なのでは… と冷静に考えています。

それにメンバーの発言内でも「花様年華=自分たちの若く美しかったあの時」みたいな文脈で使われるようになってますしね。つらいです。あともう単純にHYBEがBUの作り込みに飽きてそう。つらい。

BTSが再集結した2025年以降、何かが動くのか。ナムのリップサービスなのか。何一つ分かりませんが、The Most Beautiful Moment(最も美しい瞬間=花様年華)は『Yet To Come(まだこれから)』という言説を信じて、明日からも強く生きましょう。祈ります。



おわりに

冒頭でも申し上げましたが、ここまで全30編の記事に渡ってBTS【花様年華】の時系列整理・関連作品紹介にお付き合いいただきありがとうございます。

完全なる自己満で、自分自身の思考整理も兼ねてちまちま書き始めたnoteでしたが、気が付けば当初の想定を超える多くの方の目に留めていただき、驚いています。(当記事投稿時点での全体閲覧数:780,274…!🙄)

またTwitter(@aya_hyyh)で記事投稿のお知らせをすると、毎回熱烈なリプライやDMを送ってくださる方が沢山いて、本当に本当に嬉しかったですし、かなりモチベーションアップに直結してました!

特に、これまでに3つ投稿している関連作品紹介の記事は、「こういう記事を書いて欲しい!」と具体的なご要望をいただいて実現したもので、どれも沢山の方に読んでいただけたので、本当にありがたいご意見だったなぁと改めて嚙み締めております。


■当noteの今後について

当noteは元々BTS【花様年華】の時系列を整理することだけを目的として開設したので、今後(おそらく)更新はないかと思います。少し寂しいですが、またいつか公式から【花様年華】=BU contentの供給があったときにお会いしましょう


……とクールに幕を下ろしたかったんですが、普通に番外編的な記事を書き続ける予定です。すみません。この人ほんとに暇なんだなと暖かく見守ってください。

これまでの時系列整理・関連作品まとめはマガジンにまとめてますので、今後もし見返していただける方がいればそちらから見ていただくといいかなと思います。

〈時系列整理〉

〈関連作品まとめ〉

〈考察用資料まとめ〉


実現するかどうかはさておき、現時点で書いてみたいと思っているのは、

●アルバム封入版 花様年華 THE NOTES 和訳まとめ記事
 ⇒現在更新中です! 投稿しました! こちら
●Twitter投稿版 花様年華 THE NOTES 和訳まとめ記事
 ⇒アルバム封入版まとめ投稿後に公開します! 投稿しました! こちら
●時系列整理の年表だけを集約した記事
 ⇒すぐ出来そう。すぐやります。 投稿しました! こちら
●MVをコマ送りレベルで細かく見ていく記事
●BUクレジット外の関連(していると思われる)作品の紹介記事
●BTSのコンテンツに散らばる【花様年華】オマージュ要素を拾う記事
●今までに個別でいただいた質問をまとめたQ&A記事

(2023.04時点)

こんな感じです。

要は【花様年華】=BU contentの資料館的な、情報が詰まったnoteに育てていけたらなあと考えてます。

考察ブログを名乗るにはまだまだ思考が足りない思っているので、あくまでも情報整理のまとめとして、このnote自体が皆さまの【花様年華】考察に役立つツールになればと考えています。もし、これ以外にも「こんな記事も書いて欲しい~」というようなご意見があればDMください!


そして最後になりますが、これだけ大声で言わせてください。


花様年華 THE NOTES、いつか絶対に全員読んで欲しい!😢

HYBEに本をもっといっぱい刷って欲しい!!!!!!

※Weverse Shopにも取り扱いがあります。ただ、祈ってください。

そして「THE NOTESが手に入らないんよ~ㅠㅠ」と嘆いている方も、アルバム封入版NOTESTwitterに投稿された単発のNOTESLINEマンガBUのゲームアプリなどはどなたでも閲覧できます。

もしまだ一つでも見ていないものがあれば、まずは今すぐ手に取れるものからしっかり楽しまれてくださいね。


お付き合いいただき本当にありがとうございました。
これからも細々とよろしくお願いします。


2023.04.29 aya.

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〈次回〉

※更新はTwitter(@aya_hyyh)でもお知らせします。

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ありがとうございます💘