BTS【花様年華】③離れて過ごした時間
穏やかで幸せな【花様年華】の日々を過ごしていた7人は、ナムジュンの転校のあと、ある決定的な出来事を機に完全に離れ離れになります。
ある日、ソクジンは校長室に呼び出され、素行の悪い6人と連んでいることを父親に報告すると脅されます。その日学校では保護者参観が行われており、追い込まれたソクジンは、そんな日に授業をサボるはずがないと信じて誰もいないはずのアジトの存在を打ち明けてしまいます。
しかし、そんなソクジンの期待も虚しく、アジトには保護者参観をサボって、ピアノの弾いて過ごすユンギとジョングクがいました。
こうしてユンギは呆気なく退学になってしまいました。
どうしてアジトの存在が教師にバレたのか、その理由はソクジンしか知りません。ソクジンは誰にも真実を打ち明けることが出来ないまま夏休みを迎え、新学期を待たずに再びアメリカの学校へ転校することになります。
唯一の居場所であったアジトを失ったテヒョンは次第に学校へ来なくなり、グラフィティに没頭するようになります。
ホソクとジミンは相変わらず一緒に過ごしていましたが、ある日の下校中、ジミンがプルコッ樹木園行きのシャトルバスを見て発作を起こし、そのまま入院したことで疎遠になってしまうのです。
6人がアジトを去ってからも、ジョングクはひとりでアジトへ通い続けていました。今日誰も来なくても明日は来るかもしれない、そう思うだけでジョングクにとっては意味があることでした。
いつも明るく、気丈に振舞っているホソクでしたが、この頃から次第にある薬を服用するようになります。ホソクはナルコレプシーという突発的に制御できない睡魔に襲われる睡眠障害を患っており、このことは6人も知っていました。
表向きにはそのナルコレプシーの治療薬としていましたが、実際には、ナルコレプシーをわざと引き起こすため、正しい治療を怠って睡眠薬を服用していたのです。ホソクが抱える本当の病気は、周囲の関心や同情を引くために疾患を装うミュンヒハウゼン症候群という虚偽性障害で、このことはホソクが誰にも明かしていない秘密でした。
家族と共に田舎の村へ引っ越したナムジュンは、バイク便のアルバイトで生計を立てていました。アルバイト先には、ナムジュンよりも年下のテヒョンによく似たジョンフンという同僚がいて、ナムジュンは心の中で彼を”テヒョン”と呼び、歩合制の仕事を競い合うように配達をしていました。
雪の降る寒い冬の日、ナムジュンは率先して、時給の上がる悪天候での配達に出掛け、凍った雪道でスリップし転倒してしまいます。幸いにも軽い怪我だけで済んだナムジュンは、スリップした場所に除雪剤を撒きました。
その後、再び配達に出掛けようとするナムジュンに、ジョンフンが「頼みがある」と声を掛けますが、ちょうどそのタイミングでナムジュンの携帯が鳴り、父親が怪我をしたという連絡が入ります。ナムジュンはジョンフンの頼みを聞かず、配達を彼に任せて仕事を切り上げました。ジョンフンはそのまま配達へ出掛け、転倒事故で亡くなります。
翌日、ジョンフンが亡くなったことを知ったナムジュンが事故の現場を見に行くと、そこは直前にナムジュンがスリップし転倒した場所でした。野次馬の噂話から、本当に危ないのは雪道ではなく、溶けずに残った除雪剤の上に積もった落ち葉を踏むことだと知り、ジョンフンの転倒事故の原因が自分であったことに気が付きます。
ジョンフンが出掛けた配達は、本当ならナムジュンが行く予定のものでした。もしかしたら死んでいたのは自分だったかもしれない、自分が事故の原因を作ったにも関わらず、そう安堵する気持ちが沸いてしまったことに強い罪悪感を覚えます。
途方に暮れるナムジュンは、いつの日か病院の帰りに父親が言った「ナムジュン、お前だけでも生きるんだ」という言葉を思い出し、今まで家族のためだけに生きてきた自分を変えてひとりで生き延びていくことを決心します。
ナムジュンはバスに乗ってソンジュの街へ戻り、線路沿いのコンテナで生活をするようになります。
アメリカで穏やかに暮らしていたソクジンは、突然父親に呼び戻されて帰国します。
ホソクは高校卒業と同時に養護施設を出て、学生時代に7人でよく訪れたツースターバーガーというファーストフード店でアルバイトをしながらひとりで暮らしていました。たまに見かけていたジョングクも来なくなり、7人が完全に疎遠になってから良いことが何もないと感じる毎日でしたが、あれこれと考えて落ち込むよりも、無理にでも明るく作り笑いをして、大きな声で接客をしている時の方がいくらか気が楽でした。
グラフィティに明け暮れ、警察の世話になることも多かったテヒョンは、ガソリンスタンドの壁にグラフィティをしているところを社長に見られて殴られてしまいます。
血の味を感じながら地面に転がっていると、誰かの手がスプレー缶を取り上げるのが見え、顔を上げると、そこには笑いながら手を差し伸べるナムジュンがいました。テヒョンはその手を掴むことが出来ずにいましたが、ナムジュンの温かい手に抱き起されます。
ナムジュンとテヒョンが再会した約1週間後、酒を飲んでふらふらとソンジュの街を歩いていたユンギは、ふと聞き覚えのあるピアノの音に足を止めます。それはかつてユンギが作曲し、アジトで弾いていた旋律でした。音に誘われて辿り着いた楽器屋のピアノの横に、寂し気な後ろ姿がありました。
その後ろ姿が誰であるか、何年会っていなくてもユンギには一目でわかりました。自分と一緒に過ごすことでまた彼を傷付けてしまう、そんな一瞬の葛藤とは裏腹にユンギはゆっくりと歩いて近付き、間違えた音を指摘します。
驚いたように顔を上げたのはジョングクでした。
その日から、ユンギとジョングクはまた一緒の時間を過ごすようになります。退学以降荒れた生活を送っていたユンギは、精神的に不安定な状態で、度々ジョングクに辛く当たりますが、ジョングクはその苦悩を受け止め、根気よくユンギを支えます。
そして7人は、のちにソクジンのタイムリープの起点となるyear22.04.11を迎えます。
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次回の記事では、次第に再会していく7人に訪れる本当の現実と、ソクジンがタイムリープを始めるきっかけとなる出来事までを整理します。
〈次回〉
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