ランドセルの色と多様性
午前6:30。
NHKのニュースを見ながら朝食を取っていると、子供たちの「ありがとうございます」という声が聞こえてきた。ある市では、保護者の経済的負担を減らすために、毎年、新1年生にランドセルをプレゼントしているらしい。画面に映る子供たちはみんな笑顔でランドセルの入った大きな箱を受け取っている。その嬉しそうな顔と小さな体で大きな箱を抱えている姿を見ていると、朝からとても心が温かくなった。それと同時に「色は?ランドセルの色はどうなっている?」という、鋭利な疑問が飛び出してくる。
「色は子供たちが選んだものだということです」
朗らかなアナウンサーの声に、私の心も柔らかくほどけた。
私が小学生の頃は、女の子は赤、男の子は黒というのが当たり前だった。その当時であれば、このニュースを伝える際に、あえて「色は子供たちが選んだものだということです」とは付け加えなかったと思う。それは、色に言及しなくても、ランドセルの色はそれぞれ決まっているからだ。あえて、色は選べると伝えたところに、昨今の多様性を受け入れる社会の在り方が表れているように思う。まだまだ未熟な部分もあるが、着実に一歩ずつ、多様性を受け入れる社会に近づいているのではないだろうか。
そして、いつかまた、同じようなニュースを伝える時に、ランドセルの色に言及しない時代がやってくる。それは、色が決まっているからではない。自由に選べるのが当たり前だからだ。そのような社会を目指して、今日も私はこっそりと自分の責務を全うする。