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「言語化力」にはインプットとアウトプットの両方が必要ー『読む・聞く、まとめる、言葉にする』

Peatix Japan株式会社でテクニカルライターとして働いているNakatsukaです。

ライター職に就いていると、「どうしたら良い文章が書けるようになりますか?」と尋ねられる機会が多いです。

この質問を掘り下げていくと、大半の方が「良い文章が書ける=アウトプット能力が長けている」という印象を持たれているように感じます。

しかし、私は以前から、良い文章を書いたり上手く話したりする「アウトプットスキル」には、”読むことや聞くこと”といった「インプットスキル」も大いに影響しているだろうと考えていました。


そんな中、「”読む・聞く・整理する・言語化する”スキルを1冊にまとめた本」と出会い、まさに自分が興味を持っていた領域だ!と感じ、手に取りました。

この記事では、書籍の概要とともに、本書を通じて私が印象に残ったポイントを、具体的なエピソードとともにお話します!


書籍の概要

『読む・聞く、まとめる、言葉にする』
 
松尾美里|フォレスト出版


著者は株式会社フライヤーの編集者/ゼネラルマネジャーの松尾美里さん

「flier(フライヤー)」は、1冊10分で読めるビジネス書の要約サービスとして有名ですよね。


これまでの850冊に及ぶ本の要約や、約570人へのインタビュー経験に基づき、本書では文章を「どう書くか」ではなく、「読む」、「聞く」、「まとめる」、そして「言葉にする」というスキルを1セットで考えることを提唱。

冒頭でこのセットスキルのメリットを説いた上で、「インプット・メモ・まとめ・言語化」という4つの習慣のコツを、詳しい説明とともに紹介しています。


印象に残ったポイント

言語化上手はコミュニケーション上手

本書において、言語化が上手い人は「自分が聞いて体験したものを、頭の中で熟成させながら整理し、言葉にする機会を多く持っている」、つまり質の良いインプットとアウトプットを習慣にしていると述べられています。

自分の言葉を生み出すことが得意な人は、語彙や文法関連の書籍をひたすら読むだけではなく、様々な経験を通じて多くの人とコミュニケーションを取る中で考えたり感じたりしたことを、自分なりにまとめて言葉にする頻度が高い、ということでしょう。


<言語化の鬼・お笑い芸人>
お笑い芸人さんの言語化力って凄まじいと思いませんか?

以前、漫才作家で吉本興行NSC講師である本多正識さんの『1秒で答えをつくる力』という本を読みましたが、芸人養成所であるNSCではかなり緻密な言語化のトレーニングを行っているそうです。


私は、プロデューサー・佐久間宣行さんのNOBROCK TVの「100ボケ100ツッコミチャレンジ」が好きで、よく視聴しています。

これは、お笑いコンビがゲストを迎え、ニセ番組の打ち合わせ中にボケ&ツッコミを100回決めるまでの時間を競うタイムトライアル企画です。

先日、M-1グランプリ2023王者の令和ロマンさんの回を見た際、笑うのを通り越して、2人の言語化力の高さに驚きました。

ただコンビの2人が掛け合うだけではなく、ゲストとの自然な会話を交えながら、あらゆるジャンルの知識を使ってボケとツッコミを繰り返す姿は、昔から様々な分野の物事や人に触れ、インプットとアウトプットを積み重ねてきた結果なのだろうなと感服しました。


もちろん芸人さんたちには天性の才能もあると思いますが、私たちも人とのコミュニケーションを通じてインプットとアウトプットの機会を多く持てば、言語化力を向上させていくことができるでしょう。


制限こそが良いアウトプットのカギ

本書では文章などのアウトプットを生むうえで、目的やテーマなど、何かしらの「制限」がある方がクオリティが上がると述べられています。

1. 字数を制限してフォーマット化する

文章を書く時、「字数」と「フォーマット」が決まっていると、書き手は形式と分量を定めやすく、読み手も事前に型を知ることで内容を理解しやすい、といった双方にとってのメリットが生まれるそうです。

私は普段、仕事で使っているビジネスチャットはなるべく型化し、端的に伝えることを意識しています。

また、本業で執筆している自社サービスの記事も、予め決まった字数とフォーマットに則って構成していくことで、スムーズな制作を実現しています。

ちょうど先日、noteで専門分野の情報発信をされている方から「構成面で試行錯誤している」というお悩みをうかがい、フォーマットを決めると書きやすくなるのではないか、とアドバイスさせていただきました。

実際にご紹介した記事フォーマット例
▼導入
 ↓
▼テーマの提示
 ↓
▼テーマに関連した、その専門分野における概念の紹介
 ↓
▼自分の経験を踏まえた例
 ↓
▼まとめ

2. 時間にも制限をかける

さらに本書では、文章には正解がないため、執筆の「時間」に制限をかけることの重要性も説いています。

私も専任ライターを始めた頃は、クオリティを求め過ぎて執筆にかなりの時間をかけていました。

しかし、結局その記事の良し悪しを評価するのは自分ではなく読者であり、その結果はPVという数字や感想という言葉として現れます。


記事を書く場合、1記事を書くのに時間がかかり過ぎると、次の記事に取り掛かるまでに少し期間を空けたくなりますよね(私自身がそうです)。

noteさんは、「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」というミッションを掲げられていますが、クリエイターにとっては書き続けていくことこそが難しい課題でしょう。


ブックデザイナー・習慣家の井上新八さんは、『続ける思考』の中で、物事を続けるための「仕組み化」の重要性を述べられていますが、記事執筆に時間制限を設けるように仕組み化すれば、無理なく続けられそうかなと感じました。


3. 時間短縮のためにAIを活用しよう

ChatGPTを始めとした生成AIの進化が止まらない今日この頃ですが、記事執筆におけるAIの使用にためらいを感じている方はいらっしゃいませんか?

最近、私は本業の記事執筆のアイディア整理などで、AIを壁打ち相手として大いに活用しています。

AIの特性上、記事を全て書いてもらうには適しませんが、構成を考えたり、書き上げた後の校正を行ったりする場面では非常に役立ちます。

先日参加したライティング講座の中では、AIを「よきアシスタント」として活用することを勧めていました。

ぜひ執筆時間を短縮してアウトプットを習慣化するために、AIを活用してみましょう。


多様な物事や人との出会いを通じて言葉を育てる

本書では、インプットしたものをアウトプットする”橋渡し役”となる「語彙力」アップの方法として、様々な作品に触れたり、多様なバックグラウンドを持つ人たちと話したりすることを紹介しています。

確かに、新しい物事や人と出会うと、そこで使われている聞き慣れない表現を学べたり、自分の中で新たに生まれた感情から言葉を得られたりしますよね。

私自身、社会人になってからも、なるべく読書や映画鑑賞、そして新たなコミュニティへの参加を通じて、常に自分の視野を広げることを心がけています。


最近心を動かされた作品は、娘が失踪してしまった母親とその周りの人々を描いた、石原さとみさん主演の『ミッシング』という映画です。

この作品を観て、人はどれだけ他者に共感したり寄り添ったりできても、当事者の真の思いや痛みを理解するのは難しいということを、ひしひしと感じました。


仕事や家事・育児などで忙しい場合、読書や映画鑑賞と比べ、新しい人と出会う機会を持つことは少しハードルが高いですよね。

ピーティックスならば、様々なジャンルのイベントやコミュニティを簡単に検索して、オフラインだけでなくオンラインでも気軽に参加してコミュニケーションを取ることができます。

ぜひ新たな仲間たちとの出会いの場としてご活用ください!


まとめ

アウトプットにおける時間制限の重要性に触れておきながら、この記事を書くために引用した本や動画を見返していたら、かなり時間を使っていました。笑

また近いうちに新しい記事を書けるよう、頑張ります!

ここでピックアップした内容以外にも、”読む・聞く・整理する・言語化する”という4つのスキル習得に関するヒントがたくさん詰まった1冊ですので、ぜひ読んでみてください。



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