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エッセイ集

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日常で感じたことをつらつらと語っているもの
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彼氏の胃袋を掴むな

彼氏の胃袋を掴むな

「彼氏の胃袋を掴んだ!タルタルチキン南蛮レシピを紹介します❤︎」

 InstagramやTikTokで突如として流れるレシピ動画は毎度こんな感じで始まるが、“彼氏の胃袋を掴む”という枕詞を聞くたびに、世の女の子たちはずいぶんと献身的なんだなと他人事のように思ったりする。こういうときは下から上へと指を勢いよく滑らせることでなんとかやり過ごそうとするけれど、イヤホンの向こう側から聞こえてきた女の子の

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流行りって、なんだろうね

流行りって、なんだろうね

Twitterで、ある言葉と出会った。

しまった、また人生の解像度上がっちゃったな、と。

本気でそう思った。

追いかければ追いかけるほど、どこかで本質を見失って。過ぎ去るのを待てば待つほどに、鮮明に映ってしまう。

それが流行だよなって。最近感じる。

人生には"流行"がある、とつくづく思うのです。
6歳、ランドセルを買う。18歳、制服を脱ぎ捨てる。21歳、スーツを着る。といった感じに。この

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受け入れてやるものか

受け入れてやるものか

でっかい夢を持っている自分が好きだった。

叶いっこないと周りが諦めていく中、馬鹿みたいに子供な私は、がむしゃらに夢にしがみついていた。

そんな童心を忘れない自分が、好きだった。

秋風に吹かれながら哀愁が深まっていく、10月。

私は残りわずかな21歳を過ごしている。

子供であることと童心を抱くことは、全く別種である。

世の中にいる、年を取っただけの人間の多くは、童心を忘れないという言葉を

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成長という名の、後退

成長という名の、後退

人と話しをする。
その日常的な行為が、昔はとても苦手だった。

自分に対する自信など、これっぽっちも持ち合わせていなかった頃。私は人との適切な距離感が分からなくて、近づきすぎては後悔し、遠すぎては疎外感を感じる日々を過ごしていた。きれいな言葉を栄養にして育ってきた人間ではなかったから、自分の口から紡ぎ出される言葉が誰かを傷つけてしまうことに恐怖心を抱いていたのだと思う。

そんなかつての自分には、

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