藝泊レポートVol.5「テーマ発表」
2021年1月12日、藝泊の第五弾を開催しました。
<藝泊とは>
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される昨今、観光業そのものが大きな業態変換を迫られる中、[未知]の作り方を研究し社会実装するAX ULTRA LABが、観光の主軸の体験である宿泊体験にフォーカスし、新たな価値創出を行うプロジェクト。
プロジェクトの舞台は日本の観光の中核都市・京都。
京都芸術大学と、京都のブティックホテルHOTEL SHE, KYOTOと連携し、リサーチや提言に止まらない、「宿泊のアート体験」の社会実装を行います。AX ULTRA LABのコンセプトである産・学・藝の垣根を超え、宿泊のAX(Art Experience ™)を創出していきます。
前回は、学生の皆さんを交えた公開討論会を実施。
「身体」「ファッション」「食」「物語」「記憶」の5チームのアイデアを、HOTEL SHE, KYOTOでの実現可能性も踏まえた上で吟味し、5つだったアイデアを2~3つに絞り込むことを目的としていました。
前回の内容はコチラ。
しかし、時間内に絞り込みの完了ができなかったため、今回の第五弾の前にラボメンバーで様々な観点を踏まえた絞り込みを実施。
今回は学生の皆さんに対し、絞り込んだテーマの共有と、実装に向けて必要となるワークを行いました。
■ラボメンバーが絞り込んだテーマ、フレームワークを学生の皆さんに共有
まずは、学生さんへテーマの共有。
ラボメンバーでそれぞれのチームの最終アウトプットを確認しましたが、前提として、今回絞ったテーマも含め、そのまま使うレベルには全く至らない状況です。
ただ、今回決めたテーマとラボメンバーが定めたフレームを軸とし、学生の皆さんの知見やパターンを応用できれば、企画としてベストな形になるのではないかと結論づけました。
そのテーマは「食」。
AXを実現するためのフレームワークは、「五感のどれかを抑制する」と指定しました。
感覚を抑制することにより、味覚・食感・音などを更に研ぎ澄ましたものにすることで、未知の体験の創出を目指します。
また、フレームワークに対し、学生の皆さんに2つのアプローチ案を例示しました。
まず一つ目は「音」。
世の中ではASMRが流行中ですが、食事中の照明を落とすことで、今食べているものの音や食感にフォーカスすることで、真新しい体験ができるのではないかという提案です。
谷崎潤一郎による随筆「陰翳礼讃」にも、ろうそく1本のみの部屋で味噌汁を食した際に、全く違う味がしたとの記録があります。
二つ目は「オーブ(orb)」。
直訳すれば”球”という意味合いですが、見た目の差をなくすというアプローチです。
例えば、形状が同じ、視覚からは違いが全く分からない食べ物があったとします。しかし、食べてみたら味覚も食感も音も何もかも違う。
そういった体験をうまく応用すれば、未知性のある体験が作り出せるのではないかと考えました。
また、そのフレームワークを起点とし、外部のフードクリエイターを起用します。
アイデアを食の体験に落とし込んだ後、現状、実際に提供する料理にできるメンバーがいないため、新たに募集するフードクリエイターの方と協同して開発を進めていきます。
もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、下記より、ぜひお気軽にお問い合わせください。
■HOTEL SHE, KYOTOへの実装に向け、グループワークで準備を進める
発表の後は、チームに分かれてのグループワークを実施。
今までのアイデア創出とは打って変わって、いよいよ実現に向けた準備を進めていきます。
今回は、チームのミッション内容の説明も含め、それぞれ下記のワークを担当。
<チーム分けと役割>
a. 食のコラボレーター探し
- ミッション:食について一緒にメニューを開発できる、お店や個人を探す
- ワーク内容:京都に縁がある、企画と相性の良いコラボレーターの洗い出し
b. 企画事例リサーチ
- ミッション:視覚または五感を抑制する食の事例を探す
- ワーク内容:興味深い食体験を洗い出し、工夫ポイント、価格帯等をリサーチ
c. クラファン事例リサーチ
- ミッション:クラウドファンディングを企画、広報と資金と顧客獲得を達成
- ワーク内容:食・宿泊にまつわる事例を洗い出し、成功ポイントを掴む
d. プロトテスト
- ミッション:テストのためのプロトタイプを作り、ユーザーインタビューを行う
- 今回のワーク内容:プロトテストの目的から逆算して、質問を設計・対象のリクルーティング
短い時間でしたが、どのチームも高い集中力でアウトプットを出していきます。
チームごとのミッションに向けた動きは、次回以降も引き続き行う予定です。
引き続き、本noteにて上記「藝泊」の取り組みに関して発信していきます。
“[未知]のつくり方」を研究し、社会実装する”というとてつもなく難易度の高いテーマですが、試行錯誤しながらもアジャイル的アプローチで、「未知をつくる」を実現していきます。
今後の取り組みに、ぜひご期待ください。
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