狂人にアイラを

酒を飲むことが好きである。
酒は人の心を丸裸にし、美女をも丸裸にする。
法的に認められた最高の快楽だと言っても良いと思う。

一番好きなお酒はなんですか？と聞かれることがよくある。
そんな時私は、アイラモルトをストレートで飲むことだと答える。

アイラモルトとは、
イギリスとスコットランドの間にある、
アイラ島で製造されるウイスキーである。
アイラ島はウイスキーの聖地と呼ばれる島であり、
いつかイッてみたい土地の一つである。

アイラモルトの特徴は、正露丸のような強烈な薬品の香りだ。
人によっては海藻のような匂いがすると言われるこの香りだが、
当然のように好き嫌いが分かれる。

まるでウイスキーが飲む人を選んでいるかのようなアイラモルトだが、
酒好きの墓場としても知られている。
香りを嗅いだだけで嫌悪感を感じてしまう人が多いのだが、
その香りに魅了されたセンクスのような狂人は、
そこから抜け出すことができなくなると言われている。
センクス自身がその証人であり、バーに行けば必ずアイラを飲む。
ベッドサイドにも常にアイラを常備し、眠る前などに飲む。
完全に虜なのである。

アイラの話をすると、
人間みたいなウイスキーだと感じることがある。
ものすごく癖が強いが、
それにハマってしまったらその癖は強力な魅力となり、
その魅力に強烈に魅了されてしまう。
そんな人っていないだろうか。

八方美人よりもアイラモルトのような人間でいたいと思いつつも、
その思想がセンクスとアイラモルトを引き寄せているようにも思う。

アイラがセンクスを狂人にするのか、
センクスがアイラを狂人としているのか、
それはちょっとわからないが、
アイラという名のアイラモルトのような美女がいたとしたら、
それはもう全てを捨てて彼女のアイラを味わうことだろう。