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好きになる人は、決まって同じタイプの人でした。 〜『勉強の哲学』を読んで知った、過去の自分について〜

恋愛において好きになる人がどうも同じようなタイプの人だったり、以前好きだった人と似たような人をまた好きになってしまう。

そんな話をネットで見かけたり、友人との会話に上がることが学生の頃から時々ありました。

わたしはその度に「ふ〜ん、そうなんだ」と感じる程度で、あまり深く考えたことはありませんでした。

ですが今、過去の自分はどうもそれに当てはまるんじゃないかなと思います。

そう感じたきっかけは、千葉雅也さんの『勉強の哲学』を読んだことでした。

社会人になっても勉強を続けたい、教養や語学力をもっと身に着けたいと思い手にしたのですが、そうした「勉強したい」と思う自分を根本から見つめ直すきっかけとなった本です。



本書の後半部分には、勉強する事柄をどう探せば良いのか、実践的に見つけていく方法が綴られています。
これまで歩んできた人生の中で、何を好きになり、何をおもしろいと感じ、どんなことに熱中していたかについて掘り下げていく方法です。

そして、その時々の自分が熱中し好きだったこと(享楽)の共通点こそが勉強の糸口となります。

わたしはその方法に従い、早速パソコンのメモ機能で思い浮かぶ通りにつらつらと、昔の記憶を打ち出していきました。
すると、過去に自分が熱中していた物事を辿ると同時に、当時夢中で好きだった人の思い出も芋づる式に掘り起こされていきました。

高校時代に好きだった人、大学時代に好きだった人ーー
その好きだった人の共通点はなんだろうと考えた時、それは「わたしの悩みを一緒に考えてくれる、論理的で賢い人」なんじゃないか、という結論に至りました。

そこで、今回は共通点から見えてきたこと、本を読んでから変わったことについて書いてみたいと思います。

1,自分に自信がなかった学生時代

高校時代は世界史が好きで、世界史の先生は大学受験の悩みも親身に聞いてくれる優しい先生でした。
テストも点数が良ければ思いっきり褒めてくれました。
それが嬉しくて、先生に認められたくて勉強を頑張っていました。
そして、何か心配や悩み事があればまず先生に相談していました。

大学に入ると生活環境はがらりと変わり、周りの同級生や先輩が優秀な人ばかりで、わたしは勉強についていくことに必死でした。

英語系のサークルに入りましたが、メンバーには海外生活の経験がある人も多く、受験英語しか経験のないわたしはスタート地点で既に遅れを取っている実感がありました。

周りの人と自分を比べ、自分に自信がなく、劣等感を抱いていました。

こんな自分をどうにかしたい。
だけど、高校の先生のように何でも悩みを打ち明けられる人もいない。

そんな時に、何でも話せて、自分の悩みを打ち明けた時に「それってこういうことじゃない?」「こんな本を読んでみたら」と優しく論理的にアドバイスをくれる人がカッコよく見えて、決まって好きになりました。

自分と同じ目線で、自分とは違う頭で、客観的に自分の悩みを聞いてくれる。

それが何より心強かったのだと思います。
心の穴や漠然とした不安を埋めてくれる存在でした。

その後一番長い間お付き合いした人は、やはり自分の悩みを一番聞いてくれて、論理的で色んな引き出しがあって、自分より多くの本を読んでいる人でした。
語学も長けていて、語学の勉強方法をたくさん教えてくれました。

彼は本当にステキな人で、お互い仲も良かったですし、今もとても感謝しています。

ですが、彼が優秀なあまり、自分もそんな彼の存在に見合う人間でなければいけない、彼に好かれる自分でいなければいけない、という意識が自分の中に非常に強くありました。

2,パートナーが好きな「自分」を演じていた自分

彼を頼りにし、何かあったらまず彼に相談していると、もし彼が自分の前からいなくなってしまった時、同時にそれまでの自分も姿を消すことになるのではないか。
自分一人では、何も上手くいかないのではないか。

付き合っていた当時、そうした不安がいつも頭の片隅にありました。

そのため、彼に嫌われたくないという思いから、いつのまにか無意識のうちに自分の考えや趣味嗜好を彼に合わせていました。
(もちろん誰に強制されたわけでもなく、自分が勝手にそうしていたのですが 汗。)

例えば、料理を作る際はまず彼が好きなメニューを選び、どんなレシピで作るか、どの食材を使うかも、彼の好みをまず優先していました。
彼が好きなものをたくさん作って上達し、喜んで欲しかったからです。

ネットのニュースを見た時でさえも「彼ならどう考えるだろう、どんな意見を言うだろう」と思い浮かべて、彼目線で自分の意見を考えていました。
彼はテレビが嫌いだったので、一人暮らしのわたしの部屋にはテレビは置かず、一人の時も見ることはありませんでした。

まさに大黒摩季さんの名曲『あなただけ見つめてる』の女の子のような感じです。怖い怖い。

その他ここには書ききれない細かい部分も、行動も意識も考えも「自分」を押し殺し、無理をしてでもまずは「彼」の意見に合わせていました。

ですが、我慢はいつか限界がやってきます。

無理をしてでも彼に合わせ我慢をした結果、自分でも分からないまま機嫌が悪くなったり、精神的に容量オーバーになって、彼に当たったこともありました。
ささいな事が引き金になって、もう無理、と泣き出したこともあります。
ほんと、彼にとっては迷惑な話ですね…。


3,本を読んでから変わったこと

『勉強の哲学』を読んだことがきっかけで、そうした過去の自分を自ら分析することができました。

また、自らを分析するということは、自分が置かれている環境を客観的に違う立場からメタ的に捉えるということでもあります。

仕事や家族との関係から日本社会まで、今自分が置かれている環境、そこから発生する悩み事を第三者的立場で見つめ、解決策を自ら考える意識が芽生えました。


それからというもの、日々の生活で嫌だなと感じることがあったり悩み事や疑問が浮かんだ時、一時的に落ち込んだりイラッとする感情が浮かんだとしても、自分で自分を違う立場から捉え、分析できるようになった気がします。

それは同時に、今まで自分がパートナーに求めていた「悩みを聞いてほしい、一緒に解決策を考えて欲しい」という欲望を自分自身で消化し、自分で解決できるようになったということかな、と思います。

これからは、何か悩み事があったらすぐ誰かに相談し答えを仰ぐのではなく、一度自分の頭で考えてみて、勉強が必要であれば本を読んで知識を深めて考えていけば良い。

悩みこそが、勉強のスタートとなる。
自分が本当に勉強したいことは自分自身で深めていけば良いんだ。

それは、わたしにとって雷に打たれたような衝撃的発見でした。

ご著者の千葉さんには、感謝してもしきれません。


『勉強の哲学』は今置かれた現状に満足していない人にとって、解決のヒントがたくさん詰まった本だと思います。

そして、本書の最後にはこんな一文があります。

勉強を進めるうちに、友が必要となってくるでしょう。友は、教師よりも必要な存在です。
ノリの悪い友と、キモい友と、語りたくなる。


わたしも、これからも勉強を続け、この本を読んで同じように勉強を進めている方といつかどこかで語り合えたらステキだなぁと思います。

ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。

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