目指せ、24件目の世界遺産~沖縄がまたアツくなる~
皆様こんにちは。
本田拓郎(Takuro Honda)と申します。
この記事へお越しくださいまして、
ありがとうございます。
このnoteでは、今現在観光業に就いている私が、私の目線で、「観光・旅行・歴史・文化・教育」について、知識や新たな発見の提供、その他自論を展開し、「勉強になった!」や「こんな考え方もできるなぁ」という、古代ギリシャでいう、「アゴラ」のような場所を目指します。
私が勉強していることを皆様とも一緒に学ぶというスタイルで、記事を創っていきます。
さて、今回のテーマは、日本の観光産業に大きく貢献している、「沖縄」です。この自粛期間が収束したら、沖縄へ旅行したいという声が、街中から聞こえているような気がします。そんな沖縄の新たな価値について、お話していきたいと思います。
拙い文章力と乏しい考察力ではありますが、
よろしくお願いいたします。
1. 激動の沖縄と今
「沖縄」って聞いたら、皆様は何を思い浮かべるでしょうか。美ら海水族館、首里城、ソーキそば、紅芋タルト等、有名な観光名所や、独特な食文化が頭に浮かぶ方が多いのでは。だって沖縄の観光業の中心を担うのは、独自発達した文化や歴史なんだから。年間およそ570万人(国内外計/沖縄県観光統計課より)が沖縄県を訪れています。
メディアにおいて、沖縄を「九州地方」として紹介してる番組や記事を目にしますが、福岡出身かつ、元歴史学者の私からすると「大間違い」。「九州地方」は福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島の旧国名が合わせて9つあるから「九州」です。「四国地方」と定義は一緒。じゃあ沖縄は?ってなると思います。沖縄は「沖縄地方」だと思うんです。だって歴史的に見て、とっても重要な「国」でしたからね。
沖縄はもともと「琉球王国」として、日本だけでなく、中国(当時は明や清)など近隣の国々との中継貿易で栄えた、立派な国家でした。その影響で、今でもかなり国際色豊かな伝統や文化が残っています。「王国」だったので、もちろん王様がいました。尚氏一族が有名ですね。でも各地に有力な豪族もいて、その人たちもお城を持っていました。沖縄ではお城のことを「グスク」と呼び、立派な石垣がある遺跡が南北に残っています。主なグスクは、政治の中心であった首里城と共に、2000年に世界文化遺産に登録されました。
もう一つ、沖縄を知る上で絶対に外せないのは、第二次世界大戦です。1945年にアメリカ軍が沖縄に上陸し、沖縄戦が始まります。『さとうきび畑の唄』は、沖縄戦を描いた作品としてとても有名ですね。終戦後沖縄は1972年まで、アメリカの占領下にあり、現在も沖縄県中部にはアメリカ軍基地が残っています。その付近は「美浜アメリカンヴィレッジ」を中心に、かなりウェスタンな雰囲気で、また違うカラーがうかがえます。戦争史は怖いし暗いから、勉強するのが嫌いな人が多いですが、絶対に目を背けてはいけません。これからの世界を創っていく上でとても重要です。沖縄も平和の象徴として、世界的価値があると思います。
そして、現代の沖縄の魅力といえば、ビーチリゾートとしての沖縄ですよねぇ。美しい自然が残り、本島の恩納村エリアはもちろん、宮古島や石垣島など、島嶼部にも美しいビーチや豪華なリゾートホテルが建ち、訪れた全ての人を癒してくれます。私は大学の卒業旅行で一度だけ訪れましたが、ワールドクラスの海の美しさに感動しました。日本が誇る最強のリゾート県であることは自明の理。自粛期間が終われば、羽を伸ばして、美しいビーチで、日ごろの喧騒を忘れ、ゆっくりしてみませんか?
2. 世界に知らしめろ!新たな価値
前述の通り、沖縄には本州、北海道、四国、九州と一線を画した、美しい自然と、独特の生態系が残っています。これこそ、これから沖縄が世界に発信する新たな価値です。
2019年の1月、日本政府は、『奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島』を、2020年の世界遺産委員会における、自然遺産登録の推薦書を提出しました。しかし、昨今の情勢の影響で、委員会が開かれるのかどうか、そもそもIUCN(世界自然遺産の登録調査を行う国際組織)が、調査が出来ているのかどうかも不透明な状態。ということで、ここで私が詳細をちょこっとだけ紹介します。
世界遺産委員会にかけられるのは、鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県のやんばる国立公園と西表石垣国立公園の特別保護地区の4か所となります。この地域は日本で唯一の亜熱帯気候に属し、年間を通して温暖で多湿な地域です。そのため固有種が多く、生物多様性が世界に認められそうです。今回登録を目指すエリアは、日本の国土の0.5%に満たないにも関わらず、日本の陸生脊椎動物のおよそ57%が生息し、その内日本の固有種は44%!!!!!世界でも類を見ない高い割合を示し、狭い範囲ながらも豊かな生物多様性を示しています。
沖縄本島にあるやんばる国立公園では、名前にもあるヤンバルクイナや、オキナワトゲネズミといった固有種が、西表石垣国立公園では、耳にしたことがある人も多い、特別天然記念物イリオモテヤマネコが生息しており、ここでしか会えない動物がいっぱいいます!「東洋のガラパゴス」と言いたいところですが、この名前は先に世界自然遺産に登録された小笠原諸島のものなので、残念ながら。。。でも、それに匹敵する豊かさを有しているので、世界遺産目指して頑張れ!!!
3. 沖縄旅行は容易でなくなる?
世界遺産に登録されると、国家単位、国家間での管理が必要になります。これは何を意味するかというと、観光としての旅行が難しくなる可能性があるということです。「え?京都とかめっちゃ観光客来てんじゃん!」って人もいると思います。ではここで、文化遺産と自然遺産の決定的な違いを日本の世界遺産、世界各国の世界遺産を例に挙げて考えてみましょう。
先ほど、京都の名前を出したので、文化遺産は『古都京都の文化財』を例に挙げてみましょう。創建当時の姿を残し、書院造が特徴の慈照寺銀閣が、何等かが原因で破損したとしましょう。絶対そんなこと許しませんけどね。こうなると銀閣だけ世界遺産から外れるのでしょうか。修復したら建てられ当時と異なるから除外されるのでしょうか。答えは否です。文化遺産には『ヴェネツィア憲章』という、記念物や建造物などの保存や修復に関する憲章が適用されます。ヴェネツィア憲章では、「修復の時は、建設当時の工法、素材を尊重すること」と定められています。つまり、修復に際して、今までの文化を尊重し、世界遺産としての完全性を保つことが出来れば良いということです。昨年焼失したパリのノートルダム大聖堂はどうでしょうか?これに基づいて修復しているから、世界遺産から除外されてないですよね。同じく昨年焼失した首里城の正殿は?これも同じです。
しかし、自然遺産はそう簡単にはいきません。例えば北海道の『知床』は、世界自然遺産登録に伴う、観光客増加を懸念し、エコツーリズムを推進しています。エコツーリズムとは、自然環境と観光の持続可能な開発と保全性を考慮する旅行のことです。つまり、世界遺産の登録エリアに大量の観光客が訪れると、環境破壊が懸念され、世界遺産としての価値を失い、世界遺産から除外されるのを防ぐために、この取り組みをしています。エクアドルの世界自然遺産『ガラパゴス諸島』は、世界初の世界遺産12件のうちの1つですが、訪れる観光客増加に伴う環境破壊によって、除外の警告とも取れる「危機遺産リスト」に登録された時期がありました。今ではこの危機を脱しましたが、その方法はもちろん、観光客の入島制限と出入島の徹底した管理です。自然遺産にはヴェネツィア憲章のようなものがなく、一度破壊されたら修復にかかる時間が長いことがわかりますね。沖縄のそれも可能性があるということを頭に入れておいてほしいです。
さらに世界遺産に登録されると、登録される核心地帯(コア・エリア)だけでなく、その周辺の緩衝地帯(バッファー・ゾーン)も厳しく管理する必要があります。日本ではすでに、国立公園内の開発は禁じられています。日本ってめっちゃ温泉湧くのに、地熱発電所が全然ないのはこれが影響しているから。ただ世界遺産になるとさらにその周辺地域までの徹底した管理が必要になります。だから新しいリゾートホテルが建てられなくなるかもしれないし、アクテビティが制限されるかもしれません。
4. 「楽しい旅行」は「考える旅行」
今まで書いてきたことを読み返してみると、「何アツくなってんだよ」って思って、めっちゃ恥ずかしいですが、これからの世界を考えるにあたって、とっても大事なことだと思ってます。
旅行って、大人数で行ったり、大好きな人と行ったり、めっちゃ楽しいですよね!でも、自分だけ楽しかったら良いのか。訪問先は旅行者を受け入れくれるホストだから、リスペクトしなければいけないと思います。楽しむのは大いに結構です。だって楽しくなかったら旅行じゃないから。でも、ふとした行動が大切な文化財を傷つけてたら?ちょっとした行動が環境を破壊してたら?そうなったら責任は旅行者にあります。もし皆様がその立場になってしまったら、取り返せますか?旅行をする前に、その土地についてしっかりと調べて、勉強して、文化や自然に触れる、そうするともっと旅行って感動的なものになると思うんです。多分この記事の読者は、私と旅行するとめっちゃめんどいだろうなって思ってるでしょう。私もそう思ってます笑 それでもいつも一緒に旅行してくれる彼女には感謝の気持ちしかないです。
自粛期間が終わって旅行できるってなったら、私も真っ先に沖縄に行きたいです。沖縄でしか感じられない、見られない、経験できないことをたくさんしたいと思ってます。そして今年、沖縄が日本で24件目の世界遺産になると信じています。文化でも自然でも価値を世界に認められる場所はそうないです。そうなったら皆様も、沖縄を応援しに、沖縄へ旅行に行きましょう!
頑張れ沖縄!!!
ほんとはもっと書きたいけど、テーマと反れるから我慢します。
長くなりましたが、
今回も最後まで読んでくださいまして、誠にありがとうございます。
Ciao...
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