僕はずっと、
夢を見ていたような気がする。
そして、ずっと夢を見ていたかった。
人生で初めて本気で恋をした。こんなに相手のことを愛したことはなかったと思う。
夢みたいな時間だった。
冗談を交えたチャット。電話でも笑わせようと頑張って話した。会ってイチャイチャするのも最高の時間だった。
それだけで十分だった。誰にも邪魔されない2人だけの時間が一生続けばよかった。
明日も楽しく過ごそうねって、明日も一緒にいようねって、今を重視したい自分とは対照的に、あなたはもっと遠く離れた未来を見ていた。
2人の距離を隔てる、薄いような、厚いような壁。
「あぁ、無理なんだ。」
そもそもの価値観が、生きてきた世界が違いすぎる。
お互いがお互いを何も変えられなかった。
言い換えれば、「お互いがお互いのために、自身を変える価値を見出せなかった」ということ。
どれだけ頑張ろうが、他人を根本からは変えることができないことは分かっていた。自分自身、人に指摘されたことを、容易に改善ないことも知っていた。
また、無意識に期待してしまった。
盲目。
悪いところなんて何も見えなくなるほどのいい夢だった。
あなたの悪いところなんて見たくなかった。
そう、こんな夢、見なければよかった。
と自分に言い聞かせる。
気付いた時には、涙が溢れていた。
嫌いになんてなれない。なれるわけがない。
確かに僕はあなたを愛し、
あなたは僕を愛したんだから。
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