#あの夏に乾杯
グリーンカーテンの裏側【短編小説】
「朝乃ちゃーん、これ。西日対策にどうかなぁ」
仕事帰り、黄色いロングスカートを揺らしながら帰宅した夕花が買ってきたのは、小さなゴーヤの苗だった。
10年前に大学の同級生だったわたしと夕花は、半年くらい前から、築50年近い郊外の借家に二人で住み始めた。大通りから細い坂道を上がったところの、猫の額ほどの庭がある平屋。昔の良さを活かした薄緑のタイルの洗面所が、二人してとても気に入って借りたのだ。
「朝乃ちゃーん、これ。西日対策にどうかなぁ」
仕事帰り、黄色いロングスカートを揺らしながら帰宅した夕花が買ってきたのは、小さなゴーヤの苗だった。
10年前に大学の同級生だったわたしと夕花は、半年くらい前から、築50年近い郊外の借家に二人で住み始めた。大通りから細い坂道を上がったところの、猫の額ほどの庭がある平屋。昔の良さを活かした薄緑のタイルの洗面所が、二人してとても気に入って借りたのだ。