外食の海外進出~味を現地に合わせるか?そのままか?~
日経電子版の記事【なごやめし、世界へ あえて味「そのまま」で勝負 ナゴヤの名企業 新戦国時代 第3部 外食(1)】は、改めて外食産業の海外進出について考えさせてくれます――味を現地に合わせるのか?そのままがいいのか?――。
記事では、海外進出時の味戦略について、「そのまま派」と「現地化派」の両方の事例が挙げられています――
▶海外進出時の味戦略
(1)「そのまま派」の例
① エスワイフードの居酒屋「世界の山ちゃん」
・・・鶏の仕入れ・加工を工夫し、食感・味を日本で食べるのと
変わらなくする。
② サガミHDの和食店「サガミ」
・・・日本の職人が打ったそば。
(2)「現地化派」の例
① 吉野家HD
・・・中国で豚の角煮を使った丼などを開発する。
② トリドールHDの「丸亀製麺」
・・・香港の米粉麺会社を買収し現地のニーズに合わせる。
そして、「そのまま派」の戦略の根拠としては――
▶「そのまま派」の戦略の根拠
(1)訪日客の増加で日本の味を知る外国人が増え、本場の味の認知度が
高まっている。
(2)スパイスを使った料理が多い東南アジアには、濃厚な味の「なごや
めし」が受け入れられる素地がある。
(3)品質の良い商品をお手頃価格で届ける「満足感」で勝負することで
浸透を図る。
「そのまま」戦略には、それなりの説得力がありますが、一般論としてはリスキーな感も否めません。外食産業に限らずプロダクト(モノ・サービス)の原則は顧客に寄り添うことであるとするなら、ある地域で定着しているプロダクトを、文化も習慣も異なる現地に「そのまま」持ち込むことは、現地の顧客のニーズに沿ったものとはならないリスクをはらんでいる、と考えられます。
そもそも、食文化というのは、異国(地域)の食が入ってきた時に、その食と自国(地域)の食との融合からイノベーションが生まれることで進化してきたのではないでしょうか。
もちろん「そのまま」戦略が大当たりする可能性もありますが、現地の食に精通した現地の企業が、日本食と現地食の結合からイノベーションを起こして、全く新しい食のスタイルを打ち出してくるリスクは否定できないかも知れません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?