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アフターコロナでオフィスは無くなる?それとも広くなる?~問い直されるオフィスのあり方~

 日経電子版の記事【米ツイッター、在宅勤務を無期に オフィス不要論に拍車】では、「(記事より)米ツイッターは12日、世界で働く約5100人の全社員を対象に、期限を設けずに在宅勤務を認める方針を明らかにした」と報じています。オフィス不要論、そして、不要論への懐疑論と、アフターコロナへ向けてオフィスのあり方が問い直されそうです。



 この記事で最も印象深いくだりは、オフィス不要論どころか、その反対に、ソーシャルディスタンスの観点から、必要なオフィスの面積はむしろ広くなる、との指摘かも知れません。

 ――確かに一理ありますが、いかに広くしても、それだけでは、多人数が集まる「密集」に変わりなく、「密閉」・「密接」のリスクにも繋がりそうです。

 ――逆に、オフィスは、多数の仕切り、ブースで区分されるようなデザインになるのか?

 ――はたまた、フリーアドレス型のオフィスは、接触感染の恐れから歓迎されなくなるのか?

 ――・・・・・・



 様々なイメージが頭の中を去来しますが、そもそも、オフィスにはどのような形態があるのか、そして、そのメリットとデメリットは、改めて簡単に整理してみると――

▶オフィスの形態

(1)自社の施設として(賃貸を含む)

  ①『集中型』・・・広域を統括する大規模な本社‐支社のシステム。
   (メリット)●リアルに対面できるコト。
   (デメリット)●感染リスク。
          ●通勤のための交通費。
          ●業容拡大に伴う拡張・移転コスト。
          ●社屋建築費・賃料負担など。
          ●地域住民との摩擦。

  ②『分散型』・・・いわゆる都市型・郊外型・地方型などのサテライト
         オフィス

   (メリット)●通勤時間の短縮。
         ●通勤費の圧縮。
         ●ワークライフバランス
         ●地域・地方に根差したビジネスの展開。
         ●テレワークの拠点として。
   (デメリット)●社員が多カ所に分散した中での円滑な
           コミュニケーションをどうするか?
          ●情報漏洩等のリスクにどう対処するか
           (セキュリティー対策)。

  ③『小さな本社』・・・他の様々なオフィス形態と組み合わせ、高度に
          クラウド化された管理機能等で小さな本社を実現。
   (メリット)●様々な経費の節減、など。
   (デメリット)●本社と現場の乖離、など。

(2)他社、外部の施設を使う・・・様々なテレワーク施設・シェア
          オフィス・ホテル・喫茶店など。
   (メリット)●サテライトオフィスと同様のメリットが考えられる。
         ●オープンイノベーションのポテンシャルがある。
         ●常設ではなく必要な時だけ。
   (デメリット)●サテライトオフィス以上のセキュリティー対策が。

(3)自宅で・・・いわゆる在宅型、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)
  
  ①『専用設備アリ』・・・専用の部屋、通信環境等が整っている場合。
   (メリット)●ワークライフバランス。
         ●通勤時間・交通費がなくなる。
         ●感染リスクの低減。
   (デメリット)●コミュニケーション・セキュリティー上の問題。

  ②『専用設備が不十分』・・・居間の一角で臨時にテレワーク、など。
   (デメリット)●家事・子育てと仕事の両立。
          ●どうしても周囲が気になる(集中力)。
          ●他の家族もテレワークだとどうなる?

 こうしてみると、自社施設・他社施設・在宅と、様々なオフィス形態にはどれも一長一短があり、一直線にオフィス不要論というよりは、懐疑論の方に分がある、もっと言うなら、個々の企業の特性に応じて様々なオフィス形態を使い分け、使いこなすバランス感覚が重要ではないか、と思われてきます。



 そして、上記のような様々なメリット‐デメリットから見えてくるのは、オフィスには、互いにトレードオフ、二律背反の関係にある3つの要素がありそうだという事です。

▶オフィスの3大要素

             『生産性
     (社員が能力を発揮しやすい・モチベーション・
      ダイバシティ・オープンイノベーションなど)
           /      \
         /          \
       /              \
     /                  \
  『安全性』ーーーーーーーーーーーーーーー『経済性
(セキュリティー・           (通勤経費・家賃・
 感染対策など)           建築費・固定資産税など)  

 

〔註〕架空の企業でシュミレーションしてみる
   ① ゲーム開発企業A社・・・超高精細な4K対応ゲームを100人規模の
    チームの緊密な連携で何年もかけて開発する。高度な機密性が要求
    される現場でもある。海外人材活用のため、国外に拠点が。感染
    リスク等のイベントリスクに備え、テレワークにも対応できる。

   オフィス形態・・・・・・生産性・・・・・・安全性・・・・・・経済性
     集中型     ◎     ◎     △
     分散型     ×      ×
    小さな本社               ×                   ×
      外部施設      ×     ×
     在宅型        △                  △     〇

   ② オンライン外国語教室B社・・・現地に暮らすネイティブが教師
    であることがポイント、魅力の外国語教室。高度でセキュアな
    オンライン講義(マンツーマン・個別指導)のシステムを構築して
    いる。

   オフィス形態・・・・・・生産性・・・・・・安全性・・・・・・経済性
     集中型     ×          
     分散型     ×
    小さな本社         ◎     〇        ◎                       
      外部施設    △      
     在宅型        ◎                 〇     ◎    



 社員がそのポテンシャルを最大限発揮できるオフィスのあり方、デザインとはどのようなものなのか、その生産性を安全性や経済性とのバランスの中から見極めてオフィスに投資する必要がありそうです。




(付記:2020年5月19日、皆様のおかげをもちまして、noteへの連続投稿が500日を達成できましたことに、改めてお礼を申し上げます。下記の拙稿で振り返りをしています。




連続投稿505日目。
 当ページにご来訪いただき、ありがとうございました!

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