進化する組織と停滞する組織
日経電子版の記事【京都で大学経営 日本電産・永守会長「教育に風穴開ける」】は、「(記事より)批判だけでなく、自分で大学を経営してみよう」という永守氏の、ある意味痛快な教育批判です。
さっそく、記事を参考に、それら指摘事項、日本の大学の問題点を整理してみると――
▶日本の大学の問題点
(1)「(記事より)大学の偏差値と入社後の仕事ぶりには何の関係も
ない」
⇨ 偏差値と仕事のポテンシャルは無関係。だったら、偏差値とは何
なのか?大学とは何なのか?
(2)「(記事より)昔は一流大学には本当に頭の良い人が入っていた。
最近は小学生の頃から塾に通い、暗記とテクニックで入るから最上位層
以外は普通の大学と変わらない」
⇨ 本当の優秀さと受験テクニックは別物。優秀さを量れない今の受験
制度とは何なのか?
(3)「(記事より)一芸に秀でた人材、尖った人材が必要なのに、
センター試験のような愚かな制度で若者を振り分ける」
⇨ 一番大切な尖った人材を見い出せない試験とは何なのか?
(4)「(記事より)企業は市場が必要と思うものを作らないと誰も買って
くれないから、一生懸命新製品を出す。ところが大学は、いつまで
たっても旧態依然だ」
⇨ 進化しない大学とは何なのか?
(5)「(記事より)授業を見て驚いた。学生の半分は寝ていて、残りは
スマホで遊ぶか私語。私も授業を聞いたら、ものの10分で寝た」
⇨ 何の情熱もない形骸化した授業とは何なのか?
(6)「(記事より)AI人材もモーター技術者も足りないのに、大学にある
のは昔ながらの機械工学とか電気工学ばかり」
⇨ 今の時代に即した学部、総合的な知識を学べない大学とは何なの
か?
(7)「(記事より)文科省は前例がないと言う」
⇨ 前例に縛られていたら進化できるはずがない。
(8)「(記事より)今の学校教育は教えるだけで、人を育てていない」
⇨ 教えて終わりでは何の進歩もない。人として育たなくては。
本来、大学とは、日々変化し続ける世界で羽ばたく人材を育てる場であるはずです。そのような育てる価値によって、大学というブランドは測られるべきものなのかも知れません。
ところが実態はどうか(もちろん全部が全部ではありません)、ブランドには『名前』と『実質』があって、今の大学には『名前』はあれども『実質』が伴っていないのではないか?
▶『大学』というブランド
ブ ラ ン ド
⇩ ⇩
名前 実質
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テクニックだけ 本当の優秀さ
| |
光らない人材 尖った人材
| |
前例というぬるま湯に浸かって 変化に対応し
時代から遊離し停滞している。 進化し続ける。
こうしてみると、この記事で論じられる大学の事例は、広く世の中の組織、ブランドの『名前』に胡坐をかいて『停滞する組織』と、ブランドの『実質』を追求して『進化する組織』の分かれ目、分岐点を教えてくれているようです。
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