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千葉ロッテに学ぶサービスのデザイン

 日経電子版の記事【熱狂呼ぶ千葉ロッテ エンジニア流ファンの作り方】は、「12球団屈指の熱狂的な応援を受ける球団」千葉ロッテの仕掛けに迫った好リポートだと思います。



 そもそも、スポーツ観戦というサービスは、相手チームもあり、勝ち負けもあって、勝敗という事だけにこだわるなら、サービスの質を維持するのがきわめて困難な、ムラのあるサービスという事になってしまいます。しかも、それじゃあ勝ちっ放しの常勝チームであれば良いかと言うと、それではスポーツ、勝負事の醍醐味がまったくなくなってしまいます

 スポーツ観戦というサービスは、単なる勝敗を超えたドラマであり、日頃の選手たちの修練に始まって試合の駆け引きに至る全てのプロセスのドキュメントなのであって、ファンである顧客は、観戦から一歩踏み込んで、交流会や応援などを通してそのプロセスに参戦することで、より深い体験を得ることが出来るのです。

 その事を、球団の立場から見事に言い表したのが、この記事で最も印象深いくだりである、バレンタイン元監督の次の言葉ではないでしょうか――

(記事より)
「優勝するチームでも10回試合すれば4回は負ける。そこで我々が何もしなければお客さんは4割の確率で悲しい気持ちでスタジアムを後にする。それがプロの仕事と言えるか?私は10回中10回とも、ファンを楽しませたい」



 この言葉の精神を体現した「ファンは26番目の選手」という考え方は、『他人ゴト』のスポーツ観戦を『自分ゴト』のスポーツ参戦に昇華させ、ファンの体験価値を向上させる卓越した発想、卓越したUXデザインであると思います。千葉ロッテのあり方は、サービスのデザインというものを考える際の、またとないお手本ではないでしょうか。



#COMEMO #NIKKEI

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