環境活動の高まりと現実
日経電子版の記事【世界の省エネ息切れ 効率改善率、3年連続で低下】は、「(記事より)国際エネルギー機関(IEA)によると、2018年のエネルギー効率の改善率は前年比1.2%にとどまった。改善率は3年連続で低下し、10年以降で最も小さい」という衝撃の現実をリポートしています。
グレタ・トゥーンベリさんをはじめ、世界各地で今までになく環境活動が活発化している、そんな思いを抱いていた中での衝撃の現実です。データのタイムラグ(ずれ)があるとは言え、環境活動の高まりと反比例するように、現実のエネルギー効率の改善率が落ち続けている、というのです。
まず、記事から、エネルギー効率の悪化要因と改善要因を整理してみると――
▶エネルギー効率の悪化要因と改善要因
(1)悪化要因
① 米国が、18年0.8%の悪化に転じる。
② シェールオイル・ガス増産により、エネルギー多消費型の石油化学
工業が拡大。
③ トランプ政権が「パリ協定」からの離脱を表明。
④ 中国・インドの改善率の悪化。
⑤ 中国で、粗鋼生産などエネルギー効率の悪い重厚長大型産業に
おける余剰生産能力削減への取り組みが緩んでいるか。
⑥ インドで、電力需要増大に追いつけず、石炭の発電量が18年5%
増えた。
⑦ 欧州で、自動車排ガス不正問題の影響でディーゼル車からガソリン
車への乗り換えが進む。
⑧ 日本の改善率は0.5%どまり。
⑨ 地球規模でみると、消費者に大きな家や車を好む傾向が。
⑩ 米フォード・モーターが北米でセダン系の販売をやめるなど、
大型車シフトが進む。
⑪ エネルギー効率改善への投資額が、足元で14年からほぼ横ばい。
⑫ 再生可能エネルギー・原子力など脱炭素関連投資が伸び悩み。
など
(2)改善要因
① インドで、再生可能エネルギー発電量が18年は前年比12%増。
② エコカー・LEDなどの省エネ機器の普及拡大。
など
改善要因は他にも多々あるはずですが、残念ながら記事には取り上げられておらず、総体的なエネルギー効率の改善率悪化が際立っています。
――19年もこの傾向が続いているのか?
――変化の兆しはあるのか?
――そして今年は?
今、私達人類は、地球温暖化など気候変動への危機感の本気度を試されている、最後の分岐点に立っているのかも知れません。この先にはもう分岐点は存在せず、今が地球環境を守り抜くラストチャンスの時かも知れないのです。
もし、その危機感が各国政府・企業・民間を通してうわべだけの希薄なものであるならば、再生可能エネルギーや省エネなどを社会に実装するベクトルが微弱となってしまっても、何ら不思議はありません。
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