『共感の消費』と『憧憬の消費』~SNSの共感で掘り起こす消費~
日経電子版の記事【ティックトック、ユーチューバーより早く稼げる?】は、「(記事より)ほかのSNSよりも早く、時に数日で数十万のフォロワーを持つ売れっ子になることも可能」というTikTokの台頭をリポートしたものです。
このようなTikTokの最大かつ最も卓越した特徴は、何と言っても「(記事より)独自のAIアルゴリズムによる「おすすめ」機能により、フォロワーを抱えない一般の投稿が爆発的に人気になり、数日で数十万のフォロワーを獲得することも」ある点でしょう。
『フォロワー数に関係なく面白い投稿が発掘される』という事は、①フォロワー数・知名度という一種のバイアスによって閲覧が偏ることなく、②埋もれていた知られざるインパクトのある投稿が、③私達の身近から飛び出してくるという事で、そこに大きな『共感』の生まれる秘密がある、と考えられます。
この消費者の身近にある『共感』が、マーケティングの大きな武器になることは間違いありません。
そもそも、私達の消費というものを考えた時、その消費者心理のデフォルトな状態は『無頓着』であると思われます。――例えば「歯磨き」を買おうとすると、無数のアイテムが売場に並んでいますが、特にこだわりもなく適当にそのうちの一つを手に取ってしまう状態です。
この状態を『無頓着の消費』とするなら、その次のステップは、親が使っていた、たまたまテレビCMで見たなど様々な要因でいつの間にか形成される『習慣の消費』である、と考えられます。――その特定の「歯磨き」アイテムにある程度のこだわりはあるものの、その実習慣的に買っているに過ぎない……
企業は、この心理状態にある消費者にマーケティングを仕掛け、『習慣』を打破して自社商品を買ってもらおうとする訳ですが、そこで、『憧憬』という心理を使うか、『共感』という心理を使うかに分かれるのではないでしょうか。
――『憧憬』という心理を使う場合は、例えば、ホワイトニング効果や歯周病予防などに抜群の効果のある多機能で、4桁クラス以上の高額な「歯磨き」を、有名タレントを起用して印象的にアピールする。
――『共感』という心理を使う場合は、例えば、特定のこだわりに特化した、一般的なものより少しだけ高額な「歯磨き」を、どこにでもいる消費者目線で、日常の生活シーンの中でアピールする。
▶『消費者心理』のステージ
『無頓着の消費』
⇩
『習慣の消費』
⇩ ⇩
『共感の消費』 ⇩
(日常的な商品など ) ⇩
『憧憬の消費』
(ラグジュアリーな商品など)
フォロワー数というバイアスからフリーな、日常シーンに根差した消費者目線の力強い『共感』を喚起しうるSNSの力で、『共感の消費』を掘り起こしていく施策には、もちろんステマ的なものをしっかりと排除する事を前提に、大きなポテンシャルがありそうです。
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