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デジタルトランスフォーメーションで最も大切なこと~まだないサービスを求めて~

 日経電子版の記事【そのAIは誰のため? 「顧客主義」の真価問われる】は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める時に一番大切なことは何なのか、もう一度原点に立ち返ることを教えてくれているように思います。


 記事で指摘されているのは、DXが文字通り『中身のない器』になってしまう危険です。DXは、『企業が顧客のニーズを吸い上げサービスの質を磨く』ための効率的なシステムの構築が本来の目的のはずです。つまり、『企業が顧客のニーズを吸い上げサービスの質を磨く』ためにデジタル、ITの力を借りる訳です。本来は手段に過ぎない『デジタル』が目的となって、本来の目的である『顧客のニーズ』がおろそかにされていないでしょうか?

 ――デジタルにこだわり過ぎることは危険な落とし穴だと思います。何故なら、『顧客のニーズ』はリアルな生活・仕事の場に存在するアナログなものだからです。『顧客のニーズ』を吸い上げるには、デジタルの力を借りつつも、実生活・現場に根差したアナログな感性が不可欠なはずです。


 消費の対象がモノからコトへと比重を移していく、商品(モノ・サービス)に『今までにない全く新しい価値』が求められる、現在進行形の第4次産業革命の時代に、最終的な商品のユーザーの体験=UX(ユーザーエクスペリエンス)を見極め(最大化)、価値創出(イノベーション)を達成することは喫緊の課題です。

 この『今までにない全く新しい価値』、イノベーションのアイデアの出発点となる、顧客の抱える(社会・生活などの)課題、『顧客のニーズ』は、どうやって発見すればいいのでしょうか?

▶『顧客のニーズ』を発見するには・・・
① 自分自身の抱えている課題を掘り下げる
② 顧客の抱えているであろう課題を想像(イメージ)する。
③ 顧客から顧客の抱えている課題を『間接的に収集』する。
 (SNSなど多様な情報から、課題を吸い上げる)
④ 顧客から顧客の抱えている課題を『直接的に収集』する。
 (顧客に直接聞き取り調査する)
⑤ 顧客自身が気付いていない課題=潜在的なニーズを掘り起こす。

 ――他にもあるかも知れませんが、『顧客のニーズ』とは概ね上記のようにして見い出されてくるものと考えられます。『顧客のニーズ』は、必ずしも顧客を起点とした『カスタマードリブン』な手法だけで獲得できるものではなく、『自分ドリブン』な発想が多くの人の共感を得る可能性もあり、さらには、『顧客自身が気付いていない課題』だってあり得る訳です。


 このように見てくると、『顧客のニーズ』の発見に、デジタルな手法とアナログな手法、デジタルな解析とアナログな発想が車の両輪である事は明らかです。もちろん、アナログな発想が、いきなり大ヒットへと繋がるような場合もあるでしょうが、基本的にはデジタルのデータをアナログ視点で=斜に構えて見る姿勢が必要なのではないでしょうか。

 DXの目的は『今までにない全く新しい価値』を見い出すことであり、そのような文字通り『今までにない全く新しい価値』に関する(過去)データは存在しないからです。データの存在しない所に価値を見い出す眼力、想像的なスキル(つまりアナログ発想)が求められるのだと思います――

▶デジタル・データの存在しない所に価値がある・・・
①【データの偏り】・・・何故データに偏りが出ているのか?顧客に不満が
          あるのでは?顧客が課題を抱えているのではないか?
②【データの不存在】・・・何故データのない領域があるのか?顧客も気付い
          てないようなニーズがあるのではないか?
③【データの集中】・・・何故データが一カ所に過剰に集中しているのか?
          他に適切なサービスがないから、仕方なく我慢して
          いるのかも知れない……

 

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